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すれ違う思い  作者: ねがぽじ
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すれ違う思い第2話

これは中学生の百合小説です。


~すれ違う思い~


~第2話~


乃愛は、涙を流しながら走りました。

目から流れる涙は、両手で拭いても拭いてもあふれてきました。

しばらく走ると胸が苦しくなり胸を押さえてその場に座りこんだ。


「は~~~は~~~……」 

「乃愛ちゃん……?」


声がした方を向くと桜ちゃんが立っていた。


「さくらちゃん……」

「乃愛ちゃん、こんな所でどうしたの?

それに乃愛ちゃん一人なの?

紳ちゃんは、どうしたの?」


さくらちゃんは、乃愛の方に走って近寄ると心配そうに乃愛の顔を覗き込んだ。


「紳ちゃん……?」


乃愛は、顔をあげてさくらちゃんの方を向いた。

でも紳ちゃんの事を思い出して涙をぼろぼろ流した。


「うぅ……さくらちゃん……」

「泣かないで、乃愛ちゃん……」


さくらちゃんは、乃愛を抱きしめながら乃愛の背中を撫でました。


「その……私の家に来てください。

そこでゆっくりと何があったか教えて下さい」


さくらちゃんは、乃愛を優しく話かけてきた。


「うん……」


乃愛は、涙を手で拭きながら小さく頷いた。

乃愛は、さくらちゃんに連れられてさくらちゃんの家に向かった。

乃愛達は、さくらちゃんの部屋に着くとさくらちゃんは、こちらを向いて乃愛に話しかけた。


「少し待っていて下さい。

ココアを入れてきますからね」

「うん……」


さくらちゃんは、乃愛の方に話しかけると部屋を出て行った。


「さくらちゃんの部屋に来るのは、久しぶりだよね……」


部屋の中を見渡すと机の上に写真立てがあった。

写真立てには、乃愛とさくらちゃんと紳ちゃんの三人が写っていた写真が飾られていた。


「これって確か小学生の修学旅行の時の写真だよね。

懐かしいな……」


乃愛は、写真立てを持ち上げてから写真を見つめた。


「わっと!?」


乃愛は、写真立ての裏を見ようとして写真立てを裏返しにする時に手がすべって写真立てを落とした。

写真立てが落とした拍子に蓋が外れると写真立てから十枚の写真が出てきた。

乃愛は、一枚の写真を拾い上げた。


「これって紳ちゃんの写真だよね」


乃愛は、もう一枚写真を拾い上げた。


「これも紳ちゃんの写真だ。

もしかして全て紳ちゃんの写真なの?」


乃愛は、残りの八枚の写真を拾い上げた。

一枚は、乃愛とさくらちゃんと紳ちゃんの三人で写った写真だった。

他の七枚は、紳ちゃんの写真だった。


「何で紳ちゃんの写真がこんなにもあるの?」


ふとさくらちゃんが紳ちゃんを見つめる眼差しを思い出した。


「もしかしてさくらちゃんは、紳ちゃんの事が好きなのかな……」


さくらちゃんと紳ちゃんと付き合っているのを思い浮かべると胸が苦しくなった。

乃愛は、十枚の写真を写真立てに直すと写真立てを最初に置いてあった机の上に置いた。

写真立てを机の上に置いたのと同時にドアから二回ノックする音が聞こえてくるとさくらちゃんが部屋に入ってきた。

さくらちゃんの手には、コップを持っていた。

コップの中にはホットココアが入っていた。


「ごめんなさい、お待たせしました。

はい、乃愛ちゃん、熱いから気をつけて下さいね」


さくらちゃんは、コップを乃愛に向けた。


「ありがとう、さくらちゃん」


乃愛は、さくらちゃんが乃愛に向けたコップを受け取ると一口ココアを飲んだ。


「んっ……ココアが美味しい……」


乃愛は、ココアのほのかの甘さで心が落ち着いて安心したように微笑んだ。


「乃愛ちゃん、落ち着きましたか?」


さくらちゃんは、優しく話かけました。


「うん……」


乃愛は、小さく頷いた。


「それで乃愛ちゃんに何があったか聞かせてくれませんか?」


さくらちゃんは、乃愛の顔を覗き込みながら話した。


「ねえ、さくらちゃんにとって乃愛は、邪魔なだけのお荷物なのかな……?」


乃愛は、辛そうに俯きながら話しました。


「そんな事は、ありません!!

