閑話2 露呈した弱点とこれからの話
次話から新章です。
ぼやっとですが、これからどんな仲間が増えるのか、想像できるような会です。短めカモ
リーザナを旅立ってしばらく、いくつかの町や村を経由して、もうあと3日もすればいよいよ王都というところまでやってきていた。
立ち寄った町で大なり小なりなにかしらのトラブルに巻き込まれたので、
このパーティーのメンバーのだれかが疫病神なのではないかという説がまことしやかにささやかれ始めた。
え?お前がそうだろって?いやそんなわけないでしょさすがに!
ないよね?
んんっ!まぁそれは置いておいて、
特に、ついこないだの魔獣騒動はびっくりしたよ。
事前に聞いた話では、ちょうど王都とリーザナの中間に位置する町だから、魔獣なんかはほとんど出ないって話だったからね。
しかもそのうえ、肝心のギルドや冒険者は開店休業状態。
もし僕らがいなかったら大変なことになってたんじゃないかって思うと、背筋が凍る思いだ。
あ、でも、一人だけ見込みがありそうな人もいたな。
名前聞くの忘れちゃったんだけど、ほかの冒険者たちが魔獣が来たって聞いてしり込みしてる中、一人だけ僕らについてきたんだよね、その人。
魔獣自体は僕とシャルで倒しちゃったんだけど、危険なところに自ら足を運ぶ度胸というか気概みたいなのって、冒険者に必要な素質だと思うし。
いつかまた何処かで再会できたらいいなって思ってる。
さて、話変わって今、僕が何をしているのかというと
「チッ、なんだよこっちきたの男だけかよ」
「まぁまぁ、こいつぶっ殺せばあとはか弱い女どもだけだろ?メチャクチャ楽な仕事で助かるぜ」
お察しの通り、襲撃を受けております。
おそらく盗賊と思われる、身なりの悪い男どもが10人ほどが僕のことを囲んでいらっしゃる。
経緯を説明しよう。
王都へと通じる街道をのんびり進んでいると、車輪が脱落した馬車と、まるで困っているかのような表情をした商人らしい人物が道をふさいでいた。
この時点で、僕らは最大限警戒していた。と、いうのも
『最近この近くで商人を騙った盗賊が出没するようですので、お気を付けください』
直前に立ち寄った村の村長から、そんな言葉をいただいていたためだ。
その商人いわく、
王都へと向かう途中に車輪が外れてしまったため立往生をしてしまった。
が、しかし、この先の森に群生している薬草を集めて王都に向かわなければならない。
どうか、我々の代わりに森に向かってくれないだろうか。
とのこと。
そもそも、商人が自らこんなところに薬草を採集に来ることなんてあるのか?とか、人に任せるんだったら自分でもいけるでしょうとか疑問は山ほどあったのだが、
この時点で正義感に駆られたエリーが、フンス!とやる気を見せてしまったため、しょうがなくこの商人もどきの言にのってやろうということになったのだ。
ただ、全員で森に入ってしまうと馬車の守りができなくなってしまうし、
かといって二手に分かれるとなると、うちのメンバーの戦闘能力を鑑みると、二手に分かれるっていうのも難しいんだよねぇ…
いろいろと話し合った結果、僕が単独で森に入るという話になり、現在に至るというわけ。
彼らもみんな、みたところ戦闘職を発現しているようだけど、その身のこなしは素人のそれだ。
そんな人間が何人集まろうが
「ぐへっぇ!?」
「おぶあっ!?」
こうなる。
全員みねうちで気絶させといたけど、全員連れて帰るわけにはいかないし、このまま放置でいいか。
結果、魔獣に食べられたとしてもまぁそれは自業自得ってことで。
さて、一仕事終えて馬車に戻ると、エリーとシャルがさっきの商人もどきと数名の冒険者っぽい見た目のやつを拘束していた。どうやら、リーダーらしい僕がいなくなったことで、あとは女の子だけだし、簡単に制圧できると思ったらしい。
さもありなん。三人とも見た目はただの華奢な女の子だもんね。しかも超絶美人。
ただ中身は、ね。
ディーは非戦闘員だからあれだけど、シャルもエリーもその能力は折り紙付きなんで、あっさり返り討ちになってお縄を頂戴したということである。
ディーによると、この道を少し外れたところに村があって、そこには小さいが騎士団の駐留所があるらしいので、そこまで連れて行って、あとは騎士の方々にお任せしよう。
背後でなにやらワーギャー騒いでいるが無視だ無視。
「作戦会議ー!」
「おー!」
「お、おー?」
「シャル、無理に乗る必要はないぞ」
全く、ノリがいいのはディーだけか。
と、ふざけるのはこのくらいにして、真面目な話をすることにしようか。
