*後書き*
聖安戦記・外伝「凍える夢」はこれにて完結です。
趣向を変えて、麗蘭たちの時代より五百年前、紗柄を主人公にしたお話でしたが、いかがでしたでしょうか。
いつもと同様、各話の解説は自サイトのブログに載せていますので、そちらをご覧いただくこととして。ここでは全体的な話を書いておきます。
◆書きたかったこと
紗柄と霞乃江の物語の原型は、十五年以上前からできていました。
「荒国に蘭」「金色の螺旋」「偽王の骸」を書いて、その先に行く前に語りたかったことを語るために、このタイミングでこのお話を書きました。
今回書きたかったのは、麗蘭と瑠璃のルーツというか、どんな成長を経て本編の二人になったか。ラスボスである黒神とはどんな関係であったか。「神巫女」とはどんな存在か。妖王はどんな男だったのか。このあたりでしょうか。
一番最初の光龍である奈雷は、光龍として生きましたが、紗柄は違いました。その経験を踏まえて、麗蘭は、今のところ光龍として生きています。一方瑠璃のラインは、霞乃江も瑠璃も、闇龍として、というより黒神に尽くすために生きています。その辺りの想いの違いも書きたいと思っていました。
お気付きの方もいらしゃると思いますが、麗蘭は紗柄と異なり、黒神とのことを思い出していません。紗柄は思い出したうえで、雪を選びました。この先本編で、麗蘭がどうなっていくかがポイントです。
◆この先のこと
まずは「金色の螺旋」の文庫本下巻を出そうと思っています。
今回のお話も、連載自体は短期でしたが、執筆は2017年の夏からやっておりました。実のところ、かなり執筆疲れを感じており、今作も終盤は走り気味になりました。私の作品をずっと読んでくださってる方はクオリティからして気付かれたかもしれませんが、相当息切れして書いていました。
なので、新作の制作は大分先にしたいと思っています。次はおそらく「偽王の骸」の続編(本編最終章)か、黒神の過去のお話(外伝)。もし前者なら「金色の螺旋」の時並みに力を入れなければならないと考えておりますので、失ったエネルギーをチャージしてから取り掛かりたいな、と。後者なら、プロットもすべてできているのですぐ書けるのですが(笑)、本編の先にこの外伝を世に出していいか、決めかねています。
息切れしましたが、本作のストーリーは、わたしとしてもとても気に入るものになりました。
メリーバッドエンドのようなお話とはいえ、少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。
ではまた、次の作品でもお付き合いいただけることを祈って。




