ワールド・クルーザー
「手に入れたようだな、俺たちと同じ力を。」
「あんたも?なら刀はどこにある?」
と守が聞くと、イクシズは刀を抜くそぶりを見せた。すると何もなかったはずに空間から一振りの刀が出現した。
「そんなことが出来るのか?」
「お前はまだフェイズ1を開いたに過ぎん。その状態ならまだこれは出来ない。」
「フェイズ2を開くにはどうすればいい?」
「自分の力を把握することだ。フェイズ1はどの刀も共通で身体強化、フェイズ2で固有の能力がてに入る。まずはそこを目指せ。」
守が頷くとイクシズは満足したように言った。
「ふむ、では改めてようこそ、我が『ワールド・クルーザー』へ。」
イクシズの言葉と同時に2人は別の空間に移動した。
「…イクシズ、説明してくれ。」
「この箱舟はお前の知らない技術、力で溢れている。いつか、理解出来るだろう。そしてここはコントロールルームだ。覚えておくといい。」
確かによく見るとそこはなんらかのコントロールルームのように見えた。しかし、イクシズはすぐに操縦室から出ていった。守がついていくと、彼はとある部屋に入った。
「さてと。ここはブリーフィングルームだ。そしてここにいるのが…」
イクシズの後ろに誰かいる。4人…いや、5人か?
「俺たちの仲間だ。」
「俺たちの…仲間…。」
「私はリブラ。科学者だ。」
確かにそうらしい。目の前にいるのは白衣を纏いボサボサの頭と無精髭を生やした男だった。
「…俺の名は洛。侍だ。」
見りゃわかるわ。和服、草履、そして刀を腰に差してやがる。
「私はヨミ、そうね…魔術師とでも言っておこうかしら。」
全身を黒いローブで包んでいたが、体格や声、口調からすると女の人だろう。…ん?魔術師?
「俺はバレット。こいつら風に自己紹介するならガンナーだ。」
スーツがよく似合いますね。カタギの人には見えません。
「とまあ、こんなもんだ。お前も自己紹介しとけ、守。」
「あぁ、俺は無神 守だ。あんたらのようにこれといった特徴はない。」
「さて、この組織について話しておくか。我々は基本的には具体的な行動の指示は出さない。様々な世界を旅する中で各々の許せないもの、正すべきだと感じたもの、個人、組織、時には世界を相手に宣戦布告し、相手取る。それには一応リーダーである俺の承認が必要なんだが…、細かいことはやりながら覚えろ。以上だ。」
とイクシズがいい終わるのと同時に周りがぞろぞろと出ていく。そして、守とイクシズを除く全員が出た頃、
「とまあ、あれがここの主要メンバーだ。他にもそれぞれに直属の部下たちがいて、この箱舟『ノア』の管理をしていたり時には戦闘にも出ている。まあ、俺たちとの1番の違いはこの刀の有無だ。これに関しては俺とお前とさっき紹介した連中の6人しか持っていない。」
「なるほど。で、俺はどうすればいい?」
「しばらくはお前に強くなってもらわないとな。はいところフェイズ2まで進めなければならん。まずは、今のお前の力を自覚しろ。」
と言われ、突如イクシズに斬りつけられた。守は全く反応出来ずもろに一太刀浴びてしまう。
「ぐふっ…!何…すんだよ…。このままじゃ…死……なない!?」
「そうだ。刀の力を得たものは『死』と『時間』を奪われる。それが、この力の代償だ。」
要するに不老不死か。これが代償?利点じゃないのか?
「まあ、お前にもわかる時がくる。死ねない辛さが。」
「人の考えを…!」
「まあ、細かいことを気にするんじゃない。しばらくはこれを利用して強くなってもらう。」