第9話 リベンジ
昨日は投稿できずにごめんなさい…!
迷宮【怪獣の巣】の入り口。
以前僕らが入った時は、人もまばらで、いくつか出店が出ているだけの閑散とした空間だったのだが、
今はたくさんの騎士が常駐しており、ギルド職員とみられる人間が資料とにらめっこしながらあちらこちらを駆け回っている。非常に物々しい雰囲気になっていた。
「では、緒戦の作戦の確認をしましょう」
今回の作戦は、シンシアさんが隊長を務めることになった。まぁ騎士団長ともなれば経験も豊富だろうし、妥当な人選だ。
まぁ、納得いってない人間もいるみたいだが…
「けっ。俺たちの邪魔だけはすんじゃねぇぞ」
先ほど、エリーになすすべもなく吹き飛ばされてしまった彼、【弱さは罪】のリーダーさんは、パーティーの名を自分自身で証明してしまったからか、表向きは僕たちに絡んでくることはなくなった。まぁ表情から不満がありありと見て取れるな。
そんな彼らを無視して、シンシアさんは話を続ける。
「基本的に、前衛は我々騎士隊とエリザヴェータ様が務めます。ここの指揮はわたくしが」
騎士の三人はそれぞれ、フレアさん、ニーコさん、シャリアさんというらしい。
騎士隊は文字通り、全員が騎士やそれに準ずる職業の人間で固まっているから、盾役としては申し分ない。加えて、騎士団長が選抜したメンバーだし、信頼を置いて問題ないだろう。
「続いて、前衛アタッカーはデグロム様をリーダーに、【暴龍の爪】クリントン殿と【弱さは罪】パロッチ殿、キリアン殿、ポール殿、そしてリュウ様にお願いします」
「任された!頼むぜリュウ!」
そういって、こちらに拳を突き付けてくる。
当然僕もそれに返す。こういう友人との熱いフィストバンプ、憧れてたんだよね!
レンドンさんの職業は【剣士】の上級職、【剣闘士】、クリントンさんは【双剣使い】だそうだ。
ちなみに【|剣闘士《グラディエーター】は、剣士系の技能であればそのほとんどを取得することができるというとんでも職業だな。
レンドンさんは、そのなかでも大剣系の技能を中心に取得しているらしい。
もう一方の【弱さは罪】の面々はすごい他人事みたいな顔してるな。
パロッチというのが、例の眼帯男。職業は【暗殺者】だそう。シャルに吹き飛ばされた時点で、STRがそこまで高くないんだろうなとは予想してたけど、さもありなん。
もう一人のポールという男は、【細剣使い】だそうだ。腰にさげたレイピアで戦う、高速戦闘を得意とした職業だ。
前衛職としては若干の火力不足が否めないけど、そのあたりは僕とレンドンさんでどうにかすればいい。
彼らに関しては、戦闘中に変なことさえしなければいいか。
「最後は後衛組だが、こちらはシャルティア様と、【暴龍の爪】のレンドン殿とグラン殿、そして【弱さは罪】のヒャイン殿、ケリー殿にお願いします」
「任されたわ」
【暴龍の爪】にはヒーラーである【治癒士】レンドンさんとバッファーの【吟遊詩人】グランさんが、【弱さは罪】には【弓術士】のヒャインと【牧師】のピエンってやつがシャルと組むらしい。
後衛職にもかかわらず、【暴龍の爪】のお二人はめっちゃ筋骨隆々のムキムキマッチョマンだ。
最初【弱さは罪】の二人と一緒ときいて心配だったが、彼らと一緒ならいったんは安全とみていいかもしれない。
今回は、それぞれの配置と簡単な動きだけは事前に決めているが、細かな作戦などは決めていない。
即席のパーティーで、そのうえ普段よりも多いレイドでの攻略。
各々それなりにつわものが集まっているはずなので変に作戦でがちがちに固めるよりも、アドリブでやったほうが上手く回るだろう。
不安材料はないわけではないが、現状揃えられるだけの戦力は揃えたし、準備は万端。
「ギルドの派遣した調査隊によると、第1層のボスは再出現していないようです。それが【アンノウン】の影響なのか、はたまた迷宮自体になにかしら変化が生まれているのかわかりませんが…」
「いずれにせよ、早く討伐しなければまずいということだな」
「えぇ。これ以上放置すればいったいどのような影響が広がるか、想像もつきません」
ナールビエのように迷宮飽和が起こるのか、あの【アンノウン】が外に出てくるのか。はたまたほかの何かが起こるのか。
いずれが起こっても、その影響は計り知れない。そうなる前に対処せねば。
さて、リベンジと行こうか。
【怪獣の巣】第2階層。
その中央に、奴はいた。
まず衝撃だったのが、ヤツの姿かたちだ。
