せめて人間らしく、だけど支離滅裂に愛してる①
真純のいる滋賀県に向かう新幹線の車中で、一の胸はどんどん高鳴っていった。
ー3日前
大学に進んでから連絡は取り合っていなかったが、二人はSNSで繋がっていた。
勇気を出して約6年ぶりにショートメッセージを送った。(地上最強の生物が勇気を出すなんて少し可笑しいが)
「ひさしぶり。田中 一だけど、覚えてる?」
少し経って返信が来た。
>「はじめくん久しぶり!もちろん覚えてるよー!」
大興奮してスマホをぎゅっと抱いた。
続けてメッセージを送る。
「覚えてくれてたんだ、ありがとう!真純は今何の仕事してるの?」
>「管理栄養士目指してたんだけど、今はパティシエ!まだまだ見習いだけどね(笑)」
「食べ物関連の仕事したいって言ってたもんね!夢が叶って良かったね!」
>「うん!ありがとう!ところで、どうして連絡くれたの?」
「実は今ニートでさ…色々悩み事とかもあって。相談できそうなの、真純しかいなかったから」
>「そっか…大変なんだね。私なんかでよかったら話聞くよ。今から通話する?」
「できれば直接話したいな。わがまま言ってごめん」
10分程沈黙
>「会うのは、うーん、私たち終わった関係だし…」
「そうだよね」と返信を返そうとした時、
>「1日考えさせて」
「わかった。ありがとう」
翌日、真純からOKの返事が来た。
2日後の月曜日がシフト休みで会えるらしい。もちろん即、承諾。
「やった!」
6年の間に膨らんだドス黒い片想いが一を包み込む。