冗談でもそんな事を言わないでください。

なんでそんな事を言うんですか?」


乃愛は、顔をあげると戸惑いながらさくらちゃんを見つめた。


「今日ね、ちよちゃんに襲われたの……」


さくらちゃんは、驚いて立ち上がった。


「えっ、先生に襲われたのですか!?」


乃愛は、慌てて両手を振って否定をした。


「確かに襲われたけれど何かある前に紳ちゃんが助けてくれたの……」

「そうだったんですね。

乃愛ちゃんに何もなくて良かったです……」


さくらちゃんは、ほっと胸を撫で下ろして安心したように微笑んだ。


「でも紳ちゃんに『乃愛は、体が弱いんだから少しは、大人しくしてろよ。

乃愛に迷惑をかけられのは、うんざりなのよ!!』っと言われたの……。

紳ちゃんにとって乃愛は、迷惑をかけるだけのお荷物なのかな……」


乃愛は、辛そうに俯きながら話した。


「紳ちゃんがそんな事を言っていたんですね」


さくらちゃんが、これでもかってくらいにこやかに微笑んだ。

でもさくらちゃんからどす黒いオーラを感じた。


「さくらちゃん……?」


乃愛は、不安そうにさくらちゃんを見つめた。


「いえ、何でもありません」


さくらちゃんは、首を少しだけ横に振った。


「それよりも紳ちゃんが乃愛ちゃんの事をお荷物と思うわけありません」


さくらちゃんは、真剣な表情で見つめた。


「でも……」


乃愛は、俯きながら述べた。


「乃愛ちゃんは、紳ちゃんの事が嫌いですか?」


さくらちゃんは、乃愛の顔を覗き込んだ。


「嫌いでは、ないよ!!」


乃愛は、顔をあげてさくらちゃんを見つめた。


「それなら紳ちゃんとちゃんと向き合わないといけません」


さくらちゃんは、乃愛を言い聞かせるように優しく話しかけた。


「でも紳ちゃんと向き合うのは、怖いよ……」


乃愛は、自分の両腕を触りながら俯いた。


「私も乃愛ちゃんと一緒に紳ちゃんと話してあげるから勇気を出してください」


さくらちゃんは、乃愛の肩を触りながら乃愛の顔を覗き込んだ。


「うん、それなら紳ちゃんと話してみるね……」


乃愛は、少しだけ考え込むと少しだけ頷くと直ぐに顔をあげてさくらちゃんを見つめた。


「その意気です、乃愛ちゃん」


さくらちゃんは、優しく微笑みながら乃愛の頭を撫でた。


「でも今日は、もう遅いから帰った方が良いですよ」


さくらちゃんは、置き時計を乃愛に見せた。

置き時計の針は、七時丁度を指していた。


「わっ、もうそんな時間なの!?」


乃愛は、慌てて立ち上がった。


「それなら乃愛ちゃんの家まで送りますね」


さくらちゃんは、机にかかっていたポシェットを手に取ると乃愛の方に向いた。


「ありがとう、さくらちゃん」


さくらちゃんは、立ち上がり学校の鞄を持った。

乃愛とさくらちゃんが家を出ると家の前で紳ちゃんが待っていた。


「ッ!?」


乃愛は、紳ちゃんと話すのが怖くてさくらちゃんの後ろに隠れた。


「大丈夫よ、乃愛ちゃん」


さくらちゃんは、乃愛を安心させるように乃愛の手を握り締めて優しく話しかけた。

紳ちゃんが乃愛に近づこうとした。


「乃愛……」


さくらちゃんは、紳ちゃんの前に立った。


「乃愛ちゃんと話す前に私と話をさせてください」


