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東方魔法録~Witches fell in love with him.  作者: 枝瀬 景
二章 吸血人狼~Are you a werewolf.
34/67

番外 御酒~Beware of excessive drinking.

本当は6月9日のむきゅーの日に投稿したかったんですが6月9日だと気付いたのは昨日の23時。次の13日の金曜日には間に合わせるようにがんばります。


時空列は19話の後。細かいけど19話の段階ではまだ完全に引っ越し作業は終わっていません。

それは紅魔館に引っ越し終わった日の夜。レミリアの計らいで俺とパチュリーの歓迎パーティーをしていた時の話。

美鈴は料理を配膳している最中に言った。


「そう言えば明希様とパチュリー様はお酒はどうされます?」

「え?お酒?」


お酒。俺とパチュリーには何かと飲む機会がなかった代物だ。

ついこの間、自分達で大学生を卒業したばかりの俺達はお酒を飲んでもいい年齢に達しているはずだ。


はず、と言うのも魔法使いには年齢を数えたり誕生日を祝ったりする習慣がないから自分の正確な年齢を覚えていないのだ。誕生日も然り。この世界に生まれ変わった時、始めはその事で驚いたけど慣れてしまった。


年齢がどうとかじゃなくてもレイレウ辺りが飲んでいそうだが、これまた不思議と誰も飲もうとしなかった。よく今までお酒に興味を持とうとしなかったよな俺達。


「ひょっとしてまだ飲んだことないんですか?」

「うん。実はそうなんだ」

「飲んでみたら?」


レミリアが自分のワインを見ながら提案した。


「今日はパーティーだし、お酒にはどの道慣れておいて損はないわ。慣れてしまえば自分から飲みたくなること間違いないわよ」


そうだよなぁ。それじゃちょっと試してみるか。前世では飲める年齢に達する前に死んじゃったし。


今さらながらお酒に対して興味が湧いた俺は飲んでみることにした。


「じゃあお願い。パチュリーは?」

「私もお願い」

「ではどんなお酒にしてみますか?ビール、ワイン、カクテルがありますが…」


うーん。俺はお酒に対する知識は殆どないからどうしようか迷う所。隣のパチュリーも見る限り同じように悩んでる。

するとレミリアが言った。


「初めてだからカクテルにしたら?飲みやすいわよ。そうね…」


レミリアは顔をニヤリとさせ何か思い付いた表情をした。…何だか嫌な予感が…


「ブラッディマリーなんてどうかしら?」

「ちょ、お嬢様!?」


ブラッディマリーというカクテルの名前をレミリアが言ったら美鈴が慌て始めた。お酒に詳しくない俺にはどんなお酒なのかは全く判らないが、美鈴の反応が俺とパチュリーが怪しいと思わせるのに十分だった。


「いいから、それにしなさい。明希もパチェも騙されて飲んでみなさいな」

「はぁ、お嬢様がそうおっしゃるのなら」


美鈴は一旦厨房に戻りそのブラッディマリーとか言う怪しいカクテルを準備しに行った。


………………………………………

……………………………………

…………………………………


「さて、料理も揃ったところで乾杯しましょ。…明希とパチュリーの引っ越しと初の飲酒に、乾杯」

「「「乾杯」」」


赤い液体の入ったグラスを持って乾杯した。そして少し躊躇しながらも赤い液体…ブラッディマリーとか言うカクテルを飲んだ。ええい、ままよ!


ゴクッと一口、すると舌にピリッと辛味がして少しだけ頭に何とも言えない眩みみたいなものを感じた。飲み込むと喉が熱くなって頭がクラっときた。そして肝心の味は…


「トマトジュースじゃん、これ」


味はまんまトマトジュース。なんだ、美鈴が慌ててたから警戒したけどなんてことないじゃないか。


「そうね…警戒して損したわ」

「どう?初めてアルコールを飲んだ感想は」


初めて紅茶とかコーヒーを飲んだときって「何でこんなもの人間は飲んでるの?」と思う人は多いはずだ。それと同じで


「うーん、飲めなくはないけどトマトジュースの味を抜きにするとあんまり美味しくない」

「ふふ、始めは大体そんなものよ」

「でも…不思議とまた飲みたくなるわね」


これがお酒の力、なのかなぁ?人によりけりだと思うけど、少なくとも僕とパチュリーは自然ともう一口飲んでいた。


「あら、意外にももうお酒に魅了されてしまったのかしら?いいわ、今日は好きに飲んでみなさい」


………………………………………

……………………………………

…………………………………


「むっきゅ!」


パチュリーが可愛らしいしゃっくりをした。大分アルコールがまわっているんだろう。

すでに僕とパチュリーはお互いに五杯もグラスを空にしていた。飲みやすかったせいで始めてのクセについつい飲んでしまった。どう考えても飲み過ぎだろう。


「むきゅ~あきぃ~」


パチュリーは顔を真っ赤にして完全に酔っぱらっていた。俺の膝の上に座ってスリスリと頬をすり寄せてくる。


「いっしょにまほーべんきょうしりょ~。むっきゅ!」


どうやらパチュリーは酔っぱらって幼児化してしまったようだ。記憶が幼稚園に入る前のと混じっているみたいだ。


「はいはい、また明日ね」

「ぶー、けちー」


口では拗ねていたが頬をすり寄せるのは止めなかった。これが酔っ払い状態か…流石酔っ払い、よくわからんことをするね。


「パチェはすっかり出来上ってるわね。明希は何ともないようね」

「頭はガンガンクラクラするけどちゃんと理性とかは保ってるつもりだよ」

「当然と言えば当然よね」

「どういうこと?」

「鬼はね、お酒に強いの。吸血鬼も鬼だから強くて当たり前ってこと」


鬼?あの角が頭に生えてて、モジャモジャ髪の毛に、まるで病気に掛かってるかのような赤かったり青かったりする肌に虎柄パンツ穿いたあの鬼?

まあ、お酒に強そうなイメージはあるけどそんなもんかねぇ。


「あき!ほかのおんにゃのこと はにゃさないで!」

「うわっ!」


ガタッ!


パチュリーが俺の首に腕をまわして勢いよく抱きついてきた。勢いが強かったから椅子ごと倒れてしまった。俺は倒れたときにパチュリーが上になるようにしっかり抱き締めてパチュリーが怪我をしないようにした。


はにゃす?…ああ、話すね。呂律が段々まわらなくなってるようだ。

それにしてもパチュリーってこんなに独占欲強かったっけ?レミリアとちょっと話をしているだけで嫉妬するなんてね。お酒のせいだろう。


「はいはい」


そう言って俺は転んだままパチュリーの頭を撫でた。


「そろそろパチェを寝かせてきなさい」

「そうする」


俺はパチュリーをお姫様抱っこしてパチュリーの寝室に運んでいった。



次の日、パチュリーが二日酔いでベットから出られなかった。

昨日のお酒が気になって調べてみると、ブラッディマリーはウォッカが使われていてアルコール度数が12~20であることがわかった。分かりやすい比較として、ビールの度数は5。


初めての飲酒にそのブラッディマリーを五杯も……。そりゃベットから出られないわけだ。


レミリアを問い正したところ、「洗礼よ洗礼」といってカラカラと笑って流されてしまった。


さてさて、パチュリーの看病に勤しむとしますか。


紅魔館は基本平和です。

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