以前僕らが見た時の【アンノウン】は、まるで軟体動物のようにうねうねとその形を決めずに動き回っていたが、今は全く異なる姿をしていた。
「あれは…【ケルベロス】…か?」
「僕らが倒したあいつを取り込んだ…とかかな」
「本当に得体が知れないわね…」
どろどろとしたヘドロをまとっているのは変わらずであるが、見た目は完全に【ケルベロス】のそれであった。あの時は、【ケルベロス】の体を突き破って出てきてたわけだけど、この一週間の間に完全に同化…いや吸収したって感じだな。
迷宮の怪物を自分のものにするなんて、やはりあいつはこれまで見た怪物たちとは一線を画す存在のようだ。
「まずは慎重に様子を見ましょう。盾役が前に出るので、ヤツの攻撃パターンを…」
「しゃらくせぇ!いくぞおめぇら!」
「「「ヒャッハー!」」」
「なっ!?おい待てっ!」
「女どもの指示なんかに従ってられるかってんだ!奴は俺たちの獲物だ!てめぇらはそこで指くわえてみてろ!」
あぁ…いきなり懸念事項が現実に…
突然奇声をあげながら、【弱さは罪】のメンバーが【アンノウン】にむけて走り出した。
いや後衛の弓術士まで突っ込んじゃダメでしょうよ…
でも、まぁこれも一応想定のうちの一つではある。僕はシンシアさんとレンドンさんと目くばせすると、散開する。
「動きは変わらない、まずはヤツの動きをみるぞ」
【弱さは罪】の面々が暴走したときは、言い方は悪いかもしれないが、彼らを囮にして、【アンノウン】の動きを観察する、それが事前の打ち合わせで決めていたことだ。
「ハッハー!このいぬっころがぁ!」
そう叫ぶと、パロッチは短剣を、ポールはレイピアを抜いた。
だが、それだけではなかった。
彼らが剣を抜いた瞬間、その剣先から炎が噴き出したのだ。
「あれは…魔剣か?」
「魔剣…ってなに?」
前衛で距離の近かったエリーのつぶやきが聞こえた。
魔剣…なんかかっこいい響きだな。
「簡単に言えば、剣自体に魔術刻印が施されていて、魔力を通すだけで魔法属性が付与された攻撃ができる代物だ」
「そりゃすごい」
「だが、基本的に一回使えば刻印が焼き切れてしまう使い捨てのわりに高価だからな。まさかあんなものを用意しているとは」
どうやら【弱さは罪】の面々は、本気で【アンノウン】を自分たちで討伐する気らしい。
パロッチの気配が、消えた。あれは【暗殺者】の技能か。
と思ったら、【アンノウン】の背後に現れたパロッチは、その短剣を三つある首のうちの一つの首筋に突き立てる。
それに応じるように、ポールはその炎をまとったレイピアでヤツの足もとを何度も突き刺す。
彼らの攻撃にうっとおしさを感じたのか、【アンノウン】はその首をそれぞれポールとパロッチにむけて口を開く。まさか炎ブレスも使えるのか?
だが、そうはさせまいと【弓術士】ヒャインが弓を放つ。
【牧師】による属性バフを受けた炎の矢が【アンノウン】を襲い、大きくひるむ。
流石に上級パーティー。性格は終わっているが、やはりその実力は本物のようだ。
だけど、あの時僕を襲ったアイツの速度はこんなものではなかった。たぶん、【アンノウン】はまだ本気のホの字も出していないはずだ。
たぶん、あのひるみも誘いだ。
そして、パロッチは見事にそれに釣られた。
「はははっ!…は?」
大きく頭を振り上げたところに再び短剣で攻撃を加えようとしたところ
そこにあったのは、頭ではなくしっぽ。
あれは確かに見た目は【ケルベロス】だ。しかし、中身はしっかりと【アンノウン】である。
頭部を形状変化させた奴は、そのまま頭だったはずの尻尾でパロッチを吹き飛ばす。
突然の出来事にあっけにとられたポールは、自身の頭上にせまっていたヤツの巨大な足に気づいていなかった。
「あっ」
抵抗の余地もなかった。踏み下ろされた足にまるで象が蟻をつぶすかのように、彼の命は踏みにじられた。
残された後衛職二人、ヒャインは再び矢をつがえるが、そこに訪れたのは、酸の奔流。なんと【ケルベロス】は、炎ブレスではなく、酸のブレスを習得していたのだ。
もはや遺体すら残らないだろう。文字通り、跡形もなく溶かされてしまった。
カバーする隙も無かった。一瞬で上級パーティーが一つ壊滅した。
「あれ、【ナーガ】の…!」
「威力はこちらの方が上のようだ…!」
あれは受けてはだめだな。
また厄介な技を手に入れたもんだ…!
だけど、僕はもう負けないよ。
こっからが本番だぞ、この触手野郎…!
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