さくらちゃんは、にこやかに微笑みながら紳ちゃんを見つめた。

さくらちゃんの笑顔に恐怖を感じた。


「乃愛ちゃんに酷い事を言って乃愛の事を傷つけたみたいですね」

「それは……」


紳ちゃんは、きまずそうにさくらちゃんを見つめた。


「他ではない紳ちゃんだからこそ言っては、いけない事があります。

それは、紳ちゃんも解っていたと思っていたとのですけれども違うのですか?」


さくらちゃんから怖いほどどす黒いオーラをまとっていた。


「あの時は、乃愛の事が心配で、無事だと解って、安心したのと同時に乃愛を危険なめに合わせた自分が許せなくて……

それなのに理不尽にも乃愛に、八つ当たりをしたのは、解ってる……」


紳ちゃんは、自分の手を握り締めて辛そうに俯きながら述べた。


「紳ちゃんの言いたい事は、解りました。

だからと言って紳ちゃんが乃愛ちゃんにした事を許せるわけありません」


さくらちゃんは、両手を腰に当てて紳ちゃんを見つめた。


「私は、どうしたらいいの?」


紳ちゃんは、すまなそうに少しだけ横を向いた。


「紳ちゃん、少しじっとしていてください」


さくらちゃんは、紳ちゃんに近づくと真剣な表情で紳ちゃんを見つめると紳ちゃんに向かって手の平を振り下ろした。


「ッ!?」


紳ちゃんは、体をこわばせた。

さくらちゃんは、紳ちゃんの頬に当たるまえにスピードを落としてゆっくりと紳ちゃんの頬を触るみたいに当てた。


「さくら……?」


紳ちゃんは、何故叩かなかったか不思議そうに目をぱちぱちさせた。


「紳ちゃんも反省してるみたいですから今回は、これで許してあげます。

でも次、乃愛ちゃんに酷い事をしたら本気で叩きますから覚悟していてください」


さくらちゃんは、これでもかってくらいにこやかに微笑んだ。

さくらちゃんの笑顔に物言わぬ怖さを感じた。


「うっ……気を付けるよ」


紳ちゃんは、顔をひきつりながらさくらちゃんを見つめた。


「はい、そうしてくださいね」


さくらちゃんは、満足したようににっこりと微笑えむとさくらちゃんは、乃愛の方を向くと優しく話しかけた。


「ねえ、乃愛ちゃん。

紳ちゃんは、反省してるみたいだし許してあげませんか?」

「許していいかは、解らないよ……」


乃愛は、辛そうに俯きながら述べた。


「乃愛ちゃんもこのままでは、駄目だと解ってますよね」

「そんなの解ってるもん。

でも紳ちゃんの本音を聞いたから……」


乃愛は、自分の両手を握り締めてから恐々と紳ちゃんを見つめた。


「私が聞きたい言葉は、そうではありません。

乃愛ちゃんがどうするかです」


さくらちゃんは、乃愛の顔を覗き込みながら優しく話しかけた。


「ねえ、乃愛ちゃんは、どうしたいんですか?」


乃愛は、困ったように俯きながら述べた。


「そんな事は、解らないよ……」


さくらちゃんは、乃愛の煮え切らない様子を優しく見つめると乃愛の本心が解るようにクスって微笑み。


「本当は、どうしたいか解ってますよね。

だって私は、乃愛ちゃんの本心を知ってますから」


さくらちゃんは、意味ありげに紳ちゃんの方をちらって見つめてから乃愛の方を向いた。

