表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方魔法録~Witches fell in love with him.  作者: 枝瀬 景
三章 少女修行~in Gensokyo.
52/67

49 殺人~Crow likes glisten something.

例えばそう、虫の死骸が落ちていたとしよう。ある人は気持ち悪いと思うだけだったり気にしなかったりする。

では犬猫だったらどうだろう?ここではあえて死骸と呼ぼう。犬猫の死骸の状態にも依るが、大半の人は可愛そうだと思う程度だろう。自分のペットとかでなく、無関係であればだが。


だったら、それが人間だったら。その人と無関係であろうが無かろうが、一般の人間なら誰もが驚き恐怖するだろう。

何故か?俺が考えるに恐怖の象徴である死が目に見える形で存在しているからだと思う。自分もこうなってしまうのでは?と。

加えて虫や犬猫でそれを感じないのは同じ種類の人間じゃないからだと思う。


それではその人間ですらない魔法使い兼吸血鬼で前世が人間の俺が、人間の死体に遭遇したらどうなると思う?


答は…




「きーんぐ・くりむぞーん…」


この世の時間は消し飛び…そして全ての読者は、この時間の中で見た文字を覚えていない

作者は、書いた事に気づかず…明希は、思った事を明希自身さえも認識しない

結果だけ、残ったのはどうすればいいか解らない混乱だけが残る。


と、現実逃避してみた。なるほど、俺は案外薄情な奴なのか。は置いといて。





何故死体に紅魔館(うち)の消えた包丁が突き刺さってるんだ。



日本の包丁の歴史は長いが、意外と変化がない。現代で見かける一般家庭にあるような三徳包丁は江戸時代後半、明治時代になってから使われるようになったらしい。それ以前の日本では日本刀の派生のような細長い包丁を使っていた。と本に書いてあった。


それを踏まえるとここは幻想郷。どう見ても江戸時代に入る前の文明で三徳包丁なんて使われていないだろう。美鈴も包丁が無くなったとき売ってないって言ってたし。


しかし、目の前の子供の死体には三徳包丁が突き刺さってる。どう考えてもウチの物だろう。見覚えあるし。だからこそ困った。


「ええ…?どうしよう…」


引っこ抜くか…見なかったふりして魔理沙の所に行くか…。



















その少女は天涯孤独である。

自我を持つ前から獣のような生活をして、物心がついたときから窃盗、強盗殺人などを繰り返して生きてきた。

生きるためにはどんな手段でもと、一度悪事に手を染めれば堕ちるのは早い。そこで彼女は生き方を決定してしまった。

ある時は他人の食料を盗み、ある時は口封じに殺人を。その方が楽に食べられるし、苦労もない。自分で真っ当な生活を送るなんて考えは初めから存在しないし、概念すら無かった。


とは言え、彼女はまだまだ子供だ。普通であれば盗みはバレやすいし、ましてや殺人を簡単に犯せる筈がない。

だが、彼女にはそんなことを可能にする能力を持っている。

それは『時を操る』能力。この能力を使って彼女は時間を止めて犯行に及んでいるのだ。このように。


トッ……


一突きだった。

この館の物を漁っていると、館の住人と思しい人物が扉を開けた。だから口封じの為に一切合切の躊躇も無く、時を止めてその住人の喉元にナイフを突き立てた。


時が再び動き出すのと同時に、ナイフ深く突き刺さった喉から鮮血がドロリ、と溢れ出た。

住人は一瞬だけ驚き、そのまま崩れ落ちて動かなくなった。


正直、彼女自身も何故このような能力を使えるのか知らなかった。物心がつく時から使いこなしていたし、自身を構成するものの一つであった。故に彼女は疑問を抱かず、自分の為にまたこうやって能力を使う。


しかし、いくら一方的に盗み、殺人を犯して飢えを凌いでいても疲労は溜まる。

根なし草には安心安定して休まる場所は無い。疲れが溜まって前回は不覚にもいつの間にか気絶してしまったのだが……


「酷いじゃない…いきなり殺すなんて」

「…………!?」


確実に殺した筈なのにその住人はナイフを抜きながら喋った。


「でも、まあ、殺人のやり方としては完璧よ。大正解」


抜き取ったナイフを床に放り捨て、カランカランと金属が鳴る音がした。


「?!…?……!」


少女は戸惑って混乱した。今まで喉を刺して無事でいる生き物などあり得なかったかったからだ。

よくみると住人は人間には無い蝙蝠のような翼が生えている。妖怪の類いであることには間違いないが、少女だって妖怪を数えきれないぐらいに殺している。その経験から、刺されてケロリとしている事に驚いているのだ。

