表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/48

七夕に願いを

七月七日。世間では七夕の日だ。

願いごとを書いた短冊を笹の葉に吊し、皆で祝う。デネブ、アルタイル、ベガ……夏の第三角、織り姫と彦星から連なる天の川。

星空も満点、その煌めきにみなもは赤い瞳を輝かせていた。

スケッチブックを抱きしめ、草原に囲まれた丘に座り込んでいる。その先ではみんながバーベキューの準備で騒いでいるが……。

と言うのも、七夕と平行してキャンプを予定していたのだ。最初はどうなんだという意見もあったが、みんなで星空の下で過ごすのも悪くない。

それに、いかにも自分達らしい。


「お前、案外ロマンチストなんだな」

「わ、悪いでしゅか」


噛んだことに顔を赤くしているみなも。軽く苦笑しながら、秀久は隣に座り、星にも負けない輝きをした金色の髪の天辺、頭を軽く撫でた。

……もう慣れました。

みなもは気持ちよさそうに目を閉じ、思い切って秀久の方へこてんと倒れる。


「綺麗な夜空だな」

「ほんとだね……世界もお星さん達みたいに綺麗で、仲良く並んでいたらいいのにね」

「……」


秀久は星空を見上げるみなもを見る。

彼女の瞳には、何処か悲しみや寂しさがあるような気がした。だが、それは秀久も分かっているのか何も言わず暫く星空を見上げる。天の川……、それさえもまた寂しい存在だ。


「ヒーくん、泣いてるんですか?」

「え?」


目もとを指でこすり、濡れていた。

知らず知らずの内に涙が出ていたようだ。

もし、あの時過去が違っていたら……三人で見れたのだろうか……。


「……いや」


答えはきっと変わらない。

秀久はみなもをガシガシと強めに撫で、再び星空を見上げた。


「行こうぜ、摩果達が待ってる」




「あ~食った食った~」

「……(星空の下でバーベキューも楽しいね♪)」


龍星は片付けをしながら、芹香の言葉に頷いた。

草原ではつぐみ、秋斗、明香、煉介らが星空を見上げている。


「わ~綺麗!!」

「ホントだ。天の川も見えるね」

「ろマんチックデスね~煉介♪」

「はい!皆さんと見た今日の夜空、俺は忘れません!」


一方で響は流牙を連れて、どんどん奥へと進んでいた。


「天の川か……たまには悪くない」

「りゅーがー!こっちも凄いよー!」

「……何処まで行く気だ。……この草原が天の川になりかねんな」


深紅と光一は片付けを手伝いつつ、はしゃぐみんなを丘から見下ろしている。


「元気やな~」

「一年に一回しかないんだ。仕方ないだろうな……」

「せやな。ほな、わっちらも見に行こか♪」


星を先に満喫していたみなもは片付けを終え、スケッチブックに何かを描いている。

隣に秀久と澪次、摩果はみなもの隣で本を静かに読んでいる。


「秀久は願いごと、何書いたの?」

「……澪次奪還」

「ぷっ……嘘が下手くそだね。ある意味本音でもありそうだけど」

「……うるせえ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