さくらちゃんが意味ありげの言葉は、乃愛がさくらちゃんにこの前言った紳ちゃんの事が嫌いではないって言葉の事だと気づき気まずさそうに俯いた。


「ですから乃愛ちゃんは、勇気だして自分の気持ちに素直になってください。」


さくらちゃんは、乃愛の右手を掴むと乃愛の右手を紳ちゃんの右手に重ねるとにこにこしながら乃愛と紳ちゃんを交互に見つめた。

乃愛は、さくらちゃんの思いに背中を押されるように紳ちゃんを見つめると勇気を振り絞って紳ちゃんに思ってる事を伝えた。


「ねえ、紳ちゃんは、乃愛の事を鬱陶しいと……嫌いっと思ってるの?」


乃愛は、おどおどしながら紳ちゃんの反応を気にしながら控えめに紳ちゃんを見つめた。


「そんな訳ない!!

私は、乃愛の事を大事に思ってる!!」


紳ちゃんは、思いをぶつけるように乃愛を強く抱きしめて大声で叫んだ。


「本当に……?」


乃愛を抱きしめた紳ちゃんを茫然とし見つめながら紳ちゃんに問いかけた。


「本当だ……。

もう乃愛を傷つけたりは、しない。

お願いだから乃愛、私を許してくれ……」


紳ちゃんは、乃愛を優しく抱きしめたまま耳元で囁いた。


「うぅ……紳ちゃん……紳ちゃん…………」


乃愛は、紳ちゃんの背中に手を回すと不安が安心に変わった反動とそれまで溜めていた物が爆発して次から次へと涙が流れた。

涙が止まった頃には、気持ちが落ち着いて紳ちゃんの背中に回した手を離した。

ふとさくらちゃんが寂しそうに紳ちゃんを見てる視線に気が付いてさくらちゃんの方を向くとさくらちゃんと目が合うとさくらちゃんは、何もなかったようににっこりと微笑んだ。

乃愛は、さくらちゃんの一瞬見せた寂しそうな表情を見てさくらちゃんが紳ちゃんを好きな事が確信へと変わった。


「乃愛ちゃん、紳ちゃんと仲直りできて良かったですね」


さくらちゃんは、嬉しそうににっこりと微笑んだ。

でもさくらちゃんの本心を知っている乃愛には、無理をしてる気がした。


「う、うん……さくらちゃんのお蔭で紳ちゃんと仲直りができたよ。

ありがとう、さくらちゃん」


乃愛は、さくらちゃんの両手を握り締めてにっこりと微笑んだ。


「私は、何もしていません。

少しだけ手助けしただけですから。

やっぱり乃愛ちゃんは、紳ちゃんと仲良しが一番です」


さくらちゃんは、自分の事のように嬉しそうに乃愛の両手を握り返してやんわりと微笑んだ。

乃愛に向けられたさくらちゃんの笑顔を見てさくらちゃんが乃愛の事をどれだけ大切に思ってるか理解しました。

乃愛は、そんなさくらちゃんが失恋をして悲しむ姿が見たくはなかったです。

だから乃愛は、さくらちゃんの恋を応援しようと心に決めました。

乃愛は、決心を確認するみたいに少しだけ唇を甘噛みました


「乃愛ちゃん、どうかしましたか?」


さくらちゃんは、乃愛の決心を読むように乃愛の顔を覗き込みながらじっと乃愛を見つめました。

乃愛を見つめるさくらちゃんの瞳が乃愛の心を見透かすようでした。


「うんん、なんでもないよ、さくらちゃん」


乃愛は、自分の気持ちを誤魔化すように少しだけ首を振るとにっこりと微笑みました。


「本当ですか?

でも乃愛ちゃんは、また何か考え事をしてるみたいでしたから……」


さくらちゃんは、心配そうに乃愛の顔を覗き込んだ。


「ッ!?