「リーザナからむこう、ずっと僕らの弱点だと思っていることが、こないだの盗賊事件で露呈したわけなんだけど」
「弱点?」
「まぁそうですねぇ…」
「なに?ディーはわかるの?」
「そうだな…わりかし深刻な問題ではあるか」
「エリーも!?私をのけものにしないでよ!」
エリーとディーの肩を交互にポコポコ叩くシャル。いや器用だね君。
「シャルもご存じの通り、うちのメンバーって全員尖ってるでしょ?」
「そうね、だからこそ強いみたいなところでもあるけれど」
僕は職業や技能を通さない剣術で戦う異色の剣士
エリーは騎士という上級職でありながら、攻撃系の技能を一切覚えていない純タンク
シャルは、魔法の威力は折り紙付きな代わりに、長い詠唱を必要とする特殊な魔法職
こうして改めて確認すると、各々の能力が特化型過ぎて面白いな。
たしかに、各々が特別な力を持っている分、迷宮みたいに、みんなでそろって戦うことになれば、自慢じゃないが上級の、それこそBやAランクのパーティーにだって負けない自信がある。
が、しかし
「今日みたいに、個人個人で分断されるような状況になると、結構苦しくない?と思ってさ」
「あぁ~なるほどそういう…。弱い、とまではいわないけれど、確かに個人の能力が特徴的過ぎて、自衛力という面では結構脆弱なのね私たちって」
例えば
エリーが一人になってしまったら、倒されることはないかもしれないが、攻撃手段を持たないため、いずれ押しつぶされてしまうだろう。
シャルは、魔法を唱えるだけの時間を確保できなければ無防備だし
一番自衛力が高いのは僕だが、それでも魔法なんかで遠距離から一方的に攻撃されてしまえばなすすべなくやられてしまう。
加えて、ディーの護衛も必要になると考えれば、迷宮外で全員がそろって活動できる場面ばかりではなくなるだろう。
肝心の迷宮でも、これから挑もうとしている上級のもののなかでは、パーティーを分断するような罠やギミックがあるところも存在しているらしい。そういった迷宮を攻略するとなれば、やはり
「早急にメンバーを増やす必要がありますね」
「なるほどそういう話につながるわけだな」
「うん。今日はもしメンバーを募集するなら、どんなメンバーがいいかなって思ってさ」
新メンバーを募集するとなると、性格や人間性はもちろん、職業や役割も重要になってくる。
迷宮を攻略していくうえで、現メンバーとのいろいろな意味でのバランスが大切だ。
「今我々は、盾職・近接アタッカー・魔法アタッカーがそろっているわけだな」
「五人組を組むとなれば、あと二人か」
「定番でいえば、あとは斥候職と回復役か」
「現状の問題点を解決するのであれば、まずは斥候職、しかもある程度攻撃手段を持っているタイプが望ましいな」
「今のところ回復とか間に合っているものね、リュウが盾職っぽい動きができるからかしら」
「そうだな。おかげで私の負担がかなり軽減されているし、もう少し難易度が上がっても問題なくタンク役はこなせるだろう」
「じゃあ最優先は斥候職か」
「最悪自衛力が高いタイプの職業の方が入ってくれたらいいですよね」
「近接の戦闘職、盾職よりは火力が出せるタイプだね」
「難しそうなら回復系の職業…それこそ祈祷師とか司教ならある程度自衛もできるんじゃないかしら?」
うん、なんかいい感じにまとまったみたいだ。
王都についたら、まずギルドを通してメンバー募集するところからスタートだな。
ぜひとも新しく仲間になる人にも、みんなと仲良くできるような人が来てくれたらうれしい。
「おかえりなさい!カエデさん!」
「む、リシャルテ殿。今日も元気でござるな」
王都ヴィルセルニアの冒険者ギルドの一角。
腰ほどまで伸びたつややかな黒髪を一つにまとめた美女は、今日もたくさんの怪物の素材を売却するためにギルドを訪れていた。
「今日もソロで潜ったんですか?いくら上層とはいえC級迷宮に単独で入るのは危険すぎますよぉ」
「拙者の職業は存じておるだろう?人よりは長く戦えるし問題ない」
「結構パーティー加入のお誘いもあるんでしょう?そろそろどこかのパーティーに入ってみては…」
「拙者のような人間は、パーティーに入った後に失望されるのがオチでござる。気ままにソロで冒険しているのが性に合っているしな」
「でも…」
彼女がギルドを去る背中は、凛々しくも少し寂しさを醸しだしていた。
そんな彼女の人生が大きく変化するまで、あと少し。
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