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彼の心の声を聞きたい  作者: 霧澤 零
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第二話 【日曜日】

日曜日の朝10時に私は深空と松本に来ていた。

 松本まで来た理由は昨日雅楽に貰った弦のお返しを買うためだ。

 「長野は五月の終わりでもまだ涼しいなー。」

 深空はそんな事を言っている。

 松本駅から徒歩数分のところにある高校の部活でお世話になっているお店である。

 店内に入ると

 「いらっしゃい。今日のお目当てのものは?」

 と言う店長の声が響いてきた。

 「お久しぶりです。今日はこの弦が欲しくて。」

 そう言いながら私は雅楽に貰った弦の袋を店長に渡した。

 「はいよ。何個いる?」

 「五つ下さい。」

 「え?そんなに?」

 深空に驚かれてしまった。

 「うん。使ってみたら音も良いし、離れも良いから。それに今弦のストック切らしてるから丁度いいかなって。」

 「へー。じゃあ、私も使ってみよ。店長、私にもこれひとつ。」

 「はいよ」

 そう言って店長は弦を六袋用意してくれた。

 「一つ二千五百だから五つで一万二千五百だけど、お得意様だから一万円で良いよ。こっちは二千円で。」

 「ありがとうございます。」

 そう言って私と深空は支払いを済ませた。


 「一つ聞きたいことがあるんですけど良いですか?」

 私は店長に雅楽の事を聞いてみることにした。

 弓道部の男子とは練習場所が違うためほとんど会ったことはないが、同じ高校で弓道をやっていればこの店舗を使用しているはずだ。

 「どうした?」

 「同じ高校の雅楽って男の子知ってますか?」

 「うた?どんな字書く子だ?」

 「字は分からないけど、身長が結構高くて、結構整った顔立ちしてる人です。」

 「へー。奏音がそんな事言うなんて珍しい。」

 私の説明を聞いて深空がそんな感想を漏らす。

 「うた・・・うた・・・。もしかしたら六合塚(くにづか)のことか?」

 「くにづか?その人ってどんな人なんですか?」

 「文芸附属の剣道部に所属してるはずだぞ。昔からお世話になってる武具店があるって言って頑なに家の店で買い物はしてくれないけど。」

 「え!?弓道部じゃなかったんですか!?」

 単純にびっくりした。

 あんなに綺麗な弓を射つ人が部活動ではやっていないなんて。

 「あいつ弓道もやってるのか。」

 その後もう少し話をして私たちは店を出た。


 「お腹空いたー。奏音この後どこかで食べてかない?」

 「良いよ。何食べる?」

 「モス!」

 「好きだねー」

 そんな会話をしながら私たちは駅ビルの中に入っているハンバーガーのチェーン店に入った。

 注文した商品を持って席に座ってから深空が

 「私もその先輩に会ってみたいなー」

 なんて事を言ってきた。

 「良いよ。明日弦渡しに行くから一緒に行く?」

 「いや、二Aの教室って新校舎じゃん。先輩ばっかの所に行くのはキツイわ。」

 自分から会いたいとか言っときながら会いに行く勇気は無いらしい。

 「じゃあ、(なつめ)連れてこうかな。あいつ剣道部だから先輩のこと知ってるだろうし。」

 そう言いながら私はポテトを口に運ぶ。

 「そういえば奏音昨日の大会どうしたの?調子悪かった?」

 「んー。なんか急に的が小さくなってきちゃって。夜に岡谷市の体育館で練習した時は良い感じだったんだけどね。」

 「いっぱい練習しなきゃね。私も練習いっぱいして代表に選ばれるようにしなきゃ!」

 深空はそう言ってくれた。

 

 その後私たちは駅前の本屋や、ショッピングモールを見て夜八時頃に寮に帰ってきた。


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