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東方魔法録~Witches fell in love with him.  作者: 枝瀬 景
三章 少女修行~in Gensokyo.
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51 教育~Just safe・・・.

教育(ちょうきょう)中につき入室禁止




私が図書室に訪れたときには、こんな文字が書かれたプレートが扉に下げられていた。

扉ごしに中から悲鳴や何の音か検討もつかない不甲斐な音が聞こえてくる。


「えぇっと……」


一体、中で何をしてるのかしら?私は最近、音沙汰がなかった明希の様子を見にきたのだけれど…


「あ、アリスさんこんにちは」

「え?あ、小悪魔さんこんにちは」


声がした方を見ると、この図書室の司書である小悪魔さんがいた。知らない仲ではないので、中で起こっていることについて聞いてみた。


「中で何が起こっているの……?」

「あー…あはは、えぇっとですね」


苦笑した小悪魔さんの話を一言でいうと、何でも捕らえた幼女に言語を覚えさせるとか。

だから教育中なのね…。あれ?それなのにルビがおかしいし、中からは奇妙な音は聞こえないはず…。


「私でもよくわかりません。邪魔になるので入ってないのです」


それからしばらく、小悪魔さんと世間話のようなものを話していると、ふいに図書室からする音が止んだ。

私と小悪魔さんは自然と扉に目を向けたと同時に、地獄の門が開いた――


「あれ?アリスじゃん。いらっしゃい」

「いらっしゃいじゃないわよ!!なにその格好!?」


図書室から出てきた明希とパチュリーは蝶の形をしたマスク、所謂、パピオンマスクで顔を覆い、手にはそれぞれムチと蝋燭が握られていた。



挿絵(By みてみん)


そして二人の間には首を鎖で繋がれた件の幼女らしき人が――


「アウトーー!アウトですよお二方!!!」

「そうよ!二人ともその子を解放しなさい!?」


まさか中ではそういう行為が行われていたの!?ちょっと!二人の趣味を疑うわよ!!


「だいせいこう、です」

「「え?」」


初めて聞く声は首を鎖で繋がれた例の幼女が発した声だった。あまり変わってないようにも見えるけど、笑っている気もする。


「まあ、この格好は冗談だ。ドッキリ、ナイスツッコミ」


と、明希が言った。


「レミィをからかうつもりなの」

「一瞬本気かと思いましたよ……」

「あれ?じゃああの悲鳴や不甲斐な音は?」

「さあこれからレミリアをからかうぞ」


そう言って明希、パチュリーは逃げるようにその場を去っていった。例の幼女はその後を追いかけていった。


「えぇ……じゃああの悲鳴や不甲斐な音は本当に……」




………………………………………

……………………………………

…………………………………



「キャ!パチェに明希!なにその格好!?」


案の定、レミリアも同じような反応をして


「しかも、ちょっと!私が手懐けるのに先に手懐けてどうするのよ!?」

「そこ!?」


同じような反応をしなかった。


「半分成功で半分失敗かしら」

「成功?失敗?」

「まあまあ、言語を覚えさせることに成功したし、俺達は手懐けてないからレミリアは気にしなくていいよ」

「そう?それならいいけど」


そう言ってレミリアは少しだけ、本当に少しだけ(本人のために言及しておく)恐る恐る銀髪幼女に近寄り頭を撫でた。

するとどうだろう。今までは無条件で噛みついていたことが嘘みたいにレミリアのナデナデを甘受しているではないか!


「凄いわね……因みにどうやったの?」


予想以上のことなのか、その顔はニヤけていた。


「脳の言語中枢を魔法で直接いじって……」

「わかったもういいわ」


どうやら聞くに耐えないらしい。残念、ここからが面白いのに。


「で、どうするの?やっぱり手懐けるの?」


パチュリーがレミリアに聞いた。レミリアは当然と言わんばかりの表情をして言った。


「忠誠を誓わせるまでよ」


私に噛みついた生意気な人間が犬のように使われるのはさぞ屈辱的なことでしょうね。


クックックとレミリアが悪い顔で笑っていた。手懐けるのは前提ですかそうですか。


「とは言っても、あまり言葉は知らないからね。そこは頑張って。俺達もこの子が今の会話を何処まで理解しているのかわからないから」

「言葉を学習出来る領域までくれば後は大丈夫よ」
















「師匠遅~い!勝手に居なくならないでよね!?」


師匠から本格的に魔法を教わることになった次の日に、いきなり師匠が来なくなった。


「ごめんごめん、ちょっと用事ができて」


何日かして今日、アリスに師匠を呼びに言ってやっと来てくれた。本当は私も一緒に呼びに行きたかったけど、アリスが師匠からダメだって言われてるって言ってたから仕方なく留守番してたんだけど。


「俺がいない間にも、ちゃんと魔法の練習はしてた?」

「あたりまえだよ!それで師匠見て見て!」


魔理沙はコップに水を汲み、それをわざと床にこぼした。そこから魔法を使って先日俺がやったように床を綺麗にしてみせた。


「へへぇん、どう師匠?」

「うん、よく頑張ったね」


明希は魔理沙の頭を撫でた。

ふぇぇ…師匠に褒められた♪


「それじゃあ次は攻撃魔法を教えとこうか」

「え?もう生活魔法はいいの?」

「ある程度は教えたけど、それよりも自分で身を守れるようにする方が先」


実を言うと、私は森を抜ける途中まで師匠かアリスに送っていってもらっている。そうじゃないと家に帰る前に妖怪に襲われちゃうから。行きも同じ。実際に師匠達がいなかったら危ないことが何度かあった。


「もしかしたら師匠と同じようなレーザーが!?」

「使えるかもね」

「師匠師匠!どうすれば!?」

「先ずは基本の魔力を弾にするところから」



この日も、私は魔力が空っぽになるまで練習した。

早く師匠みたいな魔法使いになりたいな~。















「どう?フラン。狂気の調子は」


一度、賢者の石からフランを出して様子を見てみた。


「うん!大分スッキリした!」


フランは本当にいい笑顔をするわ。でも、本人はこう言ってるけど私の見立てでは一時的なものだと思ってる。だから今のうちに休憩も兼ねて理性をつける練習でもしましょう。


「そう。で、ここにお菓子があるのだけど」

「本当!?頂戴!!」

「まだダメ」

「え~!?どうして!」

「フランには『我慢』する練習をして貰うの」


フランが狂気を抑えきれないから地下室に自主的に籠る。聞こえはいいけど、これは狂気から逃げてるだけ。だから我慢することを覚えて狂気を抑える練習をしようとする魂胆よ。


「我慢?」

「フランは今まで多分我慢したことないでしょ」

「……………!」


フランも私が言わんとすることに気付いたらしい。頭のいい子は好きよ。


「わかった…でも、どうしたらいいの?」

「ここに紙とペンがあるわ」


私は紙と羽ペンを取り出した。


「お勉強しましょ?終わったらお菓子はあげる」

「う~!わかったよぉ……」


勉強は苦手だったらしく、フランは渋々羽ペンを持った。

そう。それでいいの。

私は丁寧に、フランに教育を施していった。

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