本当に、なんでもないよ」


乃愛は、慌ててさくらちゃんから離れると両手を振って否定をするとさくらちゃんから距離を取った。


「あ、あの、乃愛、用事を思い出したから今日は、もう帰るね」


これ以上さくらちゃんと話していたら乃愛の気持ちに気づかれると思い今日は、帰る事にしました。

乃愛は、帰る為に後ろを向くとさくらちゃんに呼び止められました。


「ちょっと、乃愛ちゃん!?」

「ちょっと待て、乃愛、私が家までおくるよ……」


紳ちゃんは、慌てて乃愛の後を着いて行こうとしました。


「うんん、今日は、一人で帰りたいから紳ちゃんは、ついてこなくて良いよ。

じゃあね、紳ちゃん、さくらちゃん」

「じゃあって、乃愛ちゃん!?」

「お、おい、乃愛!?」


さくらちゃんと紳ちゃんの呼び止める声を無視をして乃愛は、紳ちゃんとさくらちゃんに向かって手を振ってその場を少し駆け足で離れました。

しばらく走ると胸が苦しくなったけれども紳ちゃんに捕まりなくて無理して家まで急ぎました。

さくらちゃんの恋を応援すると決めたけれども心の中は、辛かったです

辛くてその夜は、枕を涙で濡らしました。

次の日、少し早く起きて学校に先に行こうとしました。

でも学校に行く前に家のチャイムがなりました

家を出ると紳ちゃんが立っていました。


「あ、あの……おはよう、紳ちゃん」


乃愛は、戸惑いを隠すようににっこりと微笑みながら紳ちゃんに向かって挨拶をしました。


「ああ……おはよう、乃愛」


紳ちゃんは、乃愛に向かって優しく微笑みました。

でも今の乃愛には、紳ちゃんの笑顔を見つめるのも辛かったです。


「それじゃあ、学校に行こう、紳ちゃん」


いつものように紳ちゃんの手を握ろうとしたけれどもさくらちゃんの気持ちを思い出して手をひっこめると紳ちゃんの前を歩くように歩きました。


「あ、ああ……学校に行こう、乃愛……」


紳ちゃんは、乃愛が何故いつものように手を握らなかったか戸惑いながら乃愛の後を追いかけた。

しばらく歩くとさくらちゃんが見えてきました。


「おはようございます、紳ちゃん、乃愛ちゃん」


さくらちゃんは、乃愛達に気が付くと手を振りながら乃愛達に近づいてきました。


「お、おはよう、さくらちゃん」


乃愛は、戸惑いを隠すように手を振りながらさくらちゃんに近づきました。


「おはよう、桜……」


紳ちゃんも乃愛の後ろからさくらちゃんに近付いてさくらちゃんに話しかけました。


「……?」


さくらちゃんは、紳ちゃんと乃愛の手を交互に見つめる口元を押さえて少しだけ考え込むと直ぐに乃愛を顔を覗き込んだ。


「……もしかして乃愛ちゃんは、何か無理をしていないですか?」


乃愛は、図星を指されてびっくりしたように声をあげて戸惑いながら少しだけ後ろに一歩さがった。


「えっ!?

