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井の中の蛙大海を知らず  作者: 暇王
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第一話【青年】

取り敢えずは精一杯頑張ります拙いですが読んでくれるとありがたいです_(._.)_ 

爛々と輝く夜の街、その街から放たれる光は、極めて例えるならば、漏電したブルーライトの電灯。

バチバチと、危うい音を叫びながらも、その魅惑的な青く鮮やかな光は、まるで吸い寄せるように暗闇を彷徨う虫達をその身に集わせる。

そしてその青い光は、待ってましたとばかりに虫たちの身を焼焦がす。



そんな夜の街の片隅、危うい輝きの届かぬ暗闇に、一人の青年がいた。



青年は、その街に佇むには、およそ似つかわしくない様相だった。

街を歩く者は皆、煌びやかな衣装を身にまとい、ある者は笑い、ある者は怒り、その様は正に喜怒哀楽に包まれていた。


比べて青年は、袖を捲くった状態のくたびれた白いカッターシャツに、薄い灰色のズボンで、ここ夜の街においておよそ場違いな服装である。


そして、なにより異質なのはその表情だ。

欲望や悪意に満ち、しかし癒し、活力を与えてくれるその街において、青年の表情には喜怒哀楽、そのどれも映し出されてはいなかったのだ。

瞳の奥は曇ったガラスのように濁り、どこか諦めたような雰囲気まで感じられる。


爛々と照らす光の影で一人きり、青年は呟く。




「今日は出てこないのか...」




どこか落胆した様子で、青年は何も映さなかったその瞳の奥に、少しだけ哀しい色を滲ませた。

しかしまたすぐに諦めたような雰囲気を醸し出し、暗闇を後にしようと光に向かって歩き出す。


すると、いくばくも経たぬうちに笑い声が聞こえてきた。




「なんだあれ? 場違いな格好だな」




明らかに嘲笑するような笑い声のその矛先が、自らにむいていることに青年はすぐに気づいた。

が、青年は、さして気にせず歩みを進める。


一瞥すらなく、表情を変えずに歩く青年に、声の主が苛立つ。




「...無視かよ? 今お前を笑ったんだけど?」




声の主は明らかに挑発するように、今度はしっかり声をかけた。

しかし、青年は歩みを止めず、振り向こうともせず、また、逃げ出そうともしなかった。

ゆったりと、ただ歩き続ける。




(馬鹿にしてるのか?)




挑発した筈の声の主が、まるで自分が挑発されたように顔を歪ませる。


するとそこに居合わせたもう一人別の人物が、声の主を落ち着かせようと言葉をかける。




「“隆行”ほっとけって、ビビってるだけだよ」




どうやら声の主の名は隆行というらしい。

話しかけたのはその友人のようだ。

もういいだろう? と、肩をすくめ、行くぞ と、隆行の背を軽く叩く。

しかし、“馬鹿にされた”と感じた隆行は動かない。




「うるせぇ..行きたきゃ行けよ、あいつは俺を馬鹿にした。」




友人の言葉をやや強引に却下し、苛ついた感情を抑えようともせず、悠然と歩みを進める目の前の場違いな男を睨み続ける。

友人は深く溜め息をついた。




「...はぁ...わかった、つきあうよ。」




やれやれ といった様子で友人はその場にとどまる。

すると隆行は苛ついた表情から、一瞬バツの悪そうな表情に変わり言った。




「...ごめん広喜...ちょっと言い方キツかったわ...」




“広喜” そう呼ばれた友人は先程のように肩をすくませ、気にすんな と、隆行の肩に手を置いた。




「で?どうすんの?あいつ」




そう尋ねた広喜に、隆行は即答した。

ギラついた笑みを浮かべて...…




「泣くまで殴って跪かせる」




不気味な笑みを浮かべてそう言った隆行のシンプルな答えに、広喜は呆れながらも戦慄した。

今まで隆行と一緒にいた中でこんな不気味な笑みは見た事がなかったのだ。

初めて見た友人の表情に、広喜は同時にえも言われぬ危うさを感じた。




「隆行...おまーー」




堪らず隆行にむけて口を開いたその時、既に隆行は行動をおこしていた。

路上の片隅に捨てられた割れたグラスの欠片を、自分を一瞥すらせず過ぎ去ろうとしていく青年にむけて思いきり投げつけていたのだ。

当たりどころが良くても出血、悪ければ惨事を免れないその行為を容易に実行した隆行に、広喜は表情を青くする。


まっすぐ青年へと伸びた凶器は、その進路を何にも阻まれることなく青年の肩口に直撃すると、ゴトリと音をたてて地面に落ちた。


容赦のない隆行の行動、そしてその結果起きた衝撃的な光景に、広喜はより一層顔を青くさせ言葉を発せずにいた。

見ると青年の肩口からは、カッターシャツごしに決して少量とは言えないほどの血が滲み出ている。

広喜はいまだ冷静になれぬまま自分の横にいる友人、隆行へ視線をむける。

きっと隆行自身、衝動に任せてやり過ぎてしまったと恐れおののき、愕然としているはずだと。

しかし、そこにいた友人、隆行の表情は違った。

それはまるでゲームやスポーツに没頭する少年のようにキラキラとしたものだった。

やってやった、と、勝ち誇っているようにも見える。

自分の知らない隆行の姿に、もはや広喜は危うさを通り越して恐怖心さえ抱いていた。


そんな広喜を尻目に、隆行は青年にむけて蔑みの言葉を放った。




「場違いも極まったね〜...ま、気は済んだわ。

これでも無視すんならもーいいわ、とっとと逃げ帰ってください。これに懲りたら教訓にしろよ?人を蔑ろにはしてはいけない。って」




嘲りながら。

そして最後に青年の恐怖に歪んだ顔を見てやろうと立ち止まった青年に近づく。

青年は傷つき、血を流す自分の肩を見ることさえ出来ない。

それ程恐怖を感じているのだ。

と、隆行はそう思っていた。

しかし、隆行が青年の元にたどり着く前に、青年はまた歩き始めた。

ニヤリ、と、隆行は笑みを浮かべる。

やはり恐怖しているのだ、と、自身に近づいてくる自分が怖いのだ、と、そう隆行は思い、自らの加虐心に再度火をつけた。


そんな隆行を、広喜はもはや友人とは思えなくなっていた。

自分の知る隆行は、こんな恐ろしい者では無かったはずだ。

一刻も早くこの場を、隆行のもとを離れたい。

そうしなければいつか、あの青年にむけられている狂気が、何かの拍子に自分にむくのではとそう思っていた。




「っ!?」




その時、不意に背筋を走る悪寒を感じた。

それは隆行に感じたものとはまるで比べ物にならない本能が警鐘を鳴らす“なにか”だった。

広喜はその“なにか”がどこから放たれているか、すぐに理解した。


隆行は自らの加虐心に身を任せ、またもや手近にあったガラス片を拾い上げ、凶器に変えて目の前の青年に今度は直接振りかぶった。




「ごめんね、やっぱ...逃がすの…...…無しっ!!」




そう言って振りおろした刃は






《ブスッ》






「隆行っ!!走れ!」



「っ!?」







おそろしいほど冷たい眼をした青年に、鷲掴みにされていた。

なんか全部考えながら書いてます。自分は事前にまとめるとそれで満足してしまうんで(--;)1万字とか……多分果てしない時間がかかります(T_T)読んでくれると嬉しいです(〃▽〃)では(^_^)ノ

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