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第4話後編:静香の決意

2連続投稿の後半です!


時刻はすでに夜。外は闇に包まれており、鈴虫のような虫の音色がそこら中で響いていた。


夜空には二つ大小の満月が輝いていた。月明かりは地球のよりも強く、影の濃淡がはっきりと見えた。

そんな月明かりが慶と弦の2人を照らす。


「なるほどねー、【望み】の強さか…」


「ああ、俺と清水が発現したわけだけど、共通点はそこらしい」


「そっかー、望みね…僕は何を望んでるんだろ」


弁慶の話を聞いた慶は、弦と話していた。場所は、全員の共同スペースのような場所の縁側だった。


お互いに、準備された浴衣のようなものを召しており、なんだか修学旅行に来た気分だった。


「てかさー、こんな状況で危機感ないかもだけどさ。修学旅行みたいじゃない?」


「同じこと思ってた」


「あ、まじ!おもしろいねー。僕ら修学旅行行けるのかなー?」


弦は目を細めながら夜空を眺める。慶たちは現在高校2年生。ちょうど2学期が始まったばかりで、2学期終わりには修学旅行が控えていたのだ。


「どうだろうな。一旦は生き残るのに精一杯ってところだけど」


「戦争かー。僕らは一体どうなっちゃうんだろうね。ケイはどうする?」


弦が少し声を振るわせながら慶に聞く。


「そうだな……」


慶はその質問に声を詰まらせる。果たして自分はどうすればいいのか。しかし、先程の弁慶の言葉を思い出し、それが明確に思い浮かんだ。


「俺は…静香を護る。それだけだ」


「ハハ、ケイらしい。笛口さんもこんなかっこいい彼氏がいたら幸せだね」


「彼氏じゃない。静香はそうだな…妹だな。俺を救ってくれた恩人でもあるけど」


「んー…なるほどね…(笛口さんが可哀想だ)」


「ところでゲンはどうなんだ?」


「僕はそうだね…まだわからないや」


弦はいつも通りニコニコしながらそう言う。

2人の間には少しの静寂が訪れた。話に困って気まずいわけでもなく、ただ、お互いがお互いのことをわかったようなそんな間だった。


「あ、そうだ」


静寂を破ったのは弦だった。先ほどまでの穏やかな表情を一転させ、まじめな表情に切り替わった。声を小さくして耳元で呟く。


「ケイ、清水には気をつけて。明らかにケイに対する黒い感情が見えた。元々笛口さんのことを好きだったみたいだから。彼女にも伝えて」


「わかった。ありがとう」


その忠告を耳に入れ、その上で慶は静香の部屋に向かった。元々話す約束をしていたのだ。女子部屋は渡殿を渡り反対側にあるので、少し移動を要した。


少し肌寒い、秋のそよ風が慶の肌を撫でる。足裏に心地よい木の木目を感じながら歩いていた。


すると、縁側には月を眺めて物思いに耽る美少女がいた。

その表情は儚げで、小さな灯籠の光がその長いまつ毛を際立たせた。静香である。


「よ!」


「ふぁ…!?ケイ!」


少し後ろ側から声をかけたため驚いたのか、可愛らしい驚きの声を漏らして、こちらに気づく。どうやら、ケイが来たおかげか嬉しそうな表情である。


「ケイーーー!!ありがとう!ごめんね」


「大丈夫だって何回も言ってるだろ?それより怪我はないよな?」


「それこそ大丈夫だって何回も言ってるじゃん……でもー、刃物がある場所で、ケイに無理させちゃって」


静香は慶のトラウマについて気にしてくれていた。幼稚園からの関係のおかげか、ありがたい限りである。


「大丈夫だって、それより一旦中入ってあったまろう。肌、冷たくなってるぞ」


「むむ……」


さわさわと慶を心配して触ってきた手は冷たかった。結構な時間外で待たせてしまったのだろう。そう思うと、申し訳ない。


慶と静香は中の囲炉裏のようなスペースに移動する。周りには誰もおらず、皆各々の部屋に篭っているようだった。このようなことがあったのだから無理もない。


慶と静香は囲炉裏の周りで少しの雑談を繰り広げる。転移後の静香の友達との話だったり、弦の話、俺の能力の話もした。


「ねーね、こっち向いて」


ふと静香が呟く。ケイがその通りに向くと、静香の整った顔が目の前にあった。


長いまつ毛、大きな瞳、高い鼻、プルンと潤った唇、どれをとっても美人であった。あまりに近くて慶は少し恥ずかしさのような不思議な感情を抱える。


静香は泣きそうで、でも笑ってた。


「私ね……今日ほんとに怖かった。でもそれ以上に、

ケイが一人で戦うのを見るのが怖かったの」


静香が慶の手を両手で包み込む。まだ温まりきっていない少し冷めた体温が手から伝わってくる。


「昔から、ケイは私を守ってばかりだったでしょ?

今度は……私の番だよ」


「そんなこと…」


慶は反論しようとするが、静香がスラリとした手で静止する。


「だから……強くなる。

後ろじゃなくて、横に立てるくらいに」


何を言われるのか、変にドキドキしていた慶は呆気に取られる。静香は守られてばかりであった自分を気にしていたのだ。


「物語によくいるタイプの守られるだけのヒロインなんてやだもんね」


「なんだそれ」


プハッと少し笑いが溢れる。少し膨れた静香の頬を突きたくなる衝動を抑える。


慶はいつも通り雑に静香の透き通った髪をぐしゃぐしゃっと撫でる。すると静香は心地よさそうに微笑みを浮かべる。


「ああ、一緒に戦おう」


やっぱり護りたい。この笑顔を。

慶はより強く思った。


しかし、赤茶色の光が放たれる側で、暗い紫のひかりが慶と静香を見つめるようにともっていた。


暗い紫の光は、二人の温もりとは正反対の冷たさで揺れた。



ここまで読んでいただきありがとうございます!

次回、物語はさらに大きく動きます。


もし「続きが気になる」「応援したい」と思っていただけたら、

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それでは、また次の更新で。

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