そ、そんな事は、ないよ。

乃愛は、いつもと変わらないよ」


乃愛は、慌てて右手を軽く振って誤魔化すようににっこりと微笑みました。


「そうですか……乃愛ちゃんがなんでもないと言うのでしたら詮索は、しません。

でも私にとって乃愛ちゃんは、大切って事を忘れないでくださいね」


さくらちゃんは、しかたなそうにため息を吐くと直ぐに真剣な表情で乃愛を見つめました。


「うん……覚えておくね。

ありがとう、さくらちゃん」


乃愛は、これ以上さくらちゃんに心配かけられなかった思いとさくらちゃんの気持ちが嬉しかったのと合わせて自然と微笑みました。

さくらちゃんの思いを知って改めてさくらちゃんを泣かせたくないって思いました。


「はい、そうしてくださいね」


さくらちゃんは、乃愛の笑顔を見て最高の笑顔を乃愛に向けました。

直ぐにさくらちゃんは、思い出したように自分の腕時計を見ました


「もうこんな時間なのですね。

紳ちゃん、乃愛ちゃん、早く学校に行きましょう」


さくらちゃんは、乃愛と紳ちゃんの方に手を差し出してやんわりと微笑みました。


「ああ……」


紳ちゃんは、さくらちゃんの右手を掴みました。


「う、うん、学校に行こう、さくらちゃん」


乃愛は、戸惑いながらさくらちゃんの左手を握り締めました。

さくらちゃんは、乃愛と紳ちゃんを交互に見つめるとやんわり微笑み学校に向かいました。

さくらちゃんの事が気になって学校の授業に集中できませんでした。

そして気が付くと昼休みになってました。

昼休みになるといつも通り紳ちゃんとさくらちゃんが乃愛の席に来ました。

さくらちゃんは、乃愛の姿を見て口元を押さえて楽しそうにくすくす笑いました。


「くすっ、乃愛ちゃんが授業中に寝てないなんて珍しいですね」

「乃愛だって授業ぐらいちゃんとうけてるよ」


乃愛は、頬を膨らませながら不服そうに睨むようにさくらちゃんを見つめました。


「……いつも居眠りをしている、乃愛がそれを言うのか?」


紳ちゃんは、ため息を吐きながらじとーと乃愛を見つめました。


「うぅ……紳ちゃんの意地悪……」


乃愛は、恨めしそうに睨むように紳ちゃんを見つめました。


「ほら、乃愛ちゃん、そんなに機嫌を悪くしないでください。

昼ご飯でも食べて機嫌を直してください。」


さくらちゃんは、乃愛を落ち着かせるように乃愛の頬を少しだけ頬を突っつきながら優しく話しかけました。


「うん、解ったよ……」


乃愛は、いまいち納得がいかないようだけれどもしぶしぶと自分の意見を飲み込み紳ちゃんとさくらちゃんを見つめました。

それから乃愛達は、昼ご飯をいつも食べている屋上に向かいました。

屋上に着くと紳ちゃんは、ござをひいて弁当を広げました。


「どうぞめしあがれ……」


紳ちゃんは、少しだけ微笑みながら弁当に向かって手を向けました。


「うん、いただきます、紳ちゃん」


乃愛は、両手を合せていただきますをしました。


「はい、いただきますです、紳ちゃん」


さくらちゃんも両手を合せていただきますをしました。

さくらちゃんは、卵焼きをお箸で掴むとそのまま食べました。


「うふふ、美味しいです、紳ちゃん」


さくらちゃんは、幸せそうに食べながら微笑みました

乃愛は、それを楽しそうに見つめると乃愛は、唐揚げをお箸で掴むとそのまま食べました。


「うん、美味しいよ、紳ちゃん」


乃愛は、美味しそうに食べて微笑みました。


「そう……ならまだまだあるからどんどん食べて……」


紳ちゃんは、そう言うとおにぎりをお箸で掴むと食べました。

乃愛は、弁当のおかずを食べながらさくらちゃんの顔を見つめるとある事を実行しようと心に決めました。


「ねえ、明日、学校は、休みだから三人で遊びに行かない?」


乃愛は、さくらちゃんと紳ちゃんを見渡しながら述べた。


