第3章 ~ ⑧ 過去
"過去"となった恋を受け入れるために・・・
「 雨つぶ 」
雨。
久しぶりの雨が
またひとつ
懐かしい君の記憶を
連れてくる・・・
傘を忘れた君が
フードをかぶって歩き出し
差し出した傘にも入らず
照れ隠しに鼻をこすってた
そんな場面を思い出し
まだ少し明るい
夕空を仰いだ
小さな雨つぶが
ポツリ
額に、
ほほに落ちて
私を濡らす
心を
濡らしてゆく・・・
もう
帰ろう
今日はこのまま
傘をささずに
あの時の
君のように
フードをかぶって
雨つぶと一緒に
流れては落ちる、
涙を
隠して・・・
「 臆病もの。」
私には
出来なかった
君に想いを伝えるということ。
ホントはこわかった
君との距離が壊れそうで、
君を
困らせてしまいそうで、
君が今より
離れてしまいそうで、
どうしても
出来なかった
君が欲しかったのに
どうしようもなく
君じゃなきゃだめだったのに
諦められなかったのに
君が居なくなると
知った時も
打ち明ける勇気を
持つことは
出来なかった・・・
臆病者。
今になればそう思う。
けれどそうするしか
なかった
たとえ君を失った日々が
想像以上にツライと
知っていたとしても
戸惑う君の顔は
見たくなかった
君は私を選ばないと
わかっていたから
だから
悲しくても
君を恨んではいない
君と結ばれなかったのは
きっと運命
・・・そんな
都合のいい考え方が
私の背中を
押してくれるかな・・・
前を向くことが大切。
わかっていても
胸の奥に
今も残る傷が
踏み出そうとする
足を止めてしまう
・・・勇気が欲しい
君を
過去の想い出に
変える勇気が欲しい
いつか
どこかで君と出逢った時、
その時こそ
澄みきった
心と笑顔で言えるように
「 君のこと
大好きだった 」・・・と。
読んでくださり、ありがとうございます!
次回は ~⑨君へ・・・ 。いよいよ完結です。よろしくお願い致します!