無論、その程度のことは気にもしない魑魅魍魎は沢山いるのだが…少女が過ごしてきたものは、まだまだそんなものだったと言うことだ。


「ただ…経験が足りないようね」


住人の口が三日月のように裂けるのと同時に、少女は時を止めて逃げ出した。
















「パチェいるー?」


私は急いでパチェのいる図書室に向かった。パチェにお願いをするために。


「どうしたの?フランの様子が気になるの?」

「気になるけど…ちょっと急いでるの。紅魔館から人間一匹出られないようにしてくれる?」

「普通は蟻一匹でしょうに…。まあ、いいわ。明希が帰ってくる頃には終わらせなさいよ」

「わかったわ」


これで外には出られない無い。さて、『鬼』ごっこの始まりよ。鬼役は「吸血『鬼』」の私固定だけどね?



………………………………………

……………………………………

…………………………………


とは言え、私の目でも追えない速さで喉を刺したのは、正直驚愕に値する。どういう仕掛けかは一回見ただけじゃわからない。感じからして人間のはずなのだけど…。

とりあえず、体を無数の蝙蝠に分散させて屋敷中を見回る。


「……いた」


屋敷を巡回していると割りと簡単に見つけ出す事が出来た。


少女の目の前に蝙蝠が集まり、レミリアの姿が現れる。


「…………!」


しかし、またもや少女が姿を消した。


「うーん…。どうなってるのかしら?」


再び無数の蝙蝠となり、屋敷を巡回する。

パタパタと飛び回っていると、美鈴の姿が見えた。

急所に当たればいくら美鈴でも無事ではすまないから注意させておこうかしら。何せ、私でも防げなかったのだから。


「美鈴」

「あ、御嬢様」


美鈴の目の前に蝙蝠が集まり、レミリアの姿が現れた。


「貴女は探さないでいいわ。逆にどこかに入って内から鍵をかけておきなさい」

「はあ…、御嬢様がそう言うなら。わかりました」


こう言うとき聞き分けがいい従者は本当に良いわね。蝙蝠になりながらそう思った。



パタパタ…バサバサ!(蝙蝠が集まってレミリアが元に戻る音)…―(少女が姿をけす)…パタパタ…バサバサ!…―…パタパタ…バサバサ!…―…パタパタ…バサバサ!…―…



…そろそろ飽きてきたわ。取っ捕まえて終わらせましょ。


今度は少女の目の前に現れるのではなく、少女の方を掴んだ状態で現れた。

当然、少女は消えた。だが、レミリアはそれを読んで急所を咄嗟に両手で隠した。


レミリアが防御に成功したと思うと同時か、それ以前に少女は姿を消す。


「正解故に読みやすい。いいわ、貴女がどれだけ早く動こうとも絶対不可避な攻撃をしてあげる」


腕に刺さったナイフを抜いて放り捨てる。

レミリアが内心、このナイフが銀製でなくて良かったと安堵しているのは触れないでおこう。


そして、もう何回目かわからない巡回、発見、姿を現した後にすかさず、少女に向かってレミリアは攻撃した。


紫と作っている、人と人外が勝負をつけるためのルール。その試作のスペルを放った。


「服従『ナイトメアサレンダー』」


不殺のルールに乗っ取っているから当たっても死にはしない。ただ、全方位にレーザーや弾幕が張り巡らされていて、それがじわじわと対象を追い詰めていく。

動けば当たる。動かなくても当たるこのスペルカードは反則なのだがこの際はどうでもいいだろう。


そして、手応えを感じたと同時にスペルを終了させた。


………………………………………

……………………………………

…………………………………


今度は少女に鎖を繋いでおいて逃げられないようにした。


「貴女、名前は?」

「……………」

「何処から来たの?」

「……………」

「もう、何か喋りなさいよ」

「……………」


はあ、何でこの子は喋らないのかしら?


「失礼します」


美鈴が果物を持って入ってきた。


「どうですか?何かわかりましたか?」

「全く。ウンともスンとも言わないわ」

「そうですか」


そう言って美鈴は少女の目の前に果物を見せつける。

少女は目の色を変えてガチガチと歯を鳴らした。

美鈴は獰猛な犬に餌付けするように果物を少女に与える。


「もしかしたら、あれかも知れませんね」

「あれって?」


「喋れない…いえ、言語そのものがわからないのかも知れないです」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