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東方魔法録~Witches fell in love with him.  作者: 枝瀬 景
一章 喘息少女~If you have memory in former incarnation , what would you like to do.
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13 襲撃~The beginning of the disaster.

ハーメルンに連載していたのはここまで。次回からストックが切れるまで一日一話になります。

「ただ今戻りましたー」


魔法警察に行っていたトラベルが仕事場に戻って来た。毎回毎回警察のところに行くのも大変だな。…いっそ会社を警察の隣に引っ越しさせるよう社長に頼んでみようか?


「ラベル。今日もマロウ家の仕事か?」

「ベルです。そーなんですよ。ここ最近毎日、捕縛依頼ばかりで疲れちゃいます…」

「冗談だ。臨時手当てでも要求しようかなぁ」


明希が産まれた頃はマロウ家の討伐か捕縛依頼は一ヶ月にあるかないかの頻度だったが、ここ最近、毎日警察からの依頼がうちにやってくる。

警察だって働いていない訳では無いだろうが、デスクワークが苦手な俺が言うのもなんだが元々デスクワークがメインの会社をあまり働かせないでほしい。


「何故かはわからないがマロウ家の動きが活発になったと言うことだろ」


エドワードが以前、マロウ家のスパイをしていた頃はそういった理由やら何処を襲うとか色々情報がこちらに入ってきたのだが今はそうともいかない。


「マロウ家って何がしたいんですかねぇ」

「たしかマロウ家の目的って魔法を独占するっていう話だったが…」

「本当の目的は違うだろうな」


エドワードがスパイをしてわかったことだが、マロウ家は魔法を管理し、秩序のある魔法界を作り上げると言った大層ご立派な名目で魔法の独占を狙っているらしい。

その建前を狂信した者は次々とマロウ家に入家するのだが、もっと別な理由があると俺達は睨んでいる。


「まあ、ここで考えいてもしょうがない。さっさと捕まえて吐かせた方が手っ取り早いさ」

「修造さん…奥さんの性格が移ってませんか…?」

「ふっ、何年あいつと付き合っていると思っているんだ」

「ノロケてないでさっさといくぞ」


………………………………………

…………………………………

……………………………

マロウ家が頻繁に現れるという場所は学園から離れた森に向かうと、フードを被った怪しい者が二人いた。俺達は警察から貰った警察手帳みたいな物をその二人に見せる。


「ちょっと質問したいんですけど」


この手帳は警察に渡されたもので、端的に言うと警察の仲間である証明出来るものだ。警察手帳と同じような効果をもたらしてくれる。


「っ!こいつ警察の犬か!」


手帳を見せると二人は動揺して距離を取りつつ暴言を吐いてくる。あーあーそのあだ名やだなぁ。

二人は距離を取ると弾幕を張って俺達に攻撃を仕掛ける。


「そんな密度じゃ当たらないぞ」


向こうは至極まじめに攻撃をしているようだがスピードも遅いし弾幕も薄い。これじゃ明希達のほうがよっぽど強いぞ。

俺達は軽々と弾幕をくぐり抜け、二人に至近距離で攻撃を仕掛ける。


「アイスクラブ!」

「グランドバンカー」


俺が氷の棒で二人を叩き、怯ませたうちに、エドワードの魔法で二人の足下の地面が競り上がり、覆い、拘束した。俺達にかかれば余裕だ。


「また出番無かった」orz


バベルが地面に膝と手を地面につけてうなだれている。まあ、あれだ。ドンマイ。


「くっ!離せ!」

「こんなところで…!」


二人は土の中でもがいて脱出しようとするが、二人を覆っている土はびくともしない。


「これで良しと。あとは警察に持っていって吐かせるだけだ」


二人を担いで警察に向かおうとする。…端から見れば俺達が誘拐犯みたいだな。手帳があるから大丈夫か。


ヒュン!


だが、突如、この二人とは比べ物にならない威力の弾幕が飛んできた。俺達は急いで回避した。


「一体何ですか!?」


弾幕は俺達に当てるつもりは無いのか、牽制のようで躱すことは簡単だった。攻撃の向きを辿っていくと、青みがかった銀髪で小柄、背中に翼、ピンク色のナイトキャップと服を着た少女が飛んでいた。吸血鬼か…!


