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リクエスト

リクエストかつ書いてみたいものを合わせた感じです。お助けの改造版ですね、はい。

体育館の倉庫が新築され、以前の倉庫は空き部屋となった。一人の生徒の立案により、空き部屋は改修されて今では部室として使われることになったのだ。彼にそれ程の発言権があるのかは皆無だが、今では防音が施された部屋になっているため、体育館を使用する部員達の声は聞こえない。

そんな部室には今日も依頼人がやって来る。

この部活は、人助けをするために設けられたのだから。

そんなことを思い出しながら、少女は資料をまとめていた手を止めてお茶を淹れる。昔はある用件で茶道も嗜んでいたため動作の一つ一つが綺麗だ。

彼女、涼宮みなもは人助けが好きで困ったことがあれば何でも受けてしまうのだ。友人からはいいように利用されているのでは無いのかと問われたが、彼女は皆がみなそういう人達では無いと笑顔で返す。

彼女の優しさやそんな性格もあり、学年ではアイドル的存在だと男女共に慕われているのだ。

そんな彼女がこの部活に入ったのはある意味運命なのか必然なのか……、盆にお茶と菓子を乗せて会話が聞こえる方へと向かう。


「お茶をどうぞ」

「ありがとう涼宮さん」


返事をするようににっこりと笑みを見せる。

ソファーには先程お礼を言った男子生徒が座り、反対側には彼の話を聞きながら菓子の包みを開く赤目の男子生徒が座っている。

みなもは盆を膝に乗せ、赤目の男子生徒の横に座る。男子生徒はそれを気にした様子もなく、顎に手を当てた。


「なるほど、つまり彼女のスキンシップに慣れたいと」

「はい……。僕、その……自分が言うのもなんですが結構ウブなので」

「……わかった。こっちで模索しておくから練習に集中してくれ」

「あ、ありがとうございます」


暫くして一通りの会話を終え、男子生徒は部室から出て行く。

姿が見えなくなるまで見送ったみなもは扉を閉め、男子生徒の方へ振り返る。


「あの上狼先輩、私途中から聞いていたのでよく分からなかったですが依頼内容は……」

「ああ、まあ簡単に言うと……」


彼、夢見アツムは陸上部2年生。大人しい性格ではあるが100m走では全国大会にまで進んだエースである。彼には同じ学年のバレー部所属の彼女がいる。

彼女の名前は須藤ハル。性格はしっかりしていて、次期バレー部のキャプテンとも言われている。

二人関係は良好だが、アツムはウブな性格のため、ハルのスキンシップに毎度流されあと少しの所で上手く行かない。


「近々夢見は駅伝があるみたいで、同時に須藤さんとのデートもあるらしい」

「……ハードスケジュールですね」

「で、夢見は須藤とのデートを成功させたい。でも、それにはスキンシップの壁を破る必要がある……」

「でも、それって須藤さんと慣れるまで触れ合うしか……」

「ああ、だけど夢見は駅伝で結果を残したいから毎日遅くまで練習しているんだ」


彼女との時間が無い……。

つまりハルと触れ合う機会も殆ど無くなるということだ。だからと言って全力で部活を取り組む生徒にやめろとは言えない。


「デートは駅伝の後日。今まで時間を削った分夢見は須藤さんにお返しをしたい……、だけど夢見はウブ!」

「そこまではっきり言わなくても……」

「俺達の今回の依頼は、夢見にスキンシップの慣れ方を伝授することだ」


ホワイトボードにまとめ、部長である上狼秀久はそう言った。

確かに、スキンシップを積極的に受け入れれば好感度も上がるし空いた時間も決して無駄にはならない。

だが……。


「無茶苦茶過ぎませんか?」

「……」


果たして成功するのか。


「困ってる人を見過ごさないのが俺達の部活だ。大丈夫、夢見に貰ったメモの内容から逆算すればいいんだ」


夢見が渡したメモ、そこにはハルがどういうスキンシップ、甘えてくるのかが書かれている。

みなもは嫌な予感を感じつつも、秀久とメモの内容を読む。


「……あの、これ……」

「あ、ああ。いや、まあ大丈夫?だ。……まずは俺達がこの内容を理解しなきゃ始まらないし」

「理解……って……」


かあああっとみなもの顔が真っ赤に染まる。

秀久も口元を押さえ、思わず無言になる始末。


「やるか」

「え?……ふええ!?」




「え、えっと……こうですか」

「ひっ!?」


みなもが太ももを上下に優しく撫で、ビクッと跳ね上がる秀久。その様子に小首を傾げ、再び愛撫を続ける。またもビクッと跳ね上がる秀久だが、みなもは手を止めない。


「……ん、……はあ」

「スキンシップだから軽めだと思って……ひっ、たけど、くっ……これは……」

「先輩……ん」


もぞっと何かを触れられた音がした。

電撃のように衝撃が走り、秀久は慌てて愛撫するみなもの手を止めた。


「ストップ……涼宮、お前どこを触ってんだ」

「すみ、ません……。その……」

「少し冷ましてから再開するか」

「……そう、ですね」


みなもはふらふらと身体を揺らしながらカーテンの奥に消える。

秀久は頭を抱えながら、今回の依頼は色々と試されているだろうなと呟いた。

みなものウィークポイント……、改めて厄介なものだ。感度が人の倍であり、触れるのも触れられるのも彼女の限界値までだ。今まで見てきたウィークポイントの中で異例でもあり、中々に危険なボーダーラインだ。


