01 プロローグ
不定期更新です
真っ白な空間で白い丸テーブルを挟んで男と女神が対話していた。
「どんな事でも?」
「そうですね。神になりたいとかは無理ですが……」
「ならば、どんな物でも食える体が欲しい!」
「貴方……お亡くなりになった理由をお忘れですか?」
女神は頭を抱えて問いかける。
「糖尿病で、身体が壊死した!」
「何で解ってて求める物が[食]なんですか!?」
「食い足りないから」
「おふぅ~」
女神はふらふらと丸テーブルに塞ぎ込む。
「大丈夫ですか?」
「誰のせいだ!」
少し悩みながらテーブルに指をトントンしている。
「あ~もう、わかったわよ。なんでも美味しく食べられる様にすればいいんでしょ? それなら美食スキルが有った筈……」
「違うっ!」
「何が違うのよ?」
「なんでも旨い!? そんなものは論外だ!」
「はぁ?」
「辛いモノは辛い! 苦いモノは苦い! 不味いモノは不味いモノとして食いたいんだ」
「貴方……変わってますね。でも、それだとスキルいらないですよね?」
「え?」
「だって、勝手に食べればいいじゃない?」
「何言ってんだ。毒食ったら死ぬじゃないか」
女神は一瞬何を言っているのか理解出来ず、キョトンとしたが頭が追い付いたのか冷静な顔で問いかける。
「貴方……毒を食らうつもりですか?」
「あぁ!」
キリッとキメ顔で応える。
「じゃあ毒無効?」
「それだと、毒以外の時に腹下さない?」
「だ・か・ら、何を食すつもりなんですか?」
「毒だろうが、土だろうが、口に入るモノは何でも食べるさ」
「……最早何も言うまい」
少しイラついている様にも見えたが「ふぅ」と大きくため息をつくと、作られた様な満面の笑みで話しを続けた。
「肉体と精神の平常を維持する[健康EX]、消化を助ける[消化EX]、栄養を摂取する[吸収EX]、これで毒を体内にいれても大丈夫」
「あと噛み砕く歯と顎が欲しい」
「肉体の強度を上げる[強靭EX]と筋力を上げる[強化EX]を差し上げましょう」
「いや~何から何までありがたいな」
「食い道楽したいなら冒険者ギルドに登録するのがオススメですね」
冒険者ギルドの説明を受けた。
世界をいつも見ている訳ではないので、時代によりルールが異なっていたりするから基本だけ。
ギルド登録は身分証を作る事になります。
冒険者ギルドに登録しておけば依頼を受けて魔物を狩りに行けて、更に依頼内容の魔物であれば報酬もえられます。
生活の基盤になるでしょう。
そして最後に[EX化]なるスキルを貰い、用意された豪勢な扉を潜ると、深い森の中にいた。
方位磁石もない、街がどっちかもわからない。
「まったく、森でも食うか」
男の旅が始まった。