「その二人を離しなさい」

「あ、貴女様は…!」


少女は赤い目を更に光らせ俺達に命令する。少女に気づいた二人は驚愕するも、安堵の表情を浮かべた。


「聞こえなかったのかしら。離しなさいといっているのよ」


少女はさっきより高威力の弾幕を牽制として放つ。やはり当てる気はないらしく、避けることは簡単だった。

この二人を担いだまま吸血鬼と戦うのは危険だ。俺は吸血鬼の言う通り、二人を地面に置いた。

少女はまた牽制の弾幕を張り俺達を二人から遠ざけさせた。そして少女は二人を覆っている土をいとも容易く粉々にし、二人を解放する。


「有り難き幸せ…!」

「私どもめを助けて頂き感謝します!」

「そういう契約だから別にいいわ。早く行きなさい」


二人は畏まりながら少女に感謝して何処かへ去っていった。


「なぁ、エドワード。あの吸血鬼ってまさか…」

「ああ、俺もスパイをしていた時に見たことがある…」

「じゃあ、まさかあの少女がマロウ家の仲間の吸血鬼ですか!?」


二人の逃亡を見送った少女はこちらを向いた。その顔は困った顔と微笑みが混じった複雑な表情だった。


「私は貴方たちと戦いたくないのだけど…仕方ないわね。…大丈夫、殺しはしないわ」


吸血鬼は目を妖しく光らせ俺達に今度は当てるつもりで攻撃を仕掛けてきた。









欲望は斯くも残酷で恐ろしく、どこまでも果てしなく、時として無関係な者を大勢巻き込んで本人だけが笑って終わる。

俺はまだこの時は奴のしでかすことに気づくことなんて無理だった。例え予兆があったとしても。


「えー、プラハ窓外投擲事件とはー、チェコで数百年に一度、窓から人を投げるという祭りで…」


大学生になった俺はだらだらと講義を受けていた。

卒業まであと少し。ここを卒業していったら何をしようか悩み、憂鬱になっていた。父さんのところで一緒に働こうかなぁー。パチュリーは…なんて言ってたかな。永久に就職するから気にしないとか言ってた気がする。

先生が窓外とか言っていたせいでふと、俺は窓から外を見た。


空はとても魔法で作ったとは思えないぐらいに青く澄んでいて、のどかな日常を思わせる。街が広がっていて、一体何人もの魔法使いがウェネフィクスにいるんだろう。学園の入り口を見ると見馴れないフードを被った怪しい二人組が何かをやっている。どれも何時もと変わらず平和な街の様子……じゃない。なんだアイツら?


二人組は何やら呪文を詠唱した。すると暗く、二人組より大きな楕円の形をした謎の物体?が出てきた。そして次の瞬間、その楕円から大勢のローブを着た魔法使いが次々と現れた。驚いた俺は硬直してその光景から目を離せなかった。

ローブの魔法使い達は一斉に構えて学園に向けて魔法を発動させる。


「伏せろぉぉ!!」


なんと、魔法使い達は学園に向けて攻撃を仕掛けてきたのだ。窓からそれを見ていた俺はその事にいち早く気づき、皆に伏せるように大声で指示する。俺は最大まで防御結界を張り、周りにいるパチュリー、エリー、レイレウを咄嗟に守った。


激しい爆破が続き、校舎の壁は粉々になり、煙が舞って辺りの視界を遮る。俺は必死に耐えた。

攻撃が止み、視界が回復すると…酷い、この一言につきた。

壁はボロボロになって無くなり、机は散乱している。咄嗟に伏せろとか言われても反応できなかった者は無惨に死んでいた。俺の声に反応できたやつと俺が守ったパチュリー達だけが生き残った。


「な、なんなのこ、れ…」


エリーはあまりにも衝撃的な光景を目にして茫然としていた。レイとレウも同じだ。ただ、あの時、初めてパチュリーを守ると誓ったときと同じような状況だと思った俺とパチュリーは違った。


「とにかく敵が来る前に逃げるぞ!まずは安全の確保だ!」


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