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悪役令嬢に転生したはずが、主人公よりも溺愛されてるみたいです[web版]  作者: 菜々@5/30『モフモフ旦那様』コミック2巻発売
本編

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58 ムカつく公爵令嬢に反抗してもいいですか


ルイード皇子と会場へ戻ると、今度は公爵家当主の方々に囲まれてしまった。 



先程は令嬢達の気迫に圧倒されて、近寄れなかったみたいね。

待ってました!と言わんばかりに取り囲まれてしまったわ。



ルイード皇子には笑顔で話しかけている公爵達だが、私への視線はとても冷ややかだ。

『侯爵令嬢』が皇子の婚約者である事を良く思っていないのがバレバレだ。


私の目の前で、あからさまに自分の娘を勧めている人までいるくらいだ。



みんな本当に調子がいいのね!

身体の弱い頃には、ルイード皇子に見向きもしなかったくせに!



小太りの公爵が、にやにやした気持ちの悪い笑みを浮かべながら皇子に必死に話しかけている。



「私の娘はもうすぐ19歳なので皇子よりは少し年上ですが、幼い頃から妃教育を受けていたのでね。

皇子にピッタリだと思いますよ。

今は年下よりも年上の女性のが良いと言いますからね!」



小太り公爵は、見下すような目でチラッと私を見てきた。


皇子より年下の私への嫌味か!!

リディアがしっかりとした教育を受けていない事も、よくご存知のようで!


頭にくるが、笑顔のままスルーした。



ルイード皇子はにこやかな顔をしているが、どこかピリピリとした空気を出している。



「いえ。私には年上の女性は合わないと思います。

それに、すでにリディアという素敵な婚約者がおりますから」



優しい口調だが、きっぱりと断っていた。


いつも温かいオーラが溢れているルイード皇子なのに、今はブルッと震えるほど寒く感じるのは何故なの……?



はっきり断られたにも関わらず、小太り公爵は諦めていない様子だ。

まだにやにやした表情を顔に貼り付けたまま話し続けている。



「皇子様にはそれなりのお相手が必要ですよ。


リディア嬢にはうちの息子を紹介致しましょう。

もうすぐ32歳なので歳は少し離れていますが……リディア嬢は綺麗なので息子も気に入るでしょう」




ちょっと待てーーーーーーい!!!

ツッコミ所満載なんですけど!?


15歳のリディアに32歳の息子を紹介ですって!?

どこが少し歳が離れて……よ!!

倍以上離れてんじゃないのよ!!


しかも、息子も気に入るってなによ!?

何でそっちが上から目線!?


たとえ公爵家の御子息だとしても、32歳まで結婚も出来ずにいるような男のくせに!!


さすがにこの発言には笑顔を返せない。

その時、



「サウザン公爵」



ルイード皇子から聞いた事もないような低く威圧感のある声がした。

一瞬でその場の空気が凍りつく。



えっ!?今の、ルイード皇子の声!?



皇子の横顔を見ると、いつも宝石のように輝いているネイビーの瞳が暗く冷め切った瞳に変わっていた。

私に息子を紹介しようとした小太り公爵を冷たく見つめている。



「リディアは私の婚約者です。

私の前で他の男性を勧めるというのは、私に背反する行為と受け止めてもよろしいのでしょうか?」



先程まではまだ若いルイード皇子を舐めていた様子の小太り公爵が、途端に慌て出した。



「ま、まさか!!気分を害されてしまったならすみません」



ペコペコと皇子にお辞儀をしている。



おぉ……。こういう場に慣れていないと思っていたけど、やっぱり皇子は生まれつき皇子なんだわ。

迫力が違うわね!!


こんなに可愛い顔をしているのに、立派だわ!!



でも……あまり公爵家を敵に回すのも良くないわよね。

私はいない方がいいかな……。


ルイード皇子に少し近づき、小声で声をかけた。



「ルイード様。私、令嬢達のところへ行って参りますね」



そう言って、ルイード皇子からの返事を聞く前に取り囲んでいた公爵達の間から抜け出した。






ふぅ……。

キツイ空間だったなーー。抜け出せて良かった!


さて。どこへ行こうかしら?



ルイード皇子には令嬢達のところへ行くと言ったが、そんなつもりは全くなかった。

なぜなら、父親同様…公爵令嬢達からの視線もかなり刺々しいものだったからだ。



私が皇子の婚約者だという事を、父親以上に認めていないのだ。


侯爵家より下の貴族令嬢達は、みんなそれぞれ公爵令嬢の取り巻きをしている。

ここに私の味方となる独身女性はいないだろう。



女の嫉妬ほど恐ろしいものはないからね。

敵はサラだけでお腹いっぱいよ!


