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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ホモハーレムはご遠慮いたします。

ハーレムが当たり前の世界でBLゲーのマルチエンドだとっ?! 【ハーレムが当たり前だとホモが増殖するよな 続編】

作者: 煌流

◆―――――――◆ ダインEND ◆―――――――◆


ダインが部屋に戻ると、ベッドの上に小山ができていた。

シーツをかぶったそれの端をぺらっとめくると、布の奥の茶色い瞳と視線が合う。

「ショウ」

小声で驚かさないように声をかけるが、その途端シーツの中身がピクリと身を竦ませるのが伝わってきた。

「大丈夫だ、ショウ。 ここは安全だ」

そう言うと、じわりとショウの瞳に涙が浮かんできた。

たまらなくなって、シーツごとショウの体を引き寄せて抱きしめる。

俺より頭一つ分低い体は、すっぽりと抱きこめた。


「ダイン……怖かった、助けてくれてありがとう」

ポツリとつぶやくショウの声がいつもの元気が全くない。

伝わってくる温度が愛しくて、放したくなくて、俺は万感の想いをこめた。

「俺にしとけ、ショウ」


「ずっと好きだった。俺が、何があっても守るから」


そう言うと、遂にショウの目から涙が零れ落ちた。

ぎゅう、と俺の背中に手が回される。

そして俺にしか聞こえない小さな声。

俺は笑顔で応えた。




ショウ『俺が怒りに駆られることはあっても、怯えるとかねぇわ』






◆―――――――◆ アレックスEND ◆―――――――◆


「もう嫌だ嫌だ嫌だ! あんな親なんか要らない!

