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東方魔法録~Witches fell in love with him.  作者: 枝瀬 景
四章 夏冬春秋~boisterous days.
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59.転換~He change of sex.

ちょっと短いです

「咲夜ーいるー?」


 紅魔館のパーフェクトゥメイィドである十六夜咲夜は、呼べば時間を止めて一瞬にして現れる。どうやって聞いているのかは疑問ではあるが、敷地内にいれば瀟洒な振る舞いでお世話をしてくれるのだ。


「いないのかしら?」


 敷地内に居れば、の話だが。流石に外に出ている間に呼び出しに気付く筈がない。

 もて余して太ももの上の明希の頭を撫でた。明希は気持ち良さげに眠っている。

 すると、小悪魔が寄ってきた。


「パチュリー様?お嬢様と咲夜さんは今回の異変が解決したのを祝って宴会に行ってますよ?」

「え?」

「聞き流してましたね…」

 

 えっと…。本を読んでる時に小悪魔が何か言ったような言わなかったような…。


「いつものことですけどね。それはそうと、どうされましたか?」

「そろそろ、夕食の時間かなって。でも咲夜いないのね」

「お食事でしたら、私が作りますけど。来るなら来ても構わないとお嬢様は仰ってました」


 私は何処で食べようが構わないのだけど…。そうね。こう言う時は明希に任せましょ。

 幸せそうに寝てるところ悪いのだけど、時間も時間だし起きてもらうことにした。


「明希、起きて」


 ポンポンと肩を叩いて、明希を起こした。


「うぅん…ふあぁ…」

「かくかくしかじかで」

「まるまるうまうまなわけか。折角だし行ってみよっか」

「え…今ので通じたのですか…」



…………………………………

………………………………

……………………………



「起きて下さい紫様~」


 八雲藍は式である。冬眠と言って惰眠を貪っている主の八雲紫を起こしていた。


「あと一万と二千年…」

「百年の恋が120回も冷めますよ。御友人の幽々子様が宴会に呼んでますよ」


 紫は大層眠たげに布団から半身を起こした。大抵のことなら睡眠を優先させるが、今回はそうしなかった。


「むにゃ…いってくるわ~」


 ほとんど働いていない頭で『スキマ』を開き、宴会が開かれているであろう幽々子の住処、白玉楼へと向かった。


「あ!置いて行かないでくださいよー!」



…………………………………

………………………………

……………………………



「うわぁ…」

「これはひでぇ」


 パチュリーと明希が幽霊の住処、白玉楼へたどり着いた時は既に地獄絵図が存在した。

 酒瓶や酒樽が無数に散乱し、部屋のスミには吐瀉物まで存在した。アルコールに弱いものは妄言や意味不明な行動をしている。

 とりあえず、吐瀉はいやなので魔法を使って消しておいた。


「遅かったじゃない」


 そのなかにいたレミリアは頬を赤くしていた。お酒に強い彼女が赤くなるぐらいだから、相当飲んだのであろう。


「あら、その方たちは?」


 青い着物で、ピンク色の髪の毛。この建物の主、西行寺幽々子が尋ねた。…顔よりも大きな盃を両手に持って。


「私の友人達よ」

「明希・ヘルフィ・水原」

「パチュリー・ノーレッジよ」

「そう、宜しくね」


 そう言った時、酔っぱらいの一人が抜刀した。


「・・・ヨーカイが鍛えたこのハクロー剣に斬れぬものなど、あんまりにゃい!」

「うお!あぶねぇ!」


 抜刀した少女、魂魄妖夢が剣を振るい、危うく切られそうになった魔理沙が避けて、明希に当たった。


「あいて!」

「うおっ!」


 おもいっきり当たったために、明希は体制を崩した。


「ふぁ…おはようっ…!」


 運が悪いことに明希が倒れる先から、スキマから紫が飛び出した。


 ぶつかりそうになった紫は、とっさに別のスキマを開き、明希との衝突を回避した。


 その結果、明希はスキマに入り消えた。


「あ、まず」

「ちょっと!早く明希を出しなさいよ!」


 当然、パチュリーが怒った。

 しかし、眠気でボーッとしていた紫はとっさに出したスキマ、つまりどの境界の間に開いたのかわからなかった。


「え、えぇ~っと~…ちょっと待ってちょうだいね~…」


 目が泳ぎながらスキマに手を突っ込んで明希の行方を探す。


 その間、パチュリーはすさんだ目で貧乏ゆすりをし、紫を急かした。


「…!これだ!

……………………きっと」


 と言ってスキマから掘り出された明希。


「あれは一体なんだったんだ…」


「明希…?」

「し、師…匠?」


 パチュリーと魔理沙は目を疑った。レミリアは予想外過ぎて開いた口が塞がらず、幽々子は他人ごとで酒を飲んでいる。妖夢は霊夢に取り押さえられ、咲夜とアリスは追加の食べ物を作りに行っていた。


「まっずいわーやっべーわー」


 汗だくで目が泳ぎまくってる紫は棒読みだった。


「どうした…の…皆?」


 明希の語尾の疑問系は他人に聞く疑問ではなく、自分に対するものだった。なぜなら、自分の声が高くなったからだ。

 パチュリーが呟いた。


「明希が…女になってる…」


「はぁあああ?」


 一番驚いたのは明希だった。

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