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第7話 攻略

今日は夜余裕があればもう1話更新するかも?

迷宮第2層 __________


僕はいわゆる初見というやつなのであるが、そんな僕でも一目でわかるほどの異変が起こっていた。


「…エリーさん」


「…いわずとも君が何を言いたのかはわかる」


岩陰に隠れている僕の前を通り過ぎていく怪物。

身の丈は、僕よりも頭一つ分身長が高いエリーさんのさらに3倍はあるか。

荒い鼻息をまき散らしながら獲物を物色するかのうように迷宮を徘徊する二足歩行する豚型怪物(モンスター)


Cランクモンスター『オーク』


こちらもギルドの資料に記載されるような有名な怪物であり、ランクの通り、C級以上の迷宮でお目にかかることができるような存在である。


そんなやつがなんでD級迷宮を我が物顔で闊歩しているのか。


「私の想定が甘かった…まさかあんな化け物が出現(ポップ)しているとは…」


「倒せると思いますか?」


「…あいつが一般的なオークと同種と仮定するならば、基本的に銀級冒険者が4~5名いれば討伐が可能だ。我々ならば倒すだけであれば可能だろう。が…」


「損耗を考えなければ、という前提になると」


「そういうことだ。最終的にボス討伐をめざすのであれば、ここでやつと一戦交えるのは得策とはいえんだろうな」


最終的にボスと戦うということを前提とするなら、オークはスルーする方向性は間違っていないと、僕も思う。しかしそこで問題になるのは、


「じゃあ、どうやってあいつに見つからずに下に向かうか…ですね」


「うむ…」


本来の迷宮産の怪物は、出現する場所や徘徊するエリアがある程度決まっており、冒険者たちはその情報をもとに迷宮を攻略していくことになる。

ここが通常の迷宮であれば、あのオークもこの付近をうろついているだけのはずで、このあたりのエリアを避けて移動すれば、戦闘は回避できるはずである。


しかし、もうこの迷宮は()()()()()()


1層の怪物の動きにみられたような、特殊な動作をしないとも限らないわけで。


「ひとまず考えていてもしょうがない。どうやらこの層は、1層のように怪物があふれているわけでもなさそうだし、あのオークのいるエリアを避けることを最優先に移動することとしよう」



「ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!」


「いきますっ!」


「相手は魔法を使う!射線に注意しろ!」


オークを避けて移動すること30分ほど、目の前に現れたのは杖を持ったゴブリンの群れ。

いわゆる魔法使い(メイジ)ゴブリンである。


絶え間なく飛来する火球を避けて接近を試みる。


ー最刃流 陽炎ー


生み出される残像。ゴブリンは僕が二人に増えたように錯覚していることだろう。


「ぎゃぎゃ!?」


こちらを正確にとらえることができなくなったゴブリンたちは、魔法の発射を中断する。

そこに大きな隙が生まれる。


「シッ!」


まずは1体。頭と首が離れた仲間を見て動揺するかと思ったが、ゴブリンたちは先ほどまでともに戦ったゴブリンの亡骸ごと僕を焼くつもりらしい。


「そのままいけっ!」


「エリーさん!」


技能(スキル)魔盾(セイジ)ー!!!」


エリーさんの大盾が淡く光る。そのオーラがゴブリンたちが放った火球をすべて弾き飛ばした。


その瞬間に、僕は再度ゴブリンの懐に飛び込み、水平に切る。

2体目、胴に大きな裂傷を受けたゴブリンは声にならない断末魔をあげながら倒れる。

さらにもう1体、そのままの勢いで上段から一閃。


「ありがとうございますエリーさん」


「いや、前衛を任せきってしまっているからな。このぐらいはしなければ面目がたたんよ」


実際、エリーさんはタンクとしてかなり優秀に感じる。

僕はパーティーを組んだ経験はないけれど、そんな僕でも、彼女のカバーの手厚さとエイト管理の適切さを実感できる。


「さて、もう少しで3層への入り口だ。オークがこちらに来るとも限らん。早めに移動しよう」


「了解です」


そうして、二人で次の目的地、3層への入り口へを足を向けた瞬間、


ピリッ…


「…?」


「どうした?」


首筋にしびれるような違和感。

誰かに監視されているような、一挙手一投足を眺められているような不快感。

当然だが、僕にはそういった気配察知系の技能なんて持っているわけもないので、気のせいかと言われればそれまでなのだが。


「どうした?」


「…いえ、行きましょう」


一応、警戒はしておこう。








「へぇ…この距離からでも気づくのか。彼、強そうだね。職業は剣士系…でも技能は見たことないタイプ…まだ判明していない新種の職業かな?」


同じく、迷宮第2層の奥地、迷宮を一望できる高台に一人の男が立っていた。

浅黒い肌に真っ赤な瞳、耳はエルフのようにとがっている。


「もう一人の女の子もなんか不思議な雰囲気だし、彼らならちょっとは退屈しのぎになるかな?」


さっきの男たちはつまらなかったなぁ、そうつぶやいた男は周囲を囲む大量の怪物には意も介さず踵を返した。

怪物たちも、まるで()()()()()()()()()()()()道を譲る。


「君たちが無事に最下層まで来てくれることを祈っているよ」



不穏はいまだ、始まったばかりである。


最刃流 陽炎:左右に高速にステップを踏むことで残像を発生させ、あたかも分身しているかのように錯覚させる歩行術。高いステータスに加えて、左右へステップを踏んだ際の反発力を利用して初めてなせる技。


技能 魔盾:自身の盾に魔法耐性を付与するスキル。盾を使う系統の職業だと覚えることができる汎用技能。

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