第1話 いざ、新たな冒険へ
新章スタート!
「ここがC級迷宮!」
「うへぇ…聞いてはいたけど、想像以上に湿気がすごいわね…」
「事前に耐熱ポーションを飲んでいなければ、早々にダウンしていただろうな」
いよいよ、C級迷宮『密林迷宮』に突入した僕たちの前に立ちふさがったのは、圧倒的な密度でひしめく木々と、とんでもない高さの湿度、そして暑さであった。
事前にディーから情報を受けていたおかげで、しっかり準備しておいた耐熱ポーションを飲んでおいたから、熱中症とかになる心配はない、けれど。
「ポーション飲んだって、暑いのにはかわらないよなぁ」
「怪物を相手にするより、この環境に適応するほうがむずかしそうだ」
実際、この暑さの中では、体力の消耗も普段より激しいと思うし、戦闘中に集中力を保つのも大変だな。
想定していたより、難しい迷宮攻略になりそうだ。休憩も普段より気持ち多めにとって、安全マージンはしっかり考えていこう。
「あれがゴーレムか」
「あの色味は…【アイアンゴーレム】かな?」
【アイアンゴーレム】は、ゴーレム種のなかでも一番出現頻度の高い、一番弱い種類の怪物である。
迷宮一発目の戦闘相手としては手ごろな相手だな
「じゃあ打ち合わせ通りに」
「魔法の準備するわ」
「私はいつでもいいぞ」
僕も、腰につけている愛刀の柄を握り、いつでも抜けるように準備をする。
「よし…いこう!」
「射撃 炎 二重 球体 【火炎弾連撃】!」
まずは、シャルの魔法で先制する。
二つの火炎弾のうち、一つがゴーレムの頭部を焼く。
突如不意打ちで視界をつぶされ、もだえ苦しむ足もとに、もう一発の火炎弾が着弾。それによって大きくバランスを崩す。
「フッ…!」
膝をつき、炎を消すことに躍起になっているゴーレムに向けて、一気に距離をつめる。
ゴーレムは、その胴体の内部にあるコアが存在している限り、時間は個体差があるもののいずれ復活するという厄介な性質がある。
なので、ゴーレムを完全に沈黙させるためには
__ 最刃流 雀蜂 ___
刀の切っ先を、ゴーレムのコアがある部分、胴体の中央部に滑り込ませる。
手ごたえ、ありだ。
ゴーレムは、中心からゆっくりひび割れて、その体を崩壊させた。
復活する気配は無し。無事に討伐完了である。
「私の出る幕がなかったな」
「相手は一体だけだったし、エリーはむしろここから大変になると思うよ」
「そうね、下に行けば怪物の数も増えるでしょうし」
これまでなら、エリーが敵の注意を引いている間に、僕が切りかかるのが基本の戦い方だったわけだが、シャルが一人加入しただけで、戦闘の幅がぐっと広がった。
これなら、中層にたどり着くあたりまではエリーの体力を温存できるかもしれない。
この過酷な環境での攻略において、一番の重装備であるエリーの体力は今回の攻略において懸念点の一つだったし、これはかなりの朗報だぞ。
「よし、緒戦も順調だし、先へ進もう」
2人がうなずいてくれたのを確認して、下の階層へとむかう階段を探すために先に進むとしよう。
「技能 突撃盾!!」
「グギギゴガ!」
エリーの技能によって敵の【プラチナゴーレム】のうち一体が行動阻害状態に陥る。
「射撃 炎 一重 錐体 【火炎槍】!!」
そこにすかさず、シャルの魔法が突き刺さる。炎の中級魔法の火炎槍は、これまでつかった火炎弾とは異なり連射はできないものの、その分貫通力と火力に優れる対単体魔法である。
飛翔した槍をもろに受けた【プラチナゴーレム】は、そのままコアごと焼失する。
さらに2体、今度はこの迷宮で最初に戦ったやつらと同じ、【アイアンゴーレム】がこちらに接近してきている。
「___ 最刃流 雷 ___」
相手がこちらを射程にとらえる前に、その懐に潜り込む。
今回はシャルの魔法によるサポートがない分、おそらくまともに刃を通すことはできないだろう。
