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東方魔法録~Witches fell in love with him.  作者: 枝瀬 景
四章 夏冬春秋~boisterous days.
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58.勘違~She wonted to make a mistake.

……………………どうもお久しぶりです(小声)

今までほったらかしにしてすいません。大学生となり色々忙しく、また大学とは別のことも起こって書く暇が有りませんでした。

完結はさせるのでそこは安心してください。

「はふはふ。うん、おいしい」

「そ、そう?良かったわ」

「悪いね。なんかご馳走になって」

「別にいいわよ。こんな吹雪じゃ帰れないでしょ?」


 季節は移ろい、夏から秋を飛ばして冬…が終わり春が来ようとする時季。この頃は、早い桜は既に咲いているような頃合いだ。

 なのに、外では視界が確保できない程に激しく吹雪いていた。

 たまたまアリスの家に遊びに来ていた明希は、そのせいで外に出られずアリスの家で厄介になっていた。

 夜になっても吹雪は止む気配を見せなかった。なので現在は晩御飯に鍋を二人で突いている。

 なぜ鍋なのかと言うと、単に寒かったから暖まろうとしただけだ。


「もっと食べなよ」


 アリスの皿に盛られた鍋の具材は少なかった。家主を差し置いて自分だけがバクバクと食べる訳にもいかないが、それ以前にアリスの少食さを明希は心配していた。

 アリスは、鍋から注いだ豆腐をちびちびと食べていた。


「私はいいのよ。それよりも明希こそいいの?その…血を飲まなくて」


 アリスは顔を赤らめながら言った。とても些細な勘違いだが、明希はこれを鍋を食べたから暑くなり顔も赤く成ったのだと勘違いした。


「んー…。今はいいよ。食事中だし」

「クス、吸血鬼の食事こそが吸血なのに。変なの」


 あの甘美な甘露は食事というよりデザートとかに近い。吸血鬼がなにいってんだよって話だけど、そもそも妖怪としての種族:魔法使いは食事は必用無かったりする。

 睡眠、栄養と言ったものは魔力で代用出来るからだ。

 じゃあ、なんで飯食っているのかと言うことは聞かれても食べたいから食べるとしか言いようがないが。

 …ん?でも俺、今は吸血鬼だったよな?


「でも、食事中だから飲まないのであってそうじゃなかったら…飲みたいって…こと?」


 アリスは少々上目遣いで聞いた。

 これほど吸血の話に固執されれば、気が付かない明希ではない。妖怪は良くも悪くも欲望に忠実なのだ。


「まあ…。飲んでいいなら」

「………うん。いいよ」


 それから、アリスはあわてて誤魔化すように人形を動かす準備をした。


「そ、そうだ。お酒を減らすの手伝ってくれない?貰ったのはいいけど、私一人じゃ飲みきれなくて…」


 そういって、人形に持ってこさせた一升瓶のラベルには『鬼殺し』と書かれていた。

 …これは狙ってやっているのだろうか?


「この間、人里で人形劇をしていたらお酒臭い酔っぱらった幼女が置いていったの」

「酔っぱらいの幼女って…」


 アウトだろそれ。お巡りさんは何をしているんだ?


「幼女って言っても見た目はね。お酒で誤魔化すように妖気が漂っていたから人間に擬態した妖怪だと思うの」


 酒のつまみのつもりか、ただの退屈しのぎか気まぐれか。いずれにしろ物見代として酒を置いていったのだから、アリスの人形劇はそれほどの価値があったというわけだ。

 アリスは人形にコップを持ってこさせ、二人分のお酒を注いだ。


「それじゃ、いただきます」


 コップを持ち、強烈なアルコールを口に含ませ呑み込んだ。


――そこからの記憶は酷く曖昧だった。



………………………………………

……………………………………

…………………………………


「おーい、アリス。いないのか?」


 ぼんやりとだが、再び意識を取り戻す切っ掛けとなったのは魔理沙と霊夢の声だった。


「お?開いてるぜ?」

「そんな勝手に入っていいの?」

「勝手知ったる他人の家って言うじゃないか」

「合ってるけど…。なんか間違ってる気がする」


 足音が段々と大きくなって、近付いていくのが分かる。

 ふと、自分がベットで寝ていた事と、自分が何か柔らかい物を抱き抱えている事にに気が付いた。

 酒臭い匂いに混じって甘い匂いが鼻を通り、脳裏を刺激する。微かに呼吸する動きが、密着していることで感じとることが出来た。


 これはもしかしなくて非常に不味いんじゃ…。


「ここにもいないな。まだ寝てんのか?珍しいなあ」


 ガチャ、と俺とアリスが寝ている寝室のドアが開かれた。


「あ…………」

「最低………」

「……………」


 魔理沙と霊夢が声をあげ、俺はマンガであるようなダラダラと汗が流れるような感じがした。

 なんとも言えない空気を打ち破った、ある意味当然とも言える慌ただしい会話の序章として霊夢が言った。


「あんた彼女いるのにナニしてるのよ」


 何故か霊夢は出会った時から明希を毛嫌いしている。べつに深い理由があるわけではないが、基本的に他人に無関心な彼女がここまで『嫌い』と感情を露にするのは珍しいことだ。


