第4話前編:弁慶の能力
2連続投稿の前半です!
後半は22:30頃に投稿します!
「こちらが星名殿の部屋。それでは」
波乱の能力判断が終わり、それぞれに部屋があてがわれた。
「それにしても広いな」
案内された部屋は大きな和室であった。修学旅行の4人部屋くらいの大きさの部屋で、中心にポツンと一つだけ布団が敷かれていた。
内装は落ち着いた作りではあったが、明らかに高級な場所であった。案内された場所があの帝の邸宅?のような場所の隣りだったことだけあり、粗末な作りではないようだ。
「あー、色々疲れた」
バッと布団に倒れ込み、慶は布団の柔らかさに包まれる。スーッと深く深呼吸をする。
鼻からは新品の布の心地よい匂いがする。部屋自体からも畳のいい匂いがして、不思議と落ち着いた。ざらざらとした畳に手をかけながら慶は今までのことを思い返す。
「教室の怪奇現象に、転移。静香が死にかけて、能力が発現か。英霊がいるのも俺と清水だけと」
結果的に、能力が発現していたのは俺と清水の2人だけだった。慶の能力はなんとなく自分でも分かっていたが、「【守護】の英霊ムサシボウベンケイ」であった。
無能力はあの後、出てこなかった。やはり、静香は特殊だったのだ。大丈夫だろうか?一抹の不安が芽生える。
今回も弁慶が力を貸してくれなかったら…。そう思うと慶の背中には冷や汗が垂れる。本当に弁慶には感謝しかなかった。
『うむ!そう思ってもらえると嬉しいのう!』
騒がしく頭の中で弁慶の声が響く。ただ思考している時には話しかけてこないが、こうして弁慶のことを考えると必ず入ってくるのだ。
『ただ主の【望み】が強かったから手を貸せたのだ!ガッハッハ!』
「【望み】…?弁慶の能力が出たのは偶然じゃないってことなのか?」
『いかにも!主の元来の【望み】の強さとワシの元来の【望み】が噛み合ったのだ』
詳しく英霊について聞くと、どうやら英霊の力とはつまり、英霊から能力者に貸した力らしい。英霊が力を貸す者を選ぶらしい。
『ワシは主だから貸した!ワシも同じ思いが生前あった故。ガッハッハ!』
「じゃあ他のクラスメイトの光ってなんなんだ?」
『ありゃ英霊の影じゃな!光が強ければ強いほど【望み】が強い。その英霊との波長があえば発現するのだ!』
「つまり……【望み】が心の底から強まって、かつ英霊のものと合っていれば力が発現するってことか?」
『いかにも!』
弁慶の話を聞くと、能力の発現はかなり難しいようだった。慶の場合は、あの時の【静香を護りたい】という気持ちが呼応した結果なのだ。
「じゃあ、能力が発言した者たちはもれなく弁慶の能力みたいな強い能力を持っているのか?」
『能力がどれだけ出せるかは、どれだけ宿主と英霊の波長が合ってるかで決まるぞ!』
「てことは俺にももっと強い能力が…?」
『……ガッ、ガハハ!ワシはもう主と全て通じ合っている故、これが最大だ!』
急に弁慶が焦ったような口調になる。少し気になるが、明らかに誤魔化そうとしてきてるため、スルーする。
「なるほど。あとは弁慶の能力について教えてくれ」
『もちろんだ!だが、見せた方が説明が早い故、こちらにきてもらおう』
弁慶がそう言った途端、視界が和室から白い世界に変わった。そう、ただただ白い場所。あの夢のような場所で見た光景だった。
慶の目の前には、文字通りの大男がいた。容易に2mを超えてそうな身長。180cm後半の慶が見上げるしかなかった。
無造作に生えた髭を長く蓄えた顔、小さな血管が見えるほど大きな瞳。現代では見たことないような大男。
いわゆる僧侶の服のような白い僧衣を着て立っていたのだ。不動明王のような威圧的な雰囲気で、まさしくイメージ通りの弁慶であった。
『お初にお目にかかる、主よ!改めて、武蔵坊弁慶である!』
「は、初めまして…星名慶です」
『それでは、早速能力をお見せしよう』
初対面から数秒で、能力の説明が始まった。
『まず、ワシの【七道具】からじゃな』
一番最初に慶が使った能力であった。確か使ったのは刺股。
『【七道具】は全部で七種類ある。それぞれに特殊な能力もついておる。また今度のお楽しみじゃな』
弁慶は刺股を見せながら説明する。見たことのない道具は実際に使うまで見せてくれないそうだ。実戦でのお楽しみである。
『続いては、ワシの愛刀【岩融】じゃな。こやつはただ単純に武器である。特別な力などない。どこでも空間さえあれば呼び出せる。ワシの愛してやまない愛刀なだけあり、凄まじい切れ味じゃ』
あの威嚇の場面で紹介した【岩融】だった。大きな薙刀であったが、弁慶と比較すると少し小さく見える。相変わらず不思議な「リンリン」という音を立てており、まるで生きているようだった。
触れてみると魂が震えるような何かを感じた。
『あと最後に…いや!間違えた!やはりなんでもないぞ。以上じゃ!』
少しきまり悪く、弁慶による能力紹介が終わった。
どちらにせよ、凄まじい能力であった。
『強大な力故、護る時だけしか使わぬようにな』
弁慶の言葉を胸に込め、改めて護りたい大切なものを思い起こす。
「この力で絶対に守る…」
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暗闇に包まれた一室。
障子は閉ざされ、湿った空気が重く淀んでいる。
布団にくるまった少年は、ただ一点──膝の上の鏡だけを見つめていた。
鏡の奥で、赤紫の光が脈を打つ。
まるで清水の感情に呼応するように。
「ありがとう…秀吉。君だけが…君だけが僕の味方だね…」
少年の表情は雰囲気とは打って変わって穏やかだった。
「うん。僕があの力を使って、主人公になる」
口角を上げ、優しく微笑む。
「僕が…僕が主人公に成り上がってやる…」
運命の歯車が動き出していた。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
次回、静香と弦の決意が?
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それでは、また次の更新で。




