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ハロウィン?

この学園はイベント好きだ。というのも学園長が楽しいことが大好きな性格らしく、季節や思いつきで開催されることが多く、ある意味では学園祭最多とも言えるしお祭り学校とも言える。

今回のイベントはハロウィン。季節も季節、暮れも早くなり徐々に寒くなる。

学校内では各クラスがお菓子やスイーツを作っていて、それを集めてホールに改造された体育館でイベントを楽しむ形になっている。生徒も教師も仮装し、参加する。誰もがたのしむ、それが学園の方針だ。


「「「おぉおおーーー!!」」」


俺は全クラスから菓子を集めて回っていたが、自分のクラスに様子見に行くと歓声が湧き上がっていた。

ミイラやらゾンビやらドラゴンやら、様々な衣装に着替えた男子達は同じく仮装した女子達を見て興奮を抑えずに騒ぐ。

菓子を摘み食いしていた手を止め、俺も視線を向け………


「げほっ、げほっ!?」

「上狼がむせたぞ!」

「それ程俺たちのクラスはレベル高いってことだ!」


いや、そりゃレベル高いよ。

ちらりと視線をまた向ける。

露出が極めて激しい衣装に身を包む女子生徒達。魔法使いやら剣士やらどれもこれも布の面積が少ない。

あと、俺基準なのはやめてくれ。


「秀久くんっ」

「みな……げほっ!?んぐっ!ごほっ!」

「「秀久がむせたぞ!」」


危うく喉に詰まって死ぬところだった。

元凶である涼宮みなもは水を差し出し、何か期待するようにこちらの様子を伺っている。


「え、えーと……みなも、その格好は」

「あたしがチョイスしたのよ、うんうん見立て通りね」


お前が犯人か委員長。露出が高い剣士の衣装で満足げに頷いている。

みなもの格好はふさふさの狼の耳、尻尾、爪がついたグローブをつけている。そこまではいい。そこまでは狼少女だ。

ごくっと思わず唾を飲み込む。

上半身はほぼ白いたわわが丸出しで、大事な場所だけがふさふさの装飾で隠されている。言ってしまえば面積が少ない水着だ。下半身も腰あたりに装飾とリボンが付いていて殆ど肌が露出している。水着に装飾、グローブ、ニーハイと言えばイメージできるだろう。

他の女子も似たようなものだ。

だがみなもはギリギリラインに近い。


「あの清楚な涼宮さんがなあ」

「ギャップ萌してしまうよなあ」

「胸でけえ」

「肌白いなあ」


最近ケーキを食べ過ぎたから太ったかも知れないとみなもは嘆いていたが全然だ。

殆ど全開なたわわを見ていると、たゆんっと揺れた。距離も近くなり、みなもがこっちへ距離を詰めていた。


「秀久くん、似合いますか?」

「……!あ、ああ!珍しいな、みなもがそんなに露出高い格好を許すなんて」

「う、最初は拒否しましたよ?でも、みんなやるからいいかなって」


良かった、ガン見してたのはバレてない!

みなもは苦笑しながら腕を後ろで組む。胸が強調されて、少し揺れた。


「それに……」


桃色の瞳が俺を見る。

ドクンドクンと心臓が鼓動を鳴らし、緊張から体が強張る。みなもは腰を落とし、サラッと肩にかかる長い髪を上げて見上げるように上目遣いで微笑んだ。


「秀久くんが、守ってくれるんですよね?」



何か、言葉を探さないと……。



「お、狼の耳つけてる奴に言う言葉か?」

「くすっ、ペアルックですね」

「っ……」


正直、今のみなもに勝てる気がしない。

顔が真っ赤になり、心臓がバクバクと音を立てる。

と、みなもが俺の制服に顔を埋めた。


「……恥ずかしくないわけじゃないですから」

「……そりゃそうだな」

「……はい」


恥ずかしいのはお互い様だ。

くすくすと笑っていると、委員長がニヤニヤと見ていた。


「いやー、甘々だね〜」

「はいっ!」

「固定しちゃうのみなも!?」

「でも、秀久君。う し ろ」


……後ろ?

そっと振り向く。


……あ


この後俺はクラスメイトや他の学年やクラス、教師に追われてイベントを楽しむ暇がなかった。

秀久死亡(南無

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