表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

デッキB「ハ長調、ハッピーエンド」

∞九時半

@アパート

マナミ「余計なお世話よ。悪いけど、もう帰って」

リョウイチ「こりゃ、かなり虫の居所が悪そうだ。ここは、ひとまず撤収しよう」

クロノス『テープ、チェンジ』

クロノス、ガチャっと切り替えボタンを押す。

マナミ「まぁ、その、手ぶらで帰すのもアレだから、……ハイ」

リョウイチ「おっ、ラッキー。いただきます」

マナミ「呆れた。兄としてのプライドは無いの?」

リョウイチ「あったら、もっと堅実な人生を歩んでる」

マナミ「その通りね。あらかじめ釘を刺しときますけど、そのお金は、仕事探しで有意義に使いなさいよ。くれぐれも、パチンコや競馬で摩るんじゃないわよ。良いわね?」

リョウイチ「あいよ。さてさて、小遣いももらったことだし、お暇して差し上げましょう。お邪魔さま。それじゃあ、久々に職業安定所に行こうかねぇ」


∞十時

@街中

リンナ「あぁ、もぅ、ムカつくなぁ。いっそ」

リョウイチ「凛ちゃん、危ない」

リンナ「え? キャア」

リョウイチ、リンナを猛スピードで突き飛ばす。リンナ、その場から離れた地点で尻餅。

♪建築資材が落下する、けたたましい金属音。

リョウイチ「ゴッホ、ゴホン。オアッ。怪我は無いかい、凛ちゃん?」

リンナ「あたしは、大丈夫。それより、伯父さんの方が」

リョウイチ「平気、平気。ただ、足首周りをパイプで三角にホールドされてどうにもしようがないから、救急車を呼ぶよ」

リンナ「それなら、わたしが」

リョウイチ「いいや、俺にやらせて。これはきっと、今まで怠惰に過ごしてきたバチが当たったに違いない。ツケは自力で払わなきゃ」

リンナ「でも」

リョウイチ「いいから、いいから。それより、早くママの元へ帰りなさい。いま、凛ちゃんが一番にすべきことは、ママと仲直りすることだ。伯父さんの方は、ひとりで解決できるから」

リンナ「伯父さん。ごめんなさい。ありがとうございます」

リンナ、後ろ髪を引かれつつ、立ち去る。

ケンタ、物陰から登場。

ケンタ「カッコつけてる場合ですか、亮一さん。いやはや。我が義兄ながら、呆れて物が言えない。つまらぬ意地を張るところは、愛美さんと一緒だ」

リョウイチ「ゲッ、健太。何でこんなときに、ここにいるんだよ。愛美には、しばらくシカゴ支社に居るって言ったそうじゃないか。浮気でもしてるのか?」

ケンタ「私は、愛美さん一筋ですよ。一時帰宅の申請が通ったので、こっそり戻ってきたんです。驚かせようと思って二人には連絡せずに来たのですが、帰国早々、私の方が驚かされてしまいました。まったく、とんだサプライズですね。プラカードをお持ちなら、早く出してください」

リョウイチ「これはドッキリじゃない。ヘン。相変わらず、アメリカかぶれで気障な野郎だぜ」

ケンタ「グローバルな人材だと評価してもらいたいですね。ともかく。ここは予定を変更して、人命救助を優先しましょう。九一一、いや、一一九番でしたね」

リョウイチ「オイ。さっきのやり取りが聞こえてなかったのか?」

ケンタ「承知の上ですよ。――もしもし、救急です。男が一人、落下してきた建築資材で足を挟まれて倒れています。場所は、新町三丁目、百八生命ビルの向かい側です。怪我人に意識はあり、上半身は自由に動かせるようです。はい、そうです。目立った外傷もありません。はい」

リョウイチ「せめて、俺に代われ」

ケンタ「すぐ向かうと言ってますから、怪我人らしく大人しくしてなさい。――もしもし? はい。いまの声が、そうです。はい。これ以上、崩れる危険性は極めて少ないと思います。はい。それでは、このまま切らずに、お待ちしてます」


∞十時半

@アパート

リンナ「ただいま」

マナミ「お帰り。早かったわね」

リンナ「うん。ちょっとね」

マナミ「さっきまで伯父さんが居たんだけど、戻る途中で、すれ違わなかった?」

リンナ「(会ったと知ったら、さっきの事故のことも言わなきゃいけないし、そうなったら、何で置き去りにしたのかって怒られるに決まってるだろうから、ここはシラを切ろう)そうなの? 知らない」

マナミ「そう(疑わしいけど、何か物言いたげな顔だから、ここは、語るに任せてみよう)」

リンナ「あの、その。……さっきは、ごめんなさい」

マナミ「良いのよ。ママも言い過ぎたわ。ごめんなさい」

リンナ「それで、ママ。あのね。将来のことで、真面目に相談したいことがあるの。聞いてくれる?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