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東方魔法録~Witches fell in love with him.  作者: 枝瀬 景
二章 吸血人狼~Are you a werewolf.
22/67

20 日々~Are you HITAPAN person or TUKEPAN person or ・・・.

新章構想のため投稿が遅れました。楽しみにしていた皆さんご免なさい(>_<)

季節も秋になり、空気が乾燥し始めてだんだんと肌寒くなってきた。葉が紅くなった紅葉が落ちる音のようにカサリ、カサリと本をめくる音が部屋に響く。


一人がけの椅子を二つピッタリとくっ付け、隣で愛しい彼女の体温を感じながら読書をするといった至福な時を過ごすのが最近の日課となっている。

無言だが全く苦にならない。寧ろそれが心地よいとさえ感じる。


俺が思うに言葉以外で彼女と会話をしているのだと思う。ちょっとした仕草や今まで一緒に過ごした経験からお互いに何が言いたいか、何をして欲しいかがわかるのだ。


もちろん、言葉にしないと伝わらないことはちゃんと口にする。 この本のどこどこが面白かったとか意見を交わしたり………………あれ、本の話しかしてないや…。


基本、スキンシップで愛情表現しているから「好きだー」とか「愛してるー」といった言葉はあまり口にしない。そういった言葉を日頃から呟いていると言葉が軽くなっていまうため自粛しているせいでもある。

まあ、読書の秋だから良しとしよう。


「おっと、そろそろ夕食の時間だ」


銀時計で時間を確認するともうすぐ夕食の時間になろうとしていた。

俺とパチュリーは図書室に籠っているため、こうでもしないとレミリアや美鈴と丸一日会わない日が出てきたりしてしまうのだ。同じ所に住んでいるのにそれは素っ気ないということで紅魔館では食事は皆で取ると決めている。


「そうね。行きましょう」


………………………………………

……………………………………

…………………………………


「四六時中そんなベタベタしていて…倦怠期が起きて長引いても知らないわよ」


食堂に付くと、すでに座っていたレミリアにパチュリーと手を繋いでいる俺達を指摘してきた。俺達も席に座る。


「全く…お互いが傍にいないといけない病気にでもかかってるのかしら?」


失敬な…と言いたいところだけど、あながち否定が出来ない。さしずめ恋の病と言ったところか。

はて、俺は神に3つ目は怪我はしてもいいけど病気には絶対になりたくない、といったはずだが……まあ、いいや。それにこの病気ならずっとかかっていたいし、治したくもないな。


「レミィも恋人を作ってみたら?人生変わるわよ」

「パチェは最初そうで変わってすらないでしょうに…」


パチュリーとレミリアはいつの間にか渾名でパチェ、レミィと呼び合うようになっていた。本当にいつの間にそんな仲になったんだ?俺としてはちょっと焼きもちを焼いてみたり。


「まあ、まあ。お嬢様にもいつか立派な殿方があらわれますよ。きっと」


そうしている間に美鈴が料理をキッチンワゴンにのせてやって来た。今日も美味しそうだ。


「そんな話じゃないのだけれど……まあ、いいわ。先ずは食べましょう。せっかくの料理が冷めてしまうわ」


今日のメニューはシチューだ。そこで一緒に食パンが出てくるのだが……


「…パンはひたパンでしょ」


レミリアは一口サイズに切った焼いた食パンをシチューにドップリ浸して羽をパタパタさせながらスプーンで美味しそうに食べる。

レミリア曰く、パンをシチューに浸して食べると焼いた食パンからシチューがじゅわ~と溢れるのが堪らないらしい。


「いやいや、つけパンでしょ」


俺はつけパン派だ。幼いとき食べ方を真似したパチュリーも同様で、焼いた食パンの特徴であるカリカリサクサク性を損なわずにトロトロのシチューの美味しさを味わえるつけパンこそ至高。サクサクとトロトロ。この矛盾した二つを表現出来るのはつけパン以外に何があろうか?


ーパン論争勃発ー


「なんですって!?ひたパンは噛みやすくっていいじゃない!」


「ひたパンはカリカリしてない。その点、つけパンはサクサクを損ねないわ」


「第一、浸すんだったら焼く意味ないじゃないか」


「焼けたパンは良くシチューが染み込むのよ!」


「ひたパンはパンがふにゃふにゃしてる」


「つけパンは手にシチューが付く!」


「つけパンのカリカリサクサクが何故わからないのかしら」


「ひたパンのじゅわ~っていうのが何でわからないのよ!」


「つけパン!」

「ひたパン!」

「つけパン!」

「ひたパン!」


バキッッッッ!と音が突如玄関から響き、ドカドカと誰かが入る足音がした。


熱い討論が水を打ったように静まりかえり、俺達は無言で立ち上がって無粋な侵入者の方へ向かった。


玄関ホールへ向かうと、そこには吸血鬼の敵である人狼の姿がひとつあった。


「けけッ、吸血鬼ィの匂いがしたから殺しに来たゼィ」

「犬っころが……私達の食事を邪魔した罪…その身であがなえ!」

「え…ちょ、何でそんなに怒ってるンだよォ!」


レミリアと俺とパチュリーに気圧され人狼はビビってしまった。

レミリアはグングニルを構え、俺とパチュリーは魔法を使った。


「スピア・ザ・グングニル!」「中宮にある五黄土星が廻っている…五黄殺!」「ロイヤルフレア!」


「ヒィ!」


レミリアの神槍が人狼の胸を貫き、俺の魔法が人狼を肌をボロボロに腐らせ、パチュリーの魔法が人狼を跡形もなく灰にした。


「人狼風情が…この館には誰が住んでいるのかわからないのかしら?」


人狼がこの館を襲うのは今回が初めてじゃない。この館が降魔館だったときから吸血鬼のレミリアを狙って人狼がここを何度も襲ってくる。

その度にレミリアが返り討ちにするため人狼の間で名前が知れ渡り、力試しにやって来る輩が多いのだ。


「早く戻ろう。シチューが冷めちゃう」

「そうね、片づけは後でしましょう」


………………………………………

……………………………………

…………………………………


「「「美鈴!美鈴はどうなの?」」」


「え!?私ですか!?」


つけぱんひたパン論争に決着をつけるべく、ジャッジを求めた。いきなり巻き込まれた美鈴は慌てふためきながらも答えた。


「私はなまパン派です」


「「なんですって!?」」「なに!?」


第三勢力があらわれたことによって第二次パン論争が開かれたのだが、それはまた別の話。


いきなり人狼が出てきたのには意味があります。


ちなみに作者はつけパン派です。

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