「明日ですか……?」


さくらちゃんは、きょとんとすると直ぐに口元を押さえて考え込むと直ぐに顔をあげると乃愛を見つめた。


「明日は、予定ありません。

だから私は、大丈夫です」

「良かった、さくらちゃんは、遊んでくれるんだよね」


乃愛は、安心したように微笑むと次は紳ちゃんの方を向きました。


「それで紳ちゃんは、どうなの?」

「は~~~~~……」


紳ちゃんは、ため息を吐くと直ぐに乃愛を見つめました。


「乃愛をほっておくわけには、いかないだろ。

私も乃愛と一緒に遊ぶよ」


乃愛は、紳ちゃんの言葉を聞いて嬉しそうに微笑むと紳ちゃんの手を握り締めました。


「ありがとう、紳ちゃん」


乃愛は、紳ちゃんの手を離すと紳ちゃんとさくらちゃんを交互に見つめました。


「それなら明日、駅前の噴水広場に午前十時に待ち合わせだからね」


さくらちゃんは、カレンダーの手帳を出して明日の予定を記入をしました。


「解りました。

明日、午前十時に待ち合わせですね」

「うん、それで構わないよ」


乃愛は、小さく頷きさくらちゃんの問いに答えました。


「解った……。

乃愛が言い出しっぺなのだから遅刻するなよ」


紳ちゃんは、冷たい瞳で乃愛を見つめました。


「遅刻なんかしないから大丈夫だよ」


乃愛は、苦笑いを浮かべながら不満を伝えた。

次の日、待ち合わせの5分前にさくらちゃんの携帯電話に今日は、急な予定が出来たから遊べないって伝えました。

でも本当は、予定がなくて紳ちゃんとさくらちゃんのデートをさせる為に紳ちゃん達と遊ぶ約束を止めにしました。

でもさくらちゃんに電話をした一時間後に、家のチャイムが鳴りました。

玄関を出るとさくらちゃんは、立ってました。


「こんばんわ、乃愛ちゃん」


さくらちゃんは、やんわりと微笑みました。


「さくらちゃんは、なんでこんなところにいるの……?」


乃愛は、戸惑いながら呆然とさくらちゃんを見つめました。


「話は、長くなりそうですから部屋に居れてもらえませんか?」


にこやかに微笑むさくらちゃんの笑顔が怒ってるようで乃愛の意見を却下するみたいな怖いオーラをまとってました。


「う、うん、ごめんね、さくらちゃん。

話は、乃愛の部屋で話そう」


乃愛は、慌ててさくらちゃんを自分の部屋に招き入れました。


「あ、あの……飲み物は、何が良いかな?」


乃愛は、さくらちゃんの怒ってるかのような雰囲気にのまれておどおどしながら質問をしました。


「喉は、乾いていません。

ですから飲み物は、大丈夫です」


さくらちゃんは、淡々と話、直ぐに乃愛の申し出を断りました。


「さくらちゃん、もしかして怒ってる……?」


さくらちゃんの冷たい態度をとられて不安そうにさくらちゃんに見つめました。


「乃愛ちゃんは、怒られような事をした自覚があるのですね」


さくらちゃんは、ため息を吐くと気を取り直したように優しく乃愛を見つめました。


「それでどうしてこんな事をしたのですか?」

「それは……」


乃愛は、さくらちゃんに本当の事を言うわけにいかずに気まずさそうに俯きました。


「もしかして私の部屋に置いていた写真立ての後ろに隠していた写真を見たのですか?」

「えっ!?

その……ごめん、さくらちゃん、わざとじゃないの!

たまたま写真立てを落とした時に蓋が外れてその時に写真に気が付いて……

でもさくらちゃんの大事な写真を勝手に見た事は、謝ります。

ごめんなさい」


乃愛は、両手を合せると頭を下げてさくらちゃんに謝りました。


「やっぱり見ていたのですね。

写真の並びが変わってましたから不思議に思ったのですが……

これで乃愛ちゃんのとった行動の謎がとけました」


さくらちゃんは、気まずさそうに苦笑いを浮かべ自分の頬を触りました。


「さくらちゃんは、紳ちゃんに告白しないの?

