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9 エリックの許可


「はぁ〜……可愛い……」



薄いピンクとアンティークなデザインの入った素敵な壁紙。

それにピッタリとあった可愛いらしい家具。

初めて見た部屋とは全然違う、とても女の子らしい部屋が出来上がっていた。


エリックと会った数日後にはもう部屋が完成している。

それはエリックが仕事の早い業者を呼んでくれたからだ。



大大大満足!!!

一度でいいから、こんな女の子らしくて可愛い部屋に暮らしてみたかったの!!

以前の私はどう見ても喪女で、こんな部屋全く似合わなかったからなぁ……。

なんだか、思った以上に嬉しいみたい……。



「とても素敵なお部屋ですね。お嬢様」



とても嬉しそうにメイが声をかけてくれる。

私はきっと今までで1番幸せそうな顔をしていたに違いない。

メイド達や執事、手伝ってくれたみんなに向けて私は精一杯の笑顔と感謝の気持ちを伝えた。



「みんな。本当にありがとう」



くるっと急に振り向いたものだから、ついバランスを崩して倒れそうになってしまった。

「あっ」と思った時には、イクスの腕に包まれていた。



「大丈夫ですか」



イクスはもう暗い瞳で私を見る事はない。

まだ気を許しているようにも見えないけど、前ほど警戒していないのはよくわかる。



「あ、ありが……」



はっ!と気づくと、整ったイクスの顔が目の前にあった。



きゃあーーーーー!!!



真っ赤な顔で慌てて離れると、イクスは目を丸くして横に顔を背けた。

なんだか笑いをこらえているように見える。



……仕方ないじゃない。

今まで彼氏なんていた事ないんだから!!

散々逆セクハラをしてきたリディアと私は違うんだからね!!



「お嬢様。謹慎は昨日で終わっております。

本日はどこかお出かけなさいますか?」



クスクス笑いながらメイが尋ねてきた。



そうか!!謹慎終わったんだ!!

謹慎が終わったら、すぐに行きたい所があったのよ。



「あの……街へ買い物に行きたいの!!

服を……」



そう。この派手でケバいリディアのドレスではなく、もっと美しい本物のリディアに似合うような服が欲しかった。

今家にある可愛い服は3着しかなく、コーディアス侯爵家の娘がその3着を着回す事は許されなかった。

一度着たら数日は着させてもらえない。


今日は仕方なく、持っているドレスの中でもあまり派手には見えない物を選んで着ている。

それでも数えきれないほどのリボンと、何重にもなったレースが付いていた。



「街へのお買い物……。エリック様の許可が……」



ぶつぶつとメイとアースが相談している。

しばらくしてアースだけが部屋から出て行った。 



ちょっと……。私は街へ行くにもエリックの許可をもらわないといけないの!?

めんどくさすぎ!!



ため息をつきながら待っていると、なんとアースと一緒にエリックまでやって来た。



「お、お兄様……」



慌ててペコリとお辞儀をすると、エリックは私をジロジロと見てきた。

ドレスに目をやると、険しそうな顔をしている。



「好きなだけ買ってくるといい」


「……へぁ!?」



予想外のエリックの言葉に、思わず変な声が出てしまった。

後ろでイクスが肩を震わせているのがわかる。



……イクスって意外とよく笑うのね。

ってそうじゃなくて!!



「なぜ……。よろしいのですか?」



率直に聞いてみると、エリックはまたもや私のドレスに目をやり、



「それは似合ってないからな」



とだけ言って部屋から出て行った。



もう……。優しいのかなんなのか……。

小説の中では、エリックがリディアに何かを買ってあげる事なんてなかったわ。

リディアが勝手に買いまくっていたけどね。

やっぱり小説の時よりも、まだ少し優しさがあるみたい。



こうして私は初めて街に出かける事になった。

メイとイクスと一緒に。


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