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東方魔法録~Witches fell in love with him.  作者: 枝瀬 景
二章 吸血人狼~Are you a werewolf.
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34 最終日~You are werewolfes.

四日目、五日目と分けてもダラダラするだけなのでまとめました。サクサク進みます。

- force day / morning -


明希さんを処刑して要望通り棺に入れて埋葬した次の日。僕は心晴れやかに眠りから覚めた。夜に住まうものを殺すことが出来てウキウキしている。


明希さんの眉間から血がドクドクーって流れ出ていく様は地面というキャンパスに血という絵の具を溢したみたいで綺麗だったなぁ。

目は見開いたままだったし、ついでに明希さんの胸に手を当てて完全に心臓が止まっているのも確認した。

明希さんの死体を触り続けていると、あんまり死体を辱しめるなとワールさんに怒られちゃった。


二階の自室から出て、階段を駆け降りた。嬉しくて顔が緩みながら目にしたものは、お母さんと同じように人狼の爪に引き裂かれたお父さんだった。


………………………………………

……………………………………

…………………………………


「クレイ君元気だして…」


僕は皆をソンチョさんの家に集めた。

お母さんに引き続き、お父さんが殺されたことをトウキお姉さんが慰めてくれた。


「僕は大丈夫です。朝早くからですが議論を始めましょう…」


- start the discussion -


「トウキお姉さん。明希さんはやっぱり白?」

「白だった」

「おい!どういうことだよ!アイツは絶対人間じゃなかったぞ!?」


キョウさんが怒鳴った。


「確かに影が無いのはおかしいですけど…人狼じゃなかったってことです。現にお父さんが襲われているからまだ人狼は生き残っているはずです」

「だったら誰が人狼なんだよ!」

「それは…キョウさんかイケさんのどちらかです」

「「!?」」


キョウさんは驚いて固まり、イケさんはビクッとした。普通に考えれば消去法でわかるのに。


「ワールさんは誰を占ったんですか?」

「それは…君のお父さんだ。勿論、白だったよ」


うーん、惜しいことしたなぁ。よりにもよってお父さんを占ったなんて。でも、今まで占った相手が人狼に襲われなかったのが奇跡的なんだよなぁ。


グュルル~…


僕が残念に思っているとお腹が鳴った。


「ち、朝食にしませんか?議論は後でしましょう」





- force day / evening / discussion after -


「投票の結果、イケさんに決まりました」

「い、いやだ!俺は人狼じゃない!死にたくない!」

「僕達はもう、疲れました…。これが最後になることを願います」


お父さんの代わりにワールさんが銃を持ってイケさんの額に銃口を突き付けた。


「いやだ…いやだ!いやだ!いやだ!いや…」


チャキ、パーン!





- force day / night / in grave -


目開けても光が一切入ってこないので本当に目を開けているのか不安になる。

息は、出来る。良かったちゃんとお願いを聞いてもらえて。じゃなかったら肺に土が入るところの騒ぎじゃなくなるからね。別に死にはしないけど後がたいへんだ。


俺は暗闇の中で考えた。初日に起こったこと、二日目の彼の推理、昨日のこと、パチュリーのこと。パチュリーどうしてるかなぁ。賢者の石の研究は上手くいってるのかなぁ。あー早くパチュリーに会いたい…。って思考が飛んでしまった。


閑話休題。

やっぱり彼はそうだとしか考えられない。証拠は全くないけど、そうじゃないと説明がつかない。

冷静さ、積極性、情報量、そして何よりも精神が異常だ。アイツは。人間の血が通っているのか不思議に思うぐらいだ。…人間じゃない俺が言うのも何だけど。まぁ一応、前世が人間だからそのぐらいは言ってもいいだろう。