令嬢達に近寄らないように、テラスに出る事にした。


心地よい風が顔にあたり、とても気持ちがいい。

テラスから見える王宮の庭は、手入れが行き届いていて景色も最高だ。


庭には数人の騎士達が警備として並んでいるのが見えた。


そういえば、イクスやカイザはどの辺にいるのかしら?


キョロキョロと周りを見回していると、後ろから声をかけられた。



「ごきげんよう。リディア様」



丁寧な口調だが、どこか鼻につくような声色だ。


振り向くと7人ほどの令嬢が立っていた。

声をかけてきた令嬢は、1人だけ派手なドレスに宝石をたくさん付けていて、昔のリディアのように濃くキツイ顔をしていた。


少し顎を上げて、口元は閉じたまま片方の口角だけが上がっている。

絵に描いたような悪役令嬢顔だわ。



他の令嬢より数歩前に出ている事から、きっと彼女が公爵令嬢で他の令嬢はその取り巻きなのだろう。



「……なにか御用ですか?」


「ええ。ルイード皇子様の婚約者様が1人寂しくテラスに出て行くお姿が見えたので、私が話し相手になってさしあげようかと思いましたの」



派手な公爵令嬢はあくまで私の方が上の立場よ!という態度を崩さなかった。

『婚約者様』なんて呼んではいるが、敬う気も親しくしようとする気も全くなさそうだ。



「私、マレアージュ・フランシスと申します。

こんな話を突然されてもリディア様は困ってしまうかもしれませんが、一応早めにお伝えした方が良いかと思いまして。


実は、私は本来貴方より先にルイード皇子と婚約をする予定だったのです。

フランシス公爵家の長女ですから、皇子と婚約をするのは当然ですわ」



でたぁーーーー!!

いるいる!!こういう女!!


私が元婚約者よ!みたいな!!



マレアージュと名乗った令嬢は、私の反応を楽しむかのように挑発的に喋っている。

後ろにいる令嬢達も、全員がクスクスと笑って楽しんでいるようだ。



ショックを受けるような顔でもして欲しいのかしら?

する訳ないじゃない。

こんなガキの挑発になんか乗らないわよ。



「あら。そうなのですね」



しれっと答えると、マレアージュはピクリと眉を動かした。



「随分と冷静なのですね。

ルイード皇子の本来の婚約者が私だと知って、ショックではないのですか?


……あぁ。それとも、ただの強がりかしら?

素直でない人間は可愛くないわよ」



てゆーか、元婚約者ぶっているけど結局婚約はしていないのよね?


どうしてもそこをツッコミたい!!



「本来の婚約者と仰いますが……婚約、されていませんよね?」



笑顔でツッコんでみると、マレアージュは目を細めて反論してきた。



「私はルイード皇子との婚約を望んでいたのですが、父の反対にあってしまったのです。

私の父が反対しなければ、婚約していたわ!


それに、父も今はルイード皇子との婚約を望んでくれていますの。

私がお願いをすれば、すぐに動いてくださるわ。

……この言葉の意味がおわかりかしら?」



マレアージュは今日1番のにやけ笑顔を披露した。



あーーはいはい。

自分が動けばルイード皇子は自分と婚約して、私は捨てられるって事が言いたいのね!


ルイード皇子と婚約解消するのはヨシとしても、こんな女にルイード皇子は任せたくないわね。



「その言葉の意味ですか?


……えーーと、ルイード皇子が病弱だったから婚約するのは止めたけれど、元気になったからやっぱり婚約したい!という都合の良い話って事でしょうか?」



私はにっこりしながら答えた。


私の言葉を聞いて、マレアージュの顔が強張り、取り巻きの令嬢達が真っ青な顔になった。



「……貴方、公爵令嬢である私にそんな口の利き方をしても良いと?」


「あら。私は質問された事にお答えしただけですわ」



あくまでもニコニコしながら笑顔で答える。



取り巻きの令嬢達がかなりそわそわしているから、マレアージュは怒らせると面倒くさいタイプの令嬢のようね。

早く謝って!!という雰囲気をヒシヒシと感じるわ。



それでも謝るつもりはないけどね。


さっきサラに言い返せなかったストレスがまだ溜まってるのよ。

これ以上ストレスを溜めたくはないからね!


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― 新着の感想 ―
[良い点] ここまで、スラスラと読めた。のは、良い点、かな? 読み易い文章だとは思う。 [気になる点] なんで、兄の忠告をこんなに無視するのだろうか? こういう主人公って多いよなぁ。 社交が出来ない…
[気になる点] 侯爵令嬢なら、皇子との婚約がふさわしくないということはないように思います。 しかも、皇太子でもない第二皇子。 家格の釣り合いは十分すぎるほどとれているのではないでしょうか。 [一言] …
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