「いや、その。先ずは落ち着け?話し合いの法廷を開いて倫理的にいこうじゃないか」

「それじゃあ判決を言い渡すわ。極刑よ」

「おい霊夢。評決はどこいった?」

「極刑なのはつっこまないのかよ」

「う~ん…。うるさいわね…」


 今の今まで寝ていたアリスが、騒がしくなったことで起きた。


「ああ!?」

「な!?」


 そして霊夢と魔理沙が、アリスが寝ていたせいで隠れて見えなかった所にあった物を見て絶句した。


「どうやら決定的な証拠が出てきたようね」

「し…証拠?」

「ん…?ちょっとどうしたのよ貴方たち…」


 起きたばかりのアリスには全く事態を理解出来ていなかった。

 霊夢はしたり顔でそのアリスが寝ていた所を指差して言った。


「そこに破瓜の血があるじゃない!」


 そして静寂が寝室を支配する。


「「「…………………」」」


 確かに、アリスが寝ていた所には微量の血液がベットに付着していた。実際には吸血行為の跡なのだが、そうには見えなかったらしい。

 霊夢はゴミでも見るような目で明希を見て、魔理沙は純情なのか赤面し、アリスは状況を理解して慌てて、明希は吸血鬼ゆえ勿体無いと場違いなことを思った。


「こっ!これは違うの!!」

「可哀想に。そこの吸血鬼兼、魔法使いに無理矢理襲われたのね」

「た、確かに強引だったけど…でも良かった///」

「ちょ、師匠!私は!?」

「魔理沙はなにいってんの…。そこのケダモノ!表に出なさい!成敗してやるわ!」


 こうなったら幻想郷に住む者たちは、話し合いではなく『弾幕ごっこ』で決着をつける。

 外が晴れでないことを確認して、しぶしぶ、外に出た明希だった。


………………………………………

……………………………………

…………………………………


「残機は2、スペルカードは3枚。どちらかが先に尽きた方が負けね」

「りょーかい」

「なんで私まで…」

「ただ見てるだけなのも暇だろ?それにじっとしてると寒いし」


 もうすぐ春だというのに、曇っていてとても寒い中、霊夢vs明希、魔理沙vsアリスの弾幕ごっこが始まった。


 あまり乗り気ではなく更には朝ということもあって、明希はやる気が起きずに適当に弾幕をはる。

 一方の霊夢は殺る気満々で、張り切って弾幕を張っていることもあって明希は押されていた。


「あーだりーねみー」

「だ、だらしないわねアンタ」

「俺は吸血鬼だぞ?朝は弱いんだよ」


 見る度にキザったらしい明希とは思えないセリフに、霊夢は少し戸惑った。

 それも、朝、寝起き、パチュリーがいないからの三コンポでだらしない態度をとってしまった。


 ところで、魔理沙とアリスはお遊び程度に弾幕を張る。


「やっぱり師匠はスゲーぜ。適当にやってても霊夢に押されている程度で済んでるなんて」

「人間が妖怪に素で勝てるわけないじゃない。だからこその弾幕ゲームでしょ?」


 幻想郷において人間でも一応、人外に勝てるように定められたルール。弾幕ごっこ。だとしても、人外にアドバンテージがあることには変わりない。

 だが、霊夢は弾幕ごっこにおいては雑多な妖怪よりはるかに強い。だがらこそ、幻想郷の異変の解決屋としていられる。

 その霊夢を寝起きだから、朝だからという理由で適当に相手している明希もその強さが伺える。のだが。


「あ」

「ほらほら残機1よ!とっととくたばりなさい!」


 油断していた明希は霊夢の攻撃を受けて被弾してしまった。


「うーん。また負けるのは癪だし、冗談を本気にされるわけにはいかないからなぁ…。そうだ」


 後が無い明希は卑劣な手段を思い付いた。


「魔理沙ー手伝ってくれ」

「ちょ!ずるいわよ!魔理沙もこんなヤツの手伝いするんじゃないわよ!」

「うーん…」


 魔理沙は迷った。確かに今回宣言したルールには加勢してはいけないというルールは設けていない。師匠に加勢したいのは山々なのだが、暗黙のルールみたいに加勢するのは気が引けるのだ。

 そんな魔理沙に明希が一言。


「後で新しい魔法を教えてやるぞ」

「すまねぇな霊夢。恨みはないが死んでもらう」

「どこの三流悪役よ!」


 魔理沙はアリスとの弾幕ごっこを中断して明希に加勢し、霊夢を攻撃し始めた。

 二対一では流石に分が悪い。師匠の為にそこそこ本気で加勢したせいもあってすぐに霊夢は魔理沙に押されていった。

 ちなみにアリスは面倒なのか高みの見物をしている。


「きゃぁ!」


 当然、霊夢は被弾して残機が一になった。


「ふはは!続けてフランを破ったスペルカードだ!」



悪役「ダブルスパーク」



 止めを刺すために、容赦なく二人でスペルカードを宣言する。

 二人が放つ黒色の極太レーザーは霊夢を飲み込んだ。


………………………………………

……………………………………

…………………………………


「あれは吸血行為の名残だ。復唱」

「あれは吸血行為の名残です。ぐぬぬ…」


 弾幕ごっこに勝利した明希は霊夢に真実を刷り込ませていた。


「師匠いいのか?」


 やはり魔理沙は気が引けるようだ。


「勝てば良かろうなのだ」

「それはそうと、何か用があってきたんでしょ?」

「そうたぜ。忘れるところだった」

「アンタ達、こういうのもってない?」


 霊夢が取り出した物は、桜の花びらだった。しかし、ただの花びらではなく何かの力を感じる。


「ああ、これのこと」


 アリスは霊夢が取り出した物と同じものを人形に持ってこさせた。


「ん?異変解決か?」

「そうよ。邪魔するなら今度こそ潰すわ」

「するかよ。魔理沙も気をつけろよな、今回は自作自演じゃない本気の異変のようだから」

「おう!任せとけ!」


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