雑日
あらすじにも書いたように、適当な1フレーズからできた物語です。
おつまみ程度に読んでみてください。
「いや、なに。別に大したことではないさ。ただね、誰かに何かを話してみたかっただけなんだ。
まあ、君が興味ないと言うなら僕は黙っているんだけれど、どうなの?
···。あ、そう。興味ないのね。なら、君は席を立って、そしてこの部屋から出ていけばいい。
ん?
出ていかないのか?
そうか。まあ、別に構わないし、僕はこれからさっき話そうとしたことをベラベラと喋るつもりだが、いいのか?
いい。
あ、そう。
なら、聞いてくれ。
え?
あ、聞かないけど、お前には喋ってろって?
まあ、いいが、うーん?
まあ、じゃあ、聞き流してくれ。
別に大した話ではないのは本当でね。うん。ただ、まあ、僕にとっては割と大切だから、こういう話をするだけどさ。
いや、ね。別に重大なことは言わないんだよ。君にとっては。まあ、ここまで聞いてくれてるってことは気にはなってるんだろうけど。
そうだな。
そろそろ本題に入ろうか。
人間ってのはきっと、ただの寂しがり屋なんだろうね。いくら、一人で大丈夫などと強がっても孤独には耐えられないんだよね。
そう言う意味で僕は誰かと話がしたくてしょうがないんだ。
別に、毎日、数人の人間と会話をするけどね、それも、ほぼ恒常化していて、聞いていて飽きたんだよ。
だから、今回は僕から話しかけるんだよ。
僕ね、夢が、あってさ。
誰かを思いっきり抱きしめてみたいんだ。ギュッて。
それだけでいいからさ、やってみたいんだよね。互いの体温を感じながら。ああ、ロマンチックというか、純情でいいなあって。
でさ、誰でもいいわけじゃないんだよ。
君がいいんだ。
別に、今すぐ抱きしめさせろとは言わないさ。ただ、付き合ってださい。」
* * *
私はラジカセのボタンを押した。