五斬り目
作者はこう思っていた。何故悪役って弱いんだろう?
獄龍が息を絶って周りの空気は風の音が寂しげに泣く。獄龍の亡骸の上で立ったいるのは
顔がトカゲのようで耳らしきなギザギザな部分。亜種族のリザードマンと思いがつきやすい。だが妙な点が一つ、胸には玉が込められ、白紫色の光を発している。
こういった世の中の通例なのか目も耳もなく、一致しない。
「魔物か?」
「それっぽいけど」
「私の知識範囲に据える者じゃない」
賢者も分からないみたいだった。リザードマンらしきは名乗った。
「僕はロウリア」
亡骸を蹴って宙に舞う。
「ディム・ロウリア」
ストンと軽く草地を踏んだ。
「生の持つ念を歪ませる者…」
鷹の目の程、瞳が鋭い。まして交渉しようとも心構えていない。剣や呪文を出さなければならないかと三人側と心構える。ロウリアという者は三人に指を指した。
「お前ら狩るぜ」
恐怖というものにも放ってなさそうで呆気に取られる。こいつが相手の力量を計った上で喧嘩を売ったというのか。
賢者が数字を出す為、目を見る瞑り、呪文を吠え始めた。
「メイル。奴の強さは」
「内包している力…百」
百は通常の魔物程度だが獄龍の相対しては良くない力量。つまり雑魚だ。ただ魔物が物差しを測ったりなど避けて挑発したり襲撃するのはよくある事だ。誘いに乗ってやろう。
魔剣士が再び剣を握り締めた。
「俺一人でやろう。軽くな」
◇◇◇
何時も朗らかという雰囲気が掻き立てる食卓ができるかと思いきや語りを交わしづらかった。
羅瑠渡…ムッと瞑ってお米を口に運んでいる。今日は楽しく雰囲気が作れない。
美悦子はお箸の持った右手を止めたままだった。
(これも家庭なのかしら)
私の家族も誰かが気が歪めば全員、自分の事が他人事ではないかのように気まずく落ちてしまうだろう。
私は楽しい雰囲気だろうとその幕の中に入れて貰うのを喉から手を出していた。
もし私が病気でないのなら、家族愛というのも知っていた筈よ。取り戻したいと思う位に。
「あの…」
「…」
「せめて話すぐらいならどうでしょうか?」
発想力が乏しいと言える発言だと自分が駄目元でやっているようにしか思えなかった。放っておけなくても実行事態はそれなり以下のいまいちぐらいだった。
「私には言いたい事があるのよ。とはいえ何時もの事だからもう言う必要がないね」
この食卓を囲んでいるのは美悦子、羅瑠渡、長照。そしてもう一人!何故自分の価値観を無視してまで家に入り込むのか。
なのに素直に他人のご飯をもぐもぐもしているなんて。
羅瑠渡は普通の顔にはなれないのも当然だ。だが長照は逆だった。お代わりと桜花が言えば友達だからと主張しているような笑顔で受け取ったお椀にご飯を大盛りに詰める。これで十杯…!
「本当…皆面倒くさい事言うんだからお腹空くのよね~」
皆と言うのも桜花は各国の首脳の募る会談に呼び出され、海を越えて一週間滞在していたそうだ。
「都合が悪いと感じれば、面倒くさがって策を放棄してしまうんだから」
各地の至る所に黒い霧が噴出が絶える気配がない。それを危惧しても国が貧弱な上に気力が薄い。各地に発生する魔物や悪行。正義を担いで抗おうというなら戦士を建てる協会みたいな組織を建てれば良いと立案。
直ちに建設を始めたが…後の祭りだった。
「私らの“災厄単位”を全く信じてない」
魔物の危険度を示す階級である。クロヌリだけが産んだ評価を異国で用いる事を決定した。階級は信じているものの、魔王が最上級に位置しない事に不満を抱いていた。
本当に魔王を超える奴がいるのかと。桜花に複数の問いを集中的にかけてきた。
桜花は躊躇いなく冷静に肯定したという。
災厄単位?災害レベルと似ている?そんな訳ない!