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東方魔法録~Witches fell in love with him.  作者: 枝瀬 景
三章 少女修行~in Gensokyo.
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52 時計 silver and silver.

俺は銀色の懐中時計についている鎖を持ち、催眠術を掛けるみたいに時計を左右に揺らした。銀髪幼女の目が時計に合わせて行ったり来たりする。

銀時計をポケットに仕舞うと、銀髪幼女は未練がましくポケットを見詰めていた。


どうやら、この銀髪幼女は珍品コレクターらしい。

しかも、刃物(ひかりもの)を見てうっとりしていて、色々な意味で危ない幼女だった。


判明したのはつい最近。

レミリアはこの銀髪幼女に「部屋は有り余ってるから何処か私室をあげましょ」とさりげなくカリスマを発揮し、質素だけど机、椅子、ベット、タンスを与え銀髪幼女の個室を作った。

そうして暫くすると、この銀髪幼女は自分が珍しいと思う物を部屋に集め始めたのだ。


燭台に食器、蝋燭、食糧、スプーン等々。特に多かったのは刃物類。屋敷中のナイフがあったのは驚きだ。

そんな収集癖のある彼女にレミリアは「無理に止めさせるのは悪手よ。こういうのは本人が飽きるまでさせるのが一番。本当に持ってかれたら困るものはちゃんと理由を言った上で止めさせればいいの」と大人の対応をしていた。

