13.第三王子の試練Ⅲ
そこから私は、多くの事を学んだ。
学校での勉学もそうだが、市井の暮らしについてや家事なども。また空いている時間は図書館に通い、様々な学問書を読み漁った。
全ては、この国に暮らす者の生活を豊かにするために。
方針が固まり、様々な懸念事項を確認しながらも実行可能か検討し、財源含めて可能なところまで計画を詰めた。
「よし、これで父さまに手紙を送ろう」
この試練が始まった時に、父さまに直接手紙が届くように特別に渡された封蝋を用い、手紙をしたためる。
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父さまへ
お元気でしょうか。私は元気に過ごしています。
市井の暮らしは、困ることが多くも、楽しく愉快です。
ただ、その楽しさを追い掛けすぎると、明日が立ち行かなくなるのが怖いところです。
さて、今回ご提案するのは、国立の診療所の建設です。城下町では医師が少なく多額の医療費を払うのも難しく…
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手紙の提出後、町に診療所ができ、今までの民間療法や違法な薬に頼ることなく正しい処置を行える環境が整った。また、予防接種や手洗い・うがいの推奨により、病気自体の予防することで、潜在的な病人の数を減らすことにも一役買っている。
これにより、教会が隠れて受け入れていた病人やスラムなどで野垂れ死ぬしかなかった人たちを救うことができた。
ただこれはまだ最初の一歩でしかない。人々の暮らしを良くしていくには、まだ何かできるはずだと感じている。
「ユリウス、診療所ができて良かったですね。皆さんの顔が明るくなっていますよ」
「あぁこれで、サリーのような人々を一人でも多く救うことができる。あの時感じた無力感が私を成長させてくれた。まだまだできることはあるはずだ。」
誰も私が診療所を立てることに貢献したなど、知りもしないだろう。ただそれでこの笑顔溢れる光景を作り出すことが出来た。
私自身に課題も多いだろう。ただ前を向いて、目の前の課題をあきらめず更に邁進していくのだ。
そこには、国に暮らす人々を慈しみ、国をより豊かにすると決意した第三王子の姿があった。