でも、やりようはある。
「ふんっ!」
刀の柄の底を相手の頭部に打ち付ける。
ゴーレムとはいえ、相手は怪物だ。当然、ある程度の知能を兼ね備えているし、そのための脳に当たる器官も存在している。ならば、そこが揺らされるとどうなるか。
「グギギ」
当然、こうして動きが緩慢になる。人間でいう脳震盪というやつだ。前を走っていたゴーレムが急に止まったため、後続のもう一体と衝突、ともに動きが取れなくなってしまっていた。
「シャル!」
「射撃 水 三重 球体【水散弾】!」
無数の水弾がゴーレムたちを襲う。
水属性魔法は、その威力自体は火魔法ほど高くないものの、非常に応用性が高い魔法である。
鋭く鋭利な水の弾丸は、2体のゴーレムをいとも簡単にハチの巣にしてしまった。
「ふぅ…近くにはもう敵はいなさそうだ」
「ここまでは予定通りだな」
「魔力もまだそこまで消費していないし、もう少しペースを上げてもいいわよ?」
ここは迷宮第3層。
先ほどのように、少しずつ出現するゴーレムも手ごわくなってきているが、ここまではほとんど問題なく進んでこれている。僥倖である。
「まだ攻略初日だし、そこまで焦る必要はないよ。ひとまずはこれまでどおり、目標の5階層、転移門の解放を目指していこう」
これまで僕たちはお世話になることはなかったが、階層が2桁を超える迷宮には、5階層ごとに転移門と呼ばれるいわゆるワープゾーンが置かれている。
どういう仕組みなのかはよくわからないが、この転移門に自身の魔力を登録することによって、次に迷宮に入る際、登録した階層から再スタートが可能なのである。ショートカットというやつだな。
「まだ上層だからな。もっと下の階層に行けば、今のようにスムーズな攻略も難しくなるだろうから、今のうちから焦っていては後が持たんぞ」
「まぁそれもそうね。調子乗ってケガするのもいやだし」
2人とも、軽口をたたきながらも、油断なくしっかり集中できているようだ。
僕も二人を見習って、しっかり集中していこう。
そこから何度かゴーレムとの戦闘をなんなくこなし第5階層へと到達したぼくらは、無事に転移門のもとにたどり着くことができた。
「これが転移門…」
「でっかいわね」
「でっかいな」
大きさにして、人間3人分ぐらいの高さになるだろうか。
大きな門の先は、白く光り輝く膜のようなものが広がっている。
周辺には、同じように5階層にたどり着いた冒険者たちや、逆に5階層から冒険を才覚する冒険者たちが何グループか見受けられた。転移門の周辺は、これまたなぜか怪物が寄り付かないらしく、安全地帯としての役割も果たしているらしい。
「魔力の登録って、ここに手をかざせばいいんだっけ?」
「そのはずよ」
百聞は一見の如かず、三人で同時に転移門に手をかざすと、わずかながら掌の先からなにか引っ張られるような感覚を覚えた。
「これ、もしかして魔力を吸われた?」
「うむ。これで問題なく登録ができたはずだ」
なるほど、魔力を吸収することで、、その人物を記憶するわけか。
ほんとなんでこんなものが迷宮の中にあるのか…
ま、深く考えたってわかるわけないんだし、使えるものはおとなしく使わせてもらおう。
「じゃあ、今日はいったん戻ろう。この暑さで気づかないうちに疲労が蓄積しててもおかしくないし」
「そうだな。私もそろそろ汗を流したいところだ」
汗…いやいやなにを想像しているんだ僕は。
いたたまれずエリーから目をそらすと、シャルが何とも言えない目線を僕に向けていた。
僕はシャルから遠慮がなくなってきたようでうれしいよ。だからそのジト目はやめてほしいなって。
「よ、よし、さっそく転移門を使ってみよう!」
「…そうね」
こうして僕らは転移門を使い、リーザナへ帰還するのであった。
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