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悪役令嬢に転生したはずが、主人公よりも溺愛されてるみたいです[web版]  作者: 菜々@5/30『モフモフ旦那様』コミック2巻発売
本編

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19 第2皇子と対面


「カイザ、そろそろ戻ったらどうだ?」



私を睨み続けているカイザに向かって、ため息をつきながらエリックが言い放った。

カイザは視線をエリックに移し、ふん! と鼻を鳴らしながら答えた。



「これから陛下に会うんだろ?

俺も一緒に行く」



はぁぁ!?

なんっであんたも行くのよ!!

陛下や第2皇子に会うのだって少し憂鬱なのに、カイザまで同じ空間にいるなんてキツい!



ちょうどその時、王宮の執事が私達を呼びに来た。

とうとう陛下や第2皇子との面会。

私はエリックから離れ、入り口に向かって一歩足を出した瞬間……


ドレスの裾を踏んでしまった!



「きゃっ!」



しまった!! 長いドレス着てたの忘れてた!!

転んじゃう!!



目をつぶって衝撃を覚悟したが……ぼすっ!

意外にも痛みがなかった。

誰かが受け止めてくれたらしい。



エリック……?



目を開けると、カイザの顔が目の前にあった。

どうやらスライディングする形で私の下敷きになってくれたらしい。



さすが騎士に混ざって戦争に行ってただけある。すごい身の軽さだわ……っ!!



私は上を向いた状態のカイザの胸元にダイブしたようだ。

ガッチリ鍛えられている胸元に胸がときめく……っじゃなくて!!!



「ご、ごめんなさい!!」



慌てて離れようとしたが、カイザに腕を掴まれてしまった。

キリッとしたグリーンの強い瞳に至近距離で見つめられて、思わずドキッとしてしまう。



性格は悪いけど、さすが小説のキャラ!

顔はとんでもなくイケメンね!!



カイザは「はぁ……」とため息をついた後、私の腕を引っ張って一緒に立ち上がった。



ズキッ


「いたっ……」



左足首に痛みが走る。

思わず顔を歪めると、カイザは何も言わずにドレスの裾を少しめくり私の足首を確認した。



ちょ……ちょっと!?

いくら足首とはいえ、レディのドレスの裾を勝手に上げるなんて!!



「怪我したのか?」



エリックがカイザに確認をしている。



「あぁ。赤くなってる。捻挫かもな」



ズキズキ……だんだんと痛みが増してくる。



こんな時に捻挫しちゃうなんて……!

ただでさえヒールのある靴だしドレスだしで歩きにくいのに……!



自分のバカさ加減に呆れていると、ふいに身体を持ち上げられた。



「えっ!?」



カイザにお姫様抱っこされてる!?!?

えっ!? えっ!? は、恥ずかしい!!!



エリックもなんとなく気に入らないような顔をしている。



「お、おろして!!」



必死にカイザに訴えてみたが、なぜかカイザは私をおろそうとしない。

ニヤニヤと笑いながら私を見ている。



「ふっ……顔真っ赤……くくく……」



なにがそんなにおかしいのよ!?

いいから早くおろして!!

エリックも何か言ってよ!



エリックに助けを求めて振り返ってみたが、仕方ないか……というような諦めた様子で歩き始めている。



えっ!? このまま!?

このまま陛下の所まで行くつもり!?


さっき、ノックもなく騎士達が突然部屋に入ってきたりしたけど……もしかしてこの国は礼儀とかそういうのがあまり厳しくないのかしら?

小説にはあまり王宮の事は書いてなかったから、よく知らないけれど……。



なんと私はカイザにお姫様抱っこされたまま城の中を移動し、陛下の前に連れて来られてしまった。

陛下は一瞬驚いた顔をしたが、エリックが私の怪我の事を伝えるとすぐに納得したようだった。



こんなアットホームな感じでいいわけ!?



緊張していたはずなのに、優しそうな陛下の顔を見たら一気に力が抜けてしまった。

カイザが優しく私をおろしてくれたので、そこで初めて自己紹介をした。

陛下はにこにこしながら私を見つめている。



「いやはや。噂には聞いておったが、本当に美しい令嬢だ。

この度はご苦労であった。感謝しておる。

なぁ、ルイード」



陛下の隣に座っていたルイードと呼ばれた皇子は、私を見てしばらく固まっていたようだがハッとして頷いた。

どうやら彼が第2皇子のようだ。


銀の入った薄いブルーの髪。宝石のように輝くネイビーの大きな瞳。16歳という事だが、まだ14歳くらいの幼さを感じるような可愛い皇子様。

しかし顔は青白く、体調が悪そうなのが見てわかる。



か、か、可愛いぃぃぃぃ!!!

なんっだこの皇子様!! 可愛いすぎる!!

アイドルか!?


イクスにエリックにカイザに……カッコいい系男子ばかり見てたから、可愛い系男子たまらない!!



ヨダレが出そうになるのを必死で堪えながら、陛下とルイード皇子へ笑みを返す。



「ありがたきお言葉、恐縮でございます」


「女神の力で、ルイードの病も治せるといいのだがな。

原因不明で、もはや誰にも頼れないのだ……」



陛下の目にうっすらと悲しみの色が見えた。

明るく冗談のように言っているが、きっと本気なのだろう。

私をここへ呼んだのも、もしかしてこっちが本当の目的なのでは?


ルイード皇子の顔もみるみる曇っていく。



うーーーん。まさか、早速その話題になるとは思わなかったわ。

どうしようかな。


原因……知ってます。って言っていいのかしら。


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― 新着の感想 ―
[一言] 今考えれば色んなイベント(お姫様抱っことか嫌われ案件とか)があったなぁ…… そしてこのころのルイード皇子マジで可愛いんですけど!
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