「けど、これに関しては仕方ない。俺が慣れるしかないな」


ある意味では夢見と同じ立場だ。何か解決する手口が見つかるかもしれない。



Second fight


「あ、あの、先輩」

「……だ、大丈夫、まだ大丈夫」

「で、でもこれって……」


みなもは顔を真っ赤にしながら秀久の手を足で挟む。

彼女の滑らかな肌触りと、柔らかな太ももに挟まれ耳には吐息がかかる。

しかしその吐息はどんどん荒さを増して行く。


「まっず……涼宮一旦中断「んんぅ、無理、です」は?いや、え……ーーー!!」



third fight


「先輩……」

「え、ちょ、涼宮、もうアウト!?いや、確かに胸に手を挟むのはやばいけど……」

「はうぅ……また身体が熱く」

「中止ーーーー!!」


ぐだ〜と倒れる秀久。

あれから色々試したが、よくよく考えてみればスキンシップと言うよりもはやボディタッチだ。

みなもはブラウスのボタンを閉じ、脱力したようにソファーにもたれかかる。

まだ発情が抜け切れていないのか瞳をとろんと潤ませながら力尽きている秀久に言葉を投げる。


「先輩……やっぱり須藤さんにワケを話したほうが……」

「いや、駄目だ。……それだときっと距離が離れてしまうだけだ」

「うう、でも……こんな過激じゃ無理ないですよ。リセットした方が……」

「それだ!」

「え?」




「アツムくん〜〜」

「ハル〜〜」


後日、仲良くじゃれ合う夢見さんと須藤さんがいました。夢見さんは無事駅伝で記録を残し、ボディタッチも克服。須藤さんとは前よりももっと仲良くなったみたいで、二人でお礼に来た時はびっくりしました。

ですが、その……。


「端から見たら刺激が強すぎるな」

「はい……、私達、あ、あんにゃことしていたんですね」

「……忘れようぜ」


先輩も私も顔を真っ赤に染め、静かにその場から離れて行く。

お幸せに……、ただあまり行き過ぎないで下さいね?夢見さん。


「そう言えば先輩、どうやって夢見さんに耐性をつけたんですか?」

「ああ、夢見から須藤さんのスキンシップをリセットしたんだ」

「リセット、ですか?」

「ああ、……ようはあいつに女の子と触れ合う方が何倍もマシだって感覚を植え付けた」


そう言えば、この学園には女装部という部活があったような……。

………。これ以上聞くのはやめよう。


「私も……克服したいな」

「ん?何か言ったか涼宮」

「……はい。上狼先輩、これからも頑張ります!だからよろしくお願いします」

「ああ、……よろしくなお色気担当」

「もう!その言い方はやめて下さい!」

「うお!危.、、、うわぁあああああああ!!」

「あ!先輩が屋上から落ちました!?」


上狼先輩も、私もウィークポイントを抱えて生きている。……世の中にはそんな人が沢山居て、私は今日も先輩と一緒にそんな人達を助けて行く。

それが私達、……ヘルパーサルベージなんです。



設定的なもの


秀久……2年生。ヘルパーサルベージの部長、元々部活というのは名前だけで生徒会支援部のような存在だった。みなもが入ったことで部活として活動を始める。部員はあと2人居るが殆ど不在。

ウィークポイントは不憫。唐突に高いところから落ちたり、車に跳ね飛ばされたり、いきなり爆発に巻き込まれたりする。

年相応なため下心がある。


みなも……1年生。人助けが大好きで学年のアイドル的存在。ウィークポイント故に秀久曰くお色気担当。

部活に入った理由はなんなとく波長が合いそうだったから。色々と被害者。

ウィークポイントは感度。人より何倍も感度が高く、触れ合うのも彼女の限界値まで。限界値を超えると暴走モードに移行する。クールダウンするにも熱を通すものは外さなければならない異質のウィークポイント。


夢見アツム……2年生。陸上部100m走のエース。恋人はバレー部の須藤ハル。依頼人。ウィークポイントは極度なウブさ。


須藤ハル……2年生。バレー部次期キャプテン。天然であり、ギリギリのボディタッチをするが本人は気にもしない。胸はDカップ。

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