こんな街、こんな国なんか滅びてしまえばいい!」

アレックスがそう叫んだ。

幼い丸い頬は涙で痛々しく濡れ、小さな手は誰のものとも知れない赤い血に染まっている。

俺はその様が痛々しく、可哀想で何も言えなかった。


「戻れよ」

アレックスが全てを突き放すような冷たい声で言う。

「ショウは、明るい日なたの世界に戻れよ! 僕は、ぼくは……っ」

そう叫ぶと、また新たな涙がぽろぽろと零れた。

思わず跪いてその小さな体を引き寄せる。


「一緒にいるよ」

「ウソだっ!」

「嘘なもんか、俺はアレックスとずっと一緒だ」

「ウソだもん! ショウも俺のことを置いていっちゃうんだ!」

「そんなことは絶対しない。 ずっと、ずっと一緒にいよう」

「本当……?」

「あぁ、俺はこんなことで嘘なんて言わない。

世界中の全てがアレックスの敵になったって、俺は味方だ」


顔をゆがめてアレックスは更に泣き出した。

でもその表情はずっと柔らなくなっていて、俺はその小さな体を強く抱きしめた。




ショウ『おい、子供をマジ泣きさせてんのは誰だ。たとえ親だろうと俺がぶっ飛ばす』







◆―――――――◆ ヘルクアイズEND ◆―――――――◆


打ち捨てられた教会は天上や壁の一部が崩れている。

降り注ぐ月光に浮き上がる内部は、かつての栄華を思い起こさせるからこそうら寂しい。

夜の光を浴びながら、どこか切なげな風情で少年が神像の下に一人佇んでいる。


「ショウ君」

虫の音しか聞こえない静寂を破って男の声が響いた。

「ヘルクアイズ先生」

振り返った少年は一瞬かすかに笑ったが、切なげに目を細めて笑みを消した。

「こんな所にいたんだね、心配したよ……帰ろう、ショウ君」

少年は、黙ったまま床に散らばる神像の欠片を見詰めている。


「結婚……おめでとうございます」

重苦しい沈黙の後の呟きは、ぽとりと地に落ちて拡散した。

「ショウ君、知って、いたのかい」

「えぇ、お兄さん亡くなられたんですよね……跡継ぎに、なるのですよね?」


小さな、今にもこの世から消えてしまいそうなかそけき虫の音。

僕の想いに応えてと必死に歌を歌う。


「おめでとうございます、っていう顔じゃあないよ、ショウ君」

「だって」

ショウの顔がゆがむ。

「だって、俺……っ!」


ふわりと、その視界を白いものが舞う。

きょとりとショウが瞬くと、ヘルクアイズはひっそり笑った。

「似合っているよ、ショウ君」

「先生、これ……」

ショウの頭から背中まで覆い、床に触れそうなほどのそれは、繊細なレースで編まれたヴェールだ。

花嫁が祝いの時に身に着けるそれ。

「結婚しようか、ショウ」

「先生っ!」

悲鳴のような声が夜を破って、一瞬虫の音すら消える。

「大丈夫さ、そんな世界が今にも終わるような顔をするんじゃない。

跡継ぎ候補は、僕がちょっと他より優勢というだけさ。

無駄な権力争いは好きじゃないんだよ。

それに、僕は君を得られるしオールオッケー!だ」

「先生……」

「クンツだ」

「え?」

「僕の名前だ。 呼んでくれあいかい」

「クンツ、さん?」

「僕の花嫁さんになってくれるかい?」

「……。 …はい」

花嫁のようにヴェールを纏って少年は笑う、誰も祝福する者のいない教会で。

男は嬉しそうに笑って、少年を抱き寄せた。




ショウ『は、花wwwww嫁wwwww お、れ、がwwwブッフォwwwwねぇわw』

追伸:この世界では、男性同士で結婚できます。

が、生家の財産権などは自動的に全て放棄されます。






◆―――――――◆ レトガーEND ◆―――――――◆


ギチリと歯が肩の肉を食む。

苦痛にショウは体を強張らせたが、悲鳴は歯を食いしばってこらえる。

「殺したくない、殺したくないあぁぁあああああ!!」

レトガーの悲鳴が空気を裂く。

「ショウ、ショウ、君は俺が見つけた宝物だ。

大事にしたい、できない、君を誰にも渡したくない、でも殺すのは嫌だ」

悲しみと憤怒に染まり紅く光るレトガーの瞳を、ショウは黙って見詰め返した。


「……食べてもいいよ?」

その言葉に、レトガーが凍りつく。

「前に言ってたじゃん、俺のこと食いたいって。 食ってもいいよ、全部」

「ショウ?」

「殿下に教えてもらったんだ、サペル族の『喰らいたい』は最上の愛情表現だって」


「だから」

ショウがふわりと笑みを見せる。

「俺のこと、残さず全部食べて」

レトガーは声もなく、少年の体をかき抱いた。




ショウ『蛇ってさ、白身で淡白で美味しいんだろ?』しゃ~こしゃ~こしゃ~こ(包丁を研ぐ音)