さくらちゃんだったら紳ちゃんの思いに答えてくれると思うのにな」


乃愛は、後ろで腕を組みながらさくらちゃんを見つめました。


「……乃愛ちゃんは、それで良いんですか?」


さくらちゃんは、乃愛の本心を気づいてるみたいに乃愛の瞳を覗き込みました。


「う、うん、さくらちゃんなら紳ちゃんの事を任されるもん」


乃愛は、自分の本心を隠すようににっこりと微笑みました。


「そうですか……乃愛ちゃんは、残酷ですね……」


さくらちゃんは、一瞬辛そうに微笑みました。

そしてさくらちゃんは、小声で呟いたから乃愛には、何ていったか聞き取れなかったです。


「それが乃愛ちゃんの望みなら紳ちゃんに告白しますね」


さくらちゃんは、先ほどの表情を隠すようににっこりと微笑みました。


「明日の放課後に学校の近くの公園に六時に紳ちゃんを呼び出すからそこで紳ちゃんに告白してください」

「解りました。

それでは、乃愛ちゃん、よろしくお願いしますね」


乃愛は、さくらちゃんが帰ってから紳ちゃんの家に電話をしました。

電話で紳ちゃんにあるから明日の六時に公園に来てくださいって伝えました。

次の日、待ち合わせ時間の前に公園へ向かうとさくらちゃんがいました。

乃愛は、さくらちゃんからみえないように公園の木の陰に隠れました。

しばらくすると紳ちゃんが来ました。


「私は、乃愛に呼ばれて来たのだけれども桜、一人だけか?」


紳ちゃんは、さくらちゃんに近寄ると周りを見渡しました。


「はい、私、一人だけです。

今日は、私が紳ちゃんに話があったから乃愛ちゃんが紳ちゃんを呼び出してくれたんです」

「そうだったんだな……

それで桜、話ってなんだ?」

「それは……」


さくらちゃんは、いいにくそうに紳ちゃんから視線をそらしました。

さくらちゃんが紳ちゃんから視線をそらした拍子に乃愛と目が合いました。

さくらちゃんの瞳が「本当に良いんだね」って言ってました。

乃愛は、一瞬戸惑うと直ぐに小さく一回頷きました。

さくらちゃんは、決心したように紳ちゃんを見つめました。


「紳ちゃん、私ね……」


乃愛は、自分の思いを抑えきれずに紳ちゃんとさくらちゃんの間に飛び出しました。


「待って、さくらちゃん!!」

「何で乃愛がいるんだ……?」


紳ちゃんは、乃愛の姿を見て戸惑いながら乃愛を見つめた。


「ごめんなさい、乃愛ちゃん」


一度乃愛の方を向くと直ぐに紳ちゃんの方を向きました。


「私、紳ちゃんの事が好きです!!」

「ッ!?」


さくらちゃんが紳ちゃんに告白をしたのを見て体をこわばせました。


「ありがとう、桜の気持ちは、嬉しい。

でもごめん、桜の気持ちには、答えらない……」


紳ちゃんは、軽く頭を下げて謝りました


「謝らいで下さい。

紳ちゃんが私の気持ちに答えられないのは、解ってました。

それに紳ちゃんが誰を好きなのかも気づいていましたよ」


さくらちゃんは、苦笑いを浮かべると紳ちゃんに背を向けると後ろで手を組みました。


「それでは私は、行きますね」


さくらちゃんが乃愛の横を通った時にさくらちゃんに目から涙がこぼれるのが見えました。

さくらちゃんの涙を見てさくらちゃんの応援をするって心に決めていたのに直前にさくらちゃんの告白を邪魔してさくらちゃんをもて遊んだようになってしまって自分の醜さに耐えられなくなり自分の両手を強く握り締めて俯きました。


「それで乃愛、何故こんな事をしたのか説明をしてくれるかな?」


紳ちゃんは、怖い顔で乃愛を見つめました。

「それは、その……さくらちゃんの恋を応援しようと思って……」


乃愛は、気まずさそうに紳ちゃんを見つめた。


「それでその結果がこれなわけだよね。

自分の恋くらい自分で決める。

忘れるなよ、乃愛」

「ッ!?」


紳ちゃんは、怒ったように乃愛を睨みました。


「勝手の事をしてごめんなさい、紳ちゃん……」


乃愛は、紳ちゃんの睨んだ視線と自分の身勝手さに耐えられなくなり紳ちゃんから逃げるように走って公園から離れました。

いつもさくらちゃんと紳ちゃんに迷惑かけてばかりです。

それが嫌ででも気がついたら二人を傷つけてしまいました。

乃愛は、自分の事が本気で嫌いになりました。

~つづく~


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