思いつき
例えばの話
求めていたものは違った。
……信じていたものは違った。
ただひたすらに、夢に向かって突き進んでいた筈だった。
きっと沢山の世界を見てきた。
きっと沢山の人を見てきた。
そこで沢山のものを貰った。
みんな誰もが輝いていた。
綺麗な瞳だった。
綺麗な笑顔だった。
……家族のような存在だった。
ある村では学校を作った。
文字を教え、言葉を教え、学びを教え……。
ある村では市場を作った。
作物が豊富で、広い大地だったからそのままは勿体無いと思ったからだ。
ある村では結婚式を開いた。
花嫁、花婿……、衣装は日本のような物ではなかったが花に包まれ鐘が鳴り……。
幸せそうな2人だった。
……家族。
俺にも家族が居る。
その人は式を挙げた日、泣いていた。
悲しいからじゃない、嬉しいからだと……とても幸せそうな顔で……。
……君と過ごした日はあの日から少し変わって、お互い距離の近さに戸惑っていたっけ。
君が作ったご飯はいつも美味しかった。
君が洗った洗濯物は綺麗でいい匂いがした。
君が居る家はいつも暖かかった。
……君は俺が旅に出るのを止めなかった。
周りが反対しているの中、君だけは笑顔で見送ってくれた。
何度も君を1人にした。
何度も君に迷惑をかけた。
俺が挫けそうになった時も、俺が怪我を負って入院してた時も……、君はその手を離さなかった。
今度は俺が……
『次の場所はちょっと長引くけど、絶対帰る。そしたら、……ずっと一緒に居よう」
約束したんだもんな。
君は不安を押し殺して、頷いてくれた。
……帰ろう……。
「……
名前は……確か」
「カミオイ、明日にはニホンだ。ゆっくり休め」
「……ああ、娘も出来たんだ……まだ幼くてさ」
「治ったら腐る程聞いてやる、だからいまは寝てろ」
「……みなも、それは俺がやるから……久しぶりにご馳走作る………」
「カミオイ?」
太陽が眩しい。
君の髪みたいに、黄金で……輝いてる。
……もう一度、君に