拗らせたらどうするのかと聞くと、その時はそのときと言っていた。躾ける気があるのか無いのか…。


そして拗らせたらと言うか、その結果がこちら。俺の銀時計をえらく気に入ったようで最近、屋敷を出るとき以外は行くのも付きまとわれている。


「あげないよ。これは思い出のやつなんだ」


パチュリーと海に行った時の。

幻想郷には海が無いらしいから、いっそう海での思い出をあげるわけにはいかない。パチュリーのビキニはいい思い出なんだ。

そう言うが銀髪幼女にはあんまり伝わらないようで欲しそうにポケットを見詰めている。盗まなくなったのは偉いけどもさ、諦めてくれないかなぁ…

俺達二人の様子を見守る?ようにしていたレミリアが言った。


「あげちゃえばいいじゃない」

「我ながら女々しいと思うけど、こればっかりはあげられないんだ」


レミリアは早くこの事態を解決してほしいらしく、なにかと投げ遣りだ。


「なに?どうしたの?」


俺を探して図書室から出てきたパチュリーがやって来た。


「いやね、この子がこの時計を欲しがっててさ」


ポケットから銀時計を取り出すと、二つの意味で銀髪幼女の目の色が変わった。

一つは獲物を狙う獣のように。

もう一つは目が赤色に変わった。


「…そうみたいね」


言葉を覚えたけど、喋る習慣がなかったのかあまり口で言葉を発そうとしない。

そうそう、この銀髪幼女にはまだ名前はない。レミリアは一人前になったら名前をつけるとか言ってた。しょうがないので俺は銀髪幼女と呼んでいる。


「パチェ、早く何とかしてくれない?」

「はぁ、これでどう?」


パチュリーは相違って賢者の石(フラン入り)(チート)を使って、たまたまあった燭台を錬金し、俺の持つ銀時計と寸分違わず同じ銀時計を作り上げた。

銀髪幼女の目線はパチュリーの作った銀時計と俺のポケットの間を行ったり来たりしたが、何が良いのか気に食わないのか最終的には俺のポケットに視線を固定した。


「デザインが気に入ってたんじゃないのかしら?」

「あ、もしかして…」


俺自身、あまりにも当たり前に使っていたから忘れていたけど。


「この銀時計が魔導具だから…かな?」

「そうかもしれない」

「魔導具?確かに普通の懐中時計じゃないみたいだけど」

「この時計は絶対に傷付かず絶対に針は止まらないんだ」

「へぇ…ちょっと貸してみて」


何を思い付いたのかレミリアは俺から本物?の方の銀時計を受け取った。


「グングニル」

「は?」


声をあげて戸惑った時は既に時遅し。

レミリアは真紅の神槍を逆手持ちに構え、銀時計目掛けて振り下ろした。

ガキ、と結構呆気ない音がして、槍の先端は銀時計により軌道をずらされ床に突き刺さった。


「何考えてんだよ!?検証に神槍使うなんて!?」

「絶対に傷付かないんでしょ?現に傷付いてないし。むしろそれに私が傷つけられたわ」


銀時計を舐めるようにして傷がないか確認するが、何処にも見当たらない。ふぅ、良かった。

レミリアはプライドを傷付つけられたみたいだけど、そこは自業自得だ。少し理不尽な気持ちもわからないこともないけど。


「防御に使えそうね。胸に仕込んでおいてこれで助かった的に。でも弾幕勝負では役にたちそうにないわね」


そりゃ、誰がこんな小さな時計で無数の弾幕を防ぐ奴なんていないだろ。しかも反則っぽいし。


「この子は明希の時計の価値がわかってて気に入ったのかも」


パチュリーが言った。


「まさか…とは一概に言えないかもね。目利きがあるのかも」

「似た奴は作れるかしら…」


パチュリーも俺の銀時計は渡して欲しくないみたいで、代用品をどうやって作るか考えていた。


「まあ、出来るだけやってみるわ」

「あら、パチェでもそれと同じものは作れないの?」

「多分無理ね」


パチュリーでさえ、この時計の特殊さは解明出来なかった。多分、これからも解明することは無いと思う。

持ってて変なことは起きてないから、別に詳しいことはわからなくてもいいと俺は思った。その方がロマンがあるし。


「一日待ってて。頑張って作ってみるから」












「ひゃっほー♪」


私は今最高に気分がいいの!何でかって?

私!箒にまたがって空を飛んでるんだ!!


師匠の課題と、魔法の森に一人で入る条件は攻撃魔法が使えるようになることと空を飛べることだったの。

そこまで出来れば文句はないだろうって。師匠が言ってた。


旋回、急上昇、急降下。空を飛べることってこんなにも楽しいんだね!私ドキドキする!

あ、師匠が手を振ってる。

私も片手でおもいっきり手を振った。そしたら、鳥とぶつかりそうになってヒヤヒヤした。


「あわわ!」

「気をつけるんだぞー魔理沙ー!」


ちょっとよそ見しちゃった。危ない危ない。


………………………………………

……………………………………

…………………………………


そしてその帰り道に事件は起こった。

さっそく一人で魔理沙が魔法の森を出ると、魔理沙は見覚えのある男性に出会った。


「ん?魔理沙ちゃん。こんなところで何してるんだい?」

「げ、肉屋のおじちゃん!」


その男性とは、人里で肉屋を営んでる男性だった。以前、美鈴が肉を買いに行った時に出会った人でもある。

魔理沙は非常に焦った。このままでは両親に魔法の森に通ってることがバレてしまう。それはなんとしてでも避けたかった。


「えぇっと…これはその……そう!ウサギを追いかけてたんだ!」

「へぇ…そうなんだ」

「そ、そう!だから」

「ご両親には見つけた時には遅かったって言っておくね?」

「そうそう、ありが……え?ってわぁ!!」


間一髪、魔理沙は男が繰り出した鋭い一撃を躱した。

男にはいつの間にか刀のような肉切り包丁を持っていた。


「あらら、躱されちゃった」

「お、おじちゃんなんで…」

「子どもばかり狙った殺人鬼って聞いたことない?あれ、俺なんだ」


突然の連続に魔理沙はすっかり腰を抜かしてしまった。


「な、なんで…そんなこと…」

「なんでって……肉を切るのが楽しいから、かな?」


その男性は歪んでいて、その歪みを目の当たりにした魔理沙はすっかり恐怖してしまった。

男は包丁を振りかぶった。


「じゃあね魔理沙ちゃん」

「嫌ぁああ!!!」


反射的に、魔理沙は最近覚えた攻撃魔法を、包丁が刺さるよりも早く放った。

耳をつんざくような爆発音と、のろしのように煙が上がった。

咄嗟のことで、しかも無我夢中に反撃した魔理沙は暫く混乱していた。


そして漸く、魔理沙の混乱は落ち着いた。


「し、死んでないよね…」


魔理沙の魔法で吹き飛んだ男は、爆発の衝撃で気絶しているようだった。

魔理沙は自分が殺人を犯してないことがわかると、どっと疲れがたまった。


そうして、その場にへたりこんでいると、爆発音を聞き付けた里の人がやって来た。

しかし、疲れがたまって混乱していたとしても、魔理沙は忘れていなかった。


「あ、バレた……」





__________________

おまけっ!その⑨


「紫様!起きてくださいー!」


「なぁにー藍ー…むにゃむにゃ」


「巫女に会わせたい人間を見つけました」


「そう…強いの…?むにゃむにゃ」


「あの歳であの威力の魔法は人間にしては大したものです」


「わかったわ…まかせたわ…むにゃむにゃ…すぴー」


「わー!寝ないでください!それ以外にもやることは沢山あるんですよ!!」


「私の冬眠は誰にも妨げられない!!」クワッ


「にゃあ!ゆ、紫しゃま!?助けてー!藍しゃまー!」


「橙を抱き枕にしないでくださいー!!」

嘘じゃない次回予告


今日はいい月だな魔理沙


頭ごっつんこ☆(><)


褒めるべき所は褒める、叱るべき所は叱る。出ないと子どもはやる気をなくす



To 魔理沙

 from 明希


次回 53修了~英文はまだ未定

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