魔法
ーそれから数週間、俺は何回殺されただろうか?イクシズの話だとそろそろ別の世界へ翔ぶらしい。俺は強くなれただろうか?まともな戦力になるのだろうか?
「では、次の世界へ翔ぼう。」
イクシズが操縦桿らしきものに手を置く。すると突如、船体が輝き次に外に目を向けた時には既に別の光景がそこにはあった。
「ここは…?」
「ここはお前の世界で言うRPGゲームのような世界だ。科学技術の代わりに魔法などに特化している。」
本当に世界を翔んだんだ。もうここは俺のいた世界ではないのだな。と、外を眺めているとイクシズが一つの提案をした。
「…外に出てみるか?」
「いいのか?」
「しばらくこっちに滞在するし別にいいぞ。ただ、一つ任務をお前に与える。」
「任務?」
「この世界の地理的情報はお前が前にいた世界とほとんど一緒だ。その他は全く違うが。文明は中世レベル。しかし、この世界には魔法というものがある。任務完了の条件は2つ、一つ目はお前自身のフェイズ2への到達、もう一つはこの世界の内情調査だ。期間は1年だ。何か質問は?」
「その間俺はどうやって生活すればいい?」
「この世界にはギルドというものがある。要するに何でも屋だ。これの最大の特徴は誰でも仕事を得ることができることだ。お前は遠くから来た旅人ということにでもして生きていくだけの金を稼げ。」
「俺の力でそんなゲームの世界で生き残れるのか?」
「フェイズ1の力なら大丈夫だ。身体強化だけで十分常人をはるかに凌駕する。」
「わかった。」
「そうそう、魔法のことに関してはヨミにでも聞いて予備知識を入れておけ。」
守は言われるがままヨミさんを探しに出た。のだが、船内はとてつもなく広い。
「…広いな。遭難できるんじゃねぇの?」
「どうしたの?何か探してる?」
行き先もわからずうろうろしていると後ろから探している本人に声をかけられた。
「ちょうど探してたんだ。ヨミさん。」
「ヨミでいいわよ。で、何か用?」
「あぁ、この世界でしばらく過ごせと言われて魔法についての知識を教えてもらおうと思ってたんだ。」
「魔法の知識ね。オッケー、じゃあついてきて。」
そういって案内されたのはとてつもない量の本が並ぶ部屋だった。
「さてと、守くん。君は魔法についてどのくらい知ってる?」
「えっと…なんか、フワッとだしてブワァァァッとなる感じ?」
「プッ、あはははははは!…まぁ、間違ってるわけじゃないけどすごく抽象的ね。魔法というのはね、その人が使える属性が決まってるのよ。」
「属性?」
「火、水、土、風、光、闇、時空の7つよ。これらの中から大抵の人は多くても3つくらいまでしか使えないの。」
「ならあんたは何属性使えるんだ?もちろん、その大抵の人には属さないんだろ?」
「フフッ、バレちゃった。私と…あとイクシズは7属性全てが使えるわ。」
「…ゼンブ?」
ヨミが守の胸に手を置く。
「そう、全部よ。魔力量の違いによる差はあるけどね。さて、君はどんな種類の…っ!」
ヨミが驚いて一歩下がる。
「どうした?」
「君って、いろいろおかしいわよ。使える魔法が1種、しかも…時空属性なんて。」
「そうなのか?」
「本来は1種なんて落ちこぼれの部類なんだけど、魔力量がおかしいわ。あなたも十分例外の部類よ。」
「褒めてるのか、貶されてるのか…。」
「以上で魔法に関する基本講義は終了よ。さ、この世界を楽しんできてね。」
ブリーフィングルームに戻るとイクシズが待っていた。
「魔法に関することは聞いてきたか?」
「ああ。俺の異常さも、あんたの規格外さも。」
イクシズの手が守に触れた次の瞬間、イクシズと守は地上に立っていた。
「それも魔法か?」
イクシズは何も言わずある宝石のようなものを投げた。
「フッ、さあ行ってこい。俺たちを呼びたい時はこの石に魔力を注げ。なにもなければ1年後に迎えに行く。」
「ちょっと待った…俺は何の準備もしてな…」
「じゃあな。」
と言い残し、イクシズは消えてしまった。
ーこれからどうしよう。
今回から魔法が登場しますが、設定は基本的に前作と変わりません。おそらくここしばらく主人公たちが滞在する世界は前作と被る部分が多いと思います。