さて、長居は無用だ。さっさと出るとしますかね。

でもその前に忘れずに日焼け止めを塗っておこう。























- fifth day / morning -


私は宿舎の部屋を片付けて外に出た。

人狼が襲ってきた時の対策として色々と仕掛けを施していたのだけれど幸か不幸か出番がなかったわね。


部屋から出ると、私が泊まっていた部屋とは違う部屋のドアの前でキョウさんが死んでいた。私は申し訳ない気持ちがしてそっと、見開いたままのキョウさん目を閉ざしてあげた。


魔法使いの掟は人間にとって非情。私が助けてあげたくても、決してただの人間に魔法だとは思われてはいけない。それが例え今回みたいに人間が極限状態にあったとしても。

だから私はさっさと人狼を倒してあげることが出来ずにいた。

やっと掟を気にせず戦える時には普通の人間は死んでいる。なんとも歯痒いわ…


宿舎から出てソンチョさんの家の前まで行くとクレイ君、トウキさん、ワールさんにが待ち受けていた。


「結局、アンタ達が人狼なのね」

「やだなぁ。僕はただの人間ですよ?人狼のわけないじゃないですか」


何を今更。どちらにせよ掟の対象外ね。

“何も知らないただの”人間だったらダメだけど、否定しないし残る村人はこの三人だけ。最低でも一人は人狼だからもし残りの二人が人間だったとしても“こちら側を知る普通じゃない”人間。


掟はあくまで魔法使いの存在を世に広めないためにある。でも、魔法の存在を知っているのなら掟の対象外。むしろ、知っている人間は排除しろという節もあるぐらい。


私は人形を出していつでも攻撃出来るようにした。


一触即発の空気。だがそれは一人の男によって一瞬にして変貌した。


「ちょっとストップ」

「あ、貴方は!!」

「遅いわよ…明希」









「悪い悪い。日焼け止め塗るのと墓から出るのに時間かかった」


あの棺狭かったから全身に日焼け止め塗るのに手間取ってしまった。棺も存外に深く埋められていたから、自分の魔法でダメージを受けないように、なおかつ土が掛からないようにして掘るのは大変だった。


「そんなバカな!?貴方は確かに死んだはず…心臓触っても動いていなかったのに!!」

「吸血鬼がドタマぶち抜かれたぐらいで死ぬわけないじゃないか。ましてやそんな豆鉄砲でなんて尚更」

「豆鉄砲は頭を貫通しないわよ」


アリスの細かいツッコミは無視してワールさんが言った。


「だから言っただろクレイ君。あれぐらいじゃ吸血鬼は死なないって。

…だがなぜその場で復活しなかった?吸血鬼は高い治癒力があるからすぐに復活する、だから逆に死んだふりなんて出来ない。傷が塞がらないなんて尚更だ。だから俺達はおかしいと思いながらも墓に入れたんだ」


その問いに俺は空になった小瓶を見せながら言った。


「『死んだふりが出来る薬』いやはや、こんなところで役に立つとは思わなかったよ」


多少賭けではあったが俺はエリーに貰った薬を使って人狼の目を欺こうとした。

死んだふりをしている最中に人狼が止めを刺しに来るとも限らない。だけど死体なら、威厳とか誇りを大切にする人狼がそれ以上何もするとは思わなかった。

まぁ、いくら死んだふりをしていても攻撃を受ければ起きちゃうけど。


「せこいマネしやがる。わかっていたら止めを刺したのに」

「そんなのって…折角僕が二人を戦いやすいようにしたのに…」

「ありがとうクレイ君。結局、一番最悪な状況で戦うことになったのだけど、君の心遣いは嬉しいわ」

「トウキお姉さん…うん、ありがとう」

「あーいちゃつくのは後にしてくれない?」


何あれ、超ムカつく。他人から見ると俺達もあんな風なのか?よそでやれって感じ。でもパチュリーに対する態度はこれっぽっちも変えないがな。


「俺はぶっちゃけ自分の推理が合っているか確かめに来ただけなんだ。一方的に話すから合ってたら正解といってくれ」


- To be continued -


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