第1話 冒険者ギルド
ここから本編です。
いよいよ本格的に冒険が始まります!
大好きなテンプレを詰め込んだ作品にしていきますよろしくお願いします!
冒険者とは。
突如現れた多くの迷宮と怪物に対抗する唯一の手段として、世界をまたにかけて活躍する存在である。
才能を開花させた人々は冒険者となり、世界各地に点在する迷宮を踏破するために冒険する。
そして、そんな冒険者を管理、統制する組織がここ、冒険者ギルドである。
と、冒険者の成り立ちを反芻したところで
「緊張が解けるわけないんだよね…」
僕、リュウ・ランデルは、ジェル…ジェリオール師匠のもとで4年間の修業の末、ついに冒険者ギルドの門をくぐることになったわけだ。慣れ親しんだ地元ナールビエにある、小さな冒険者ギルドとはいえ、いかんせんいざ幼少期から憧れた冒険者になれると思うと、気持ちが浮足立ってしょうがないわけだ。
「よし…よし…いくぞ!」
なんか足と手が同じ方向から出ている気がしないでもないがそんなこと気にしてる余裕もなく。
「お、おじゃましま~す」
そこはまさしく別世界であった。
酒場と兼用されたフロアは喧噪に包まれ、多くの冒険者たちが依頼を吟味し、または酒を飲みあかし、はたまた喧嘩に明け暮れている。
「ほあぁ…」
まさに憧れた冒険者ギルドの姿がここにあった。田舎の小さなギルドでこれなら、カーマイン王国の中心部なんてどんな規模なのか。
ただ、感動ばかりしていられない。奥に見えるカウンターがおそらく受付かな?
「すいません。冒険者登録をしたいのですが、こちらで大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ!ようこそ冒険者ギルドへ!」
そういって僕の受付をしてくれたのは、黒髪ロングの、いかにも清楚系お姉さんといった風貌の受付嬢であった。超美人だ。
「私はディルーネと申します。今回の担当をさせていただきます!よろしくお願いします!冒険者登録ということでしたね。ではこちらにご自身のステータスをご記入ください!
秘匿されたい部分があれば未記入でも構いませんが、ほかの冒険者の方とパーティーを組みづらくなってしまう可能性がありますので、ご注意くださいね!」
「わかりました」
「あ、それとお名前と職業の欄だけは必ず記入していただくようになっておりますので、ご了承ください」
さて、ステータスが記入制なのは事前に父さんに教えてもらっていたので、ステータスをどのように記入するかは決めてある。
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name:リュウ・ライデル age:14 sex:男
job: ---
↑STR 250
↑VIT 300
↑AGI 330
↑INT 200
↑DEX 120
↑LUK 35
<技能>
・ ---
--------------------------------------------------------------------------
こうである。職業は剣士を書くというのも考えたが、あとあと誰かとパーティーを組むということになった際に不都合が起きるかもしれないので、正直に職業無しで記入することにしたのだ。
この中で唯一嘘をついていない才能の幸運値がずっと低いのは一体何なんだ…
「これでおねがいします」
「はい、お預かりしま…え?」
「どうかされましたか?」
「あ、あの、職業欄が空白になっております。先ほどご説明した通り、職業はどういったものであれ記入していただく決まりになっておりますので…」
「あ、僕職業ないです。無職です」
ざわっ
背後で騒々しく騒いでいた冒険者たちの注目が一気にこちらに集まっているのを背中で感じる。
「おい職業ないってマジか…?」
「そもそも職業が生えないってことがあるのか?なにか本当の職業隠しているとか…」
「隠すなら別の職業書けばいいだけだろ。マジで無職なんじゃねぇか」
すっごいざわついている。職業こそがすべて、みたいな風潮がある冒険者界隈において、その肝心の職業を持っていないというのは異端も異端なわけで。
「も、申し訳ありません!このような騒ぎになってしまい…」
「あぁ、予想できていたことなので、問題ありませんよ」
冒険者にとって自身のステータスの情報は財産である。受付嬢としては、意図していなかったとはいっても、ステータス情報を衆目の目にさらしてしまったことは大失敗であるだろう。
が、まさか職業が発現しないような人間がいるとも、そんな人物が冒険者になるとも想定するのは困難であろうとも思う。
「本当に大丈夫です。冒険者登録は問題なくできるんですよね?」
「あ、はい!冒険者登録は問題なく行わせていただきます!ただ…」
「ただ?」
受付嬢ディルーネさんが次の言葉を紡ごうとした直後であった。
「おいおい職業無しってマジかよ!」
「そんなんで迷宮いったって、たどり着く前に野生のうさぎの殺されちまうよ!」
「ギャハハハ!」
背後に立っていたのは三人組。三人とも筋骨隆々でいかにも粗暴ないでたちの冒険者たちである。
「ただいま冒険者登録の受付中です!ほかの冒険者の方は別のカウンターをご利用ください!」
「おいおい俺たちは親切心でいってやってんだぞ?」
「わかってんだとディルーネちゃん。職業がないってことは技能もつかえねぇんだろ?そんなやつ冒険者にしたってすぐ死んじまうよ」
「そんなやつほっといて俺たちの相手してくれよ!」
「「「ギャハハハ!」」」
なるほど。冒険者というのは才能を得て強大な力を獲得したことで気が大きくなる者も多いと聞いていた。それがこういうやつらってコトか。
ディルーネさんとの会話で緊張が少しほぐれていたのもあるけれど。
恐怖や焦りは全く感じていなかった。
だって。
(これ、小さいころに父さんに呼んでもらった英雄譚によくあるテンプレってやつだ!)
普通に興奮していた。
いかにも噛ませな三人組の登場ですが、果たして彼らの運命やいかに。