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ある学校での出来事

「痛っ…」


昨日痣ができた頬から痛みが伝わる。湿布を貼り付けられ、頭にはぐるぐる巻かれている包帯。

どう見ても怪我人だ。

唇の端は切れて血の跡が残ってるし……。

周りからの視線を流しながら、生徒で溢れかえっている学通路へと出た。

俺の顔を見てビビる人もいればクスクスと笑う人もいる。……予想通りだ。


「おはよ秀久」

「ああ、おはようリコ」


俺の後ろから小走りで来た幼馴染みは、隣に並ぶと歩幅を合わせる。肩まで伸びた茶色い髪、優しそうでいて活気のある緑の瞳……、身長は俺よりは低いけど女子高生は高い方だろう。

そんな見慣れた姿の平絹リコは俺の顔を見ると少しだけ苦笑していた。


「……ちょっと色々あってね」

「いつもみたいな不憫とは思えない顔だね」

「……っ、なんかモヤる」

「くすっ、でもよかった。いつもみたいに元気そうだね」



そう……なのだろうか。

昨日の出来事は今も頭の中で繰り返されている。

……上辺だけの笑顔。

手のひらを見れば、赤色に見えてしまいそうだ。

……。

……彼が犠牲になる意味なんてあったのだろうか。


「……秀久?」

「、ああごめん、ちょっと寝ぼけ「ヒデーーーー!」ぐほぁっ!?」


鳩尾!!

銀色の弾丸がもろに急所に当たり思わず呻く。後ろへ吹き飛ばされそうになる感覚をなんとか耐え、左足で踏ん張る。

リコと同じく青いブレザーに赤いチェックのミニスカートをひらひらさせながら、銀色の弾丸はぎゅうと俺を締め付けるように抱きついた。


「ヒデ!ヒデ!無事で良かっタでス!」

「いだだだだだ!!」


痛い痛い痛い!

それと同時に頬をこする明香の柔かな頬。大きな2つの果実が押し付けられ、首から耳にかけて熱が集まって行く。優しく甘い匂いが鼻を刺激し、体が自然と緊張状態になってしまう。


「……お前」


俺の頬を冷たい雫が流れた。

明香は青い目に溜めた雫を溢しながら、顔を歪めながら笑っている。

……はあ。なんて酷い顔してんだよ。


「あー、秀久アキちゃん泣かしたー」

「違っ!明香、お前もいい加減離れろ!」

「嫌でス!ワタシが不甲斐ないセイでヒデに……」

「気にしてないから!俺が明香を守りたくて勝手に出来た怪我だし……あ」

「え?」


待て、待て俺。

今なんて言ったんだ……。

目をゆっくりと明香に向ける。


頬を紅潮させ、潤んだ瞳とつり上がる口端。まるで犬がぶんぶんと尾を振ってるように見える。

……やべ。


「ヒデーーー!Jag mycket om dig mycket.!!」

「ばっ……〜〜〜〜」


バランスを崩し、明香に押し倒される形で倒れる。

リコは顔を手で覆い、見なかったように顔をそらす。

ちょ、助@ajm636にま@a80「ーー!?


「おのれ上狼、純粋無知な明香さんになんてプレイを!」

「プレイ!?何変な勘違いしてんだよ!それより助「「「上狼覚悟しろー!!」」」なんでだーー!」


……早く契約から解放されたい、とほほ。

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