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MOD 1
滑稽だと思わないか?
同じ日、同じ時間、同じ母体から産まれたはずなのに、こうも違う人生を歩んでいる。
少年は燃え広がる炎を、冷ややかな薄ら笑いを浮かべながら見上げていた。
炎は校舎内を包むと空高く舞い上がる。それはまるで天を仰ぐ、紅蓮の龍…
校舎は瞬く間に紅蓮の龍に喰われた。
運良く逃げ延びた数人の生徒、教師は息を切らしながら校庭のグランドに雪崩れ込む。
辺りは騒然としていた。火を消そうと炎に立ち向かう消防隊員、火傷を負った負傷者を介護する救急隊員、誰もが目の前の“惨劇”と戦っていたのだ。
『おい!君!怪我はないか!?』
消防隊員が一人の少年に声をかけた。
振り向いた少年は酷く冷静で、その瞳からは“焦り”は感じられなかった。
その少年の周りにだけ特別な世界があるような、違う時間が流れているような…
今のこの惨劇には全くそぐわない少年―――
『…何処も怪我なんてしてないですよ』
クスリと笑みを零したあと、少年は答えた。
消防隊員が声をかけた少年、それは
燃え広がる炎を、冷ややかな薄ら笑いを浮かべながら見上げていた―――