◆―――――――◆ クラウディオEND ◆―――――――◆


俺は呆然としていた。

遂にこの日がやってきてしまった。散々抵抗はしたが、王家の権威には逆らえなかった。


ここは王家の、特に直系の方々が日々を過ごす安寧宮。

その食堂に、現王とその家族が集っている。

その中に紛れ込んでしまった異分子、それが俺だ。

あかんやろ、俺は平民だぞ。


長方形の食卓の、いわゆるお誕生日席に陣取るのは王様。

つまり、クラウディオ殿下のお父上だ。

40代と聞いたがまだまだ若々しく、なによりその覇気は全てを支配する王に相応しい。

彼の妻が5人中3人、それと王太子殿下と主役のクラウディオ殿下とうるさくしない年齢に達した殿下と姫が9人。

プラス俺。


好奇の視線がグサリグサリと突き刺さる。

クラウディオ殿下がいなきゃ泣いて逃げ出す現場だが、その本人が俺をこんな状況に突き落としている訳で……。



陛下が俺を見てさも楽しそうにニヤリと笑った。

嘲笑とかではない、どうにも面白がってそうだが暖かみを感じさせる表情だ。

これが演技でない限りは、俺は好意的に受け入れられているらしい。


「ショウと言ったな。クラウディオは優秀な王子なのに、共鳴魔力を持っているばかりに連れあいを見つけられるか心配だったのだ。

父親として、息子の幸せを願っていた。

君の事はかねがね聞いていたよ、よろしく頼む」

「えぇ、本当に。

私達以外に心を許さないクラウディオにそれは心配していたのよ。

これで一安心だわ。

口さがない者たちもいるでしょう、その者たちの言葉は私達が封じます。

だから、なにも心配しないで私達に全て任せてちょうだいね。」


陛下とクラウディオ殿下の母君にそう言われた。

俺は頭が真っ白になった。

なったまま、なんか返事をした。

「勿体ないお言葉です」とか、そんなんだ。


王太子殿下…殿下の兄上からも、ほっとしたような顔で「祝福するよ」といわれる。

殿下のまだ小さい弟と妹達は、それは嬉しそうに口々に俺達に「おめでとう」とか笑顔を贈ってくれた。

終いには、「お嫁さんになるんでしょ、赤ちゃん楽しみ!」と一番末の妹姫に断言された……。


あぁこれで終わった。

外堀が完全に埋め立てられて、もう逃げ場がどこにもない。

殿下がそれは嬉しそうに笑って俺の右手をとり、手の甲にキスをしてきた。




ショウ『……………………現実味がありすぎて、怖い……』






◆―――――――◆◆―――――――◆◆―――――――◆




俺はげんなりしていた。


最初は、朝一番のダインの突撃だった。

「すばらしい夢を見た、これは正夢だ! さぁ俺との未来を現実にしよう!」

と訳の分からんことを言われて、ついでに迫られてぶっ飛ばした。

その後も授業の合間を縫っていつものメンバーにかわるがわる妙なこと言われた。


あげく、放課後になったらこの喫茶店に拉致られた。

なぜかアレックスもちゃっかり紛れ込んでいる。

なんでこういう時のこいつらは仲がいいんだろう、見事に一致団結してるぞ。


ここは学園の正門の近くにある喫茶店で、学園の生徒と家族が会ったりするので唯一敷地内で部外者の立ち入りが許されているのだ。

いつもはなかなか賑わっているのだが、どんな手段を使ったのやら今は俺達しかいない。

そして、こいつらは「今朝方見たそれは甘美な夢」を口々に披露しだしたのだ。

多分、お互いの競争意識もあったのだろう。

俺はそれに盛大に噴き出したり、ありえなさに腹が痛くなるほど笑い転げた。


ケーゼクーヘンがすっげぇ美味しい、さすが貴族向けのお店だな。

お代がいくらになるか想像したくないけど、まぁここはヘルクアイズ先生かクラウディオ殿下が支払ってくださるだろ。


全員の話が出尽くしたところで、俺は紅茶を一口飲んでから言い渡してやった。

「ばっかだなお前ら。 正夢ってのはな、その夢を人に言ったら叶わないんだぜ?」

その後の阿鼻叫喚は想像に任せる。






総評:殿下END以外の俺はニセモノだな。

ダイン→プルプル小動物エンド

アレックス→ずっと一緒エンド

ヘルクアイズ先生→花嫁エンド

レトガーさん→食べていいよエンド

クラウディオ殿下→王家の皆さんに囲まれてやべぇ詰んだエンド


やたら主人公が抱き寄せられていますが、これが作者精一杯の愛情表現でした。

最初はもう少しエロっぽいのにしようと思ってたのに敢え無く敗退です。

書いてる途中のダメージがすごすぎてほとんど推敲できてないのです、文章がおかしかったら申し訳ありません。

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― 新着の感想 ―
[一言] 何気にすっごく面白いんですけど。おすすめエンドはクラウディオ殿下ですね。詰んじゃって下さい。
[良い点] おもしろいです。楽しい作品をありがとうございました。
[良い点] 主人公、最強すぐる…! 殿下が一番、主人公を理解している件。 [一言] ショウくんのチュニックはいいかほりがしました(∩´∀`∩)。 このまま主人公が色んなナニをポッキンしつつ、逃げ切る様…
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