21 オリジナル魔術。
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今日は寒いですがモチベは上がりますっ!
今回はちょっと長くなっちゃいました!
奥さんから貰った証は『剣士の証』だった。
とうとうゲームの基本職が出たと言うか、出ていた。
これは十分な支払いだが、ここは商談だな。
「それは何かの職業を得られる石? みたいなんですけど、それで薬は買えますか?」
リストを確認したので取り出し掌に載せながら答える。
「奥さん、これと後これを何処で手に入れたのか情報を頂ければ、初級ヒールポーション2本と当分の間の食料も差し上げますが……って、そう言えば」
俺は子供達から預かったカゴを床に取り出して、気になっていた事を聞く。
「インスタント麺を買うって、ここはまだ水が出るんですか?」
お母さんはちょっと躊躇ってから答える。
「……実は私の職業が魔法使いでして」
恥ずかしそうに言うお母さん。
なんと、ママは魔法使いだった!!
ってどっかで聞いた事あるな。
ついでにお母さんは、これを何処で手に入れたのか教えてくれた。
話によると最初の地震があった日、お母さんと旦那さんが10時になるのを待って買い出しに行こうとしたらしい。
災害の時は買い溜めする人が多いからね。
品薄になる前に行こうと、子供達に留守を任せて車で行くために地下駐車場へと行った時、地下に現れた化け物を車でひき殺して手に入れたと言う。
その後、何度か地下で倒して今までで合計3つの証を手に入れたらしい。
しかし、倒しているといつの間にか化け物に囲まれて旦那の足はその時に食われたようで、旦那を連れて帰る時にお母さんは、外のゾンビに足を噛まれたと……大変だったねぇ。
それでもお母さんは魔法使いになった事で、水もお湯も出せるようになり食事は何とかなっていたそうだ。
「……なるほど、それならインスタント麺の方が良いですか? 野菜や肉、魚もありますが……冷蔵庫は使えませんよね?」
「あっ、それなら大丈夫です……この通り」
そう言って開けた冷凍庫の中は凍っていた。
ほう、氷魔法ですか。
冷蔵庫の方にも氷を入れて冷やしている。
なら問題無いかと、冷蔵庫と冷凍庫がパンパンになるほど食材を詰め込み、米40キロと小麦粉を10キロ渡した。
「あの、こんなに良いんですか?」
「はい、この証と情報でそれだけの価値はありますから、それより旦那さんに薬を飲ませて下さい」
そう言うと「あっ、忘れてた!」 と言って寝室へと小走りに向かった。
お母さんの話によると、このマンションの地下はダンジョンになっているはず。
しかもズールとは違う魔物。
話によると毛の無い犬みたいな見た目だったと言っていた。
なんだそれ? また気持ち悪い魔物だな。
ファンタジー感をもっとくれ! と言いたい。
今回の話を聞いて分かった事は、ダンジョンは建物の一部だけでも発生するのか、という事だ。
あれ? もしや俺の家のユニットバスにあったガラス玉って……ダンジョンコア?
確かあの時頭に響いた声も『核が破壊されました』って言ってたよな。
俺はあの時、核爆弾の事かと思ったが核の事だったのか!
うん…………納得できた。
なるほどなぁ、あれがダンジョンコアかぁ。
って事は、あのまま放置してたら俺の家がダンジョンになってたのかよ!?
なんて恐ろしい事をしやがる。
テロより質が悪いな。
そんな事を考えていると隣の部屋から2人の声が聞こえてきた。
『何勝手にあれを渡してんだよ!?』
『しょうがないでしょ! じゃあ100万払えるの!? 無理でしょ!? 薬は本物だったんだから別にいいじゃん!』
『そういう事を言ってんじゃない! あれは職業を得られるアイテムだぞ!? どんだけの価値があると思ってんだよ! それを勝手に渡すって、しかも手に入れた場所も教えるとか……これで人が集まったらどうすんだよ?』
『別に良いじゃん、皆で探索すれば』
『しかも薬に100万ってぼったくりじゃね? ダンジョンで出るならもっと安くても良いだろ……』
『はあ!? あんたそれ本気で言ってんの?』
と、夫婦喧嘩が始まっていた。
子供達は気まずそうな顔をしてお菓子を食べ、チラチラ俺の方を見ている。
子供達が可哀想だな。
自分の親の恥ずかしい所を見られるのは本当に嫌だよね。
分かるぞその気持ち!
俺はそろそろ行こうかなと思って部屋を出ようとした瞬間。
部屋がグラグラと徐々に大きく揺れ出した。
「また地震か、テーブルの下に隠れろ!」
子供達にそう言うと俺はリビングにあるベランダから外を見ていた。
するとガラッと隣の部屋と繋がっている扉が開き、お母さんと旦那が出てきた。
「大丈夫か!?」
「ちゃんとテーブルに隠れてたのね」
そんな中、揺れは更に大きく揺れ始める。
「うおっ!?」
「キャッ!」
夫婦もテーブルの下に入った。
デカいな、今回は何が起きるんだ?
その時、リビングの壁に亀裂が入った。
これはマズい。
マンションが倒壊するかも。
亀裂が天井まで達した時、天井全体が少しズレる。
仕方ない。
俺は床に左手を突いて右手を天井へ向けると、魔法陣が展開した。
「魔法!?」
いえ違います。
ディメンションロック!
これは俺が作った魔術だ。
洞窟等で野宿したり拠点にしたりする時用に作った魔術で、囲った空間を固定する事ができる。
洞窟の崩壊を防ぐための魔術です。
ちなみに時空属性を使って収納空間を作れないか色々試した結果。
作れるが不便だと言う事が分かった。
魔力を滅茶苦茶消費するのだ。
なので収納はマジックバッグが一番使いやすくて便利という事である。
しかし副産物でゴミ箱魔術が完成したが、それはまたの機会に。
発動した瞬間、揺れはピタッと止まった。
恐る恐る家族がテーブルから出てくる。
「えっ!?」
「はっ!?」
「おぉ~」
「揺れてる」
家族がベランダに出るガラス扉から外を見て驚いたのは、部屋は揺れていないのに外の街が揺れているからだ。
そうだよね、俺も変な感覚になるから分かるぞ。
少しして地震は止まった。
「あの……魔法はあんな事もできるんですか? って、貴方も魔法使いだったのですね」
と、お母さんが寄ってきて聞いてきた。
「いえいえ、あれは魔法ではなくて魔術ですよ、それに今の私は武闘家です」
「魔術? 魔法とどう……」
「今は武闘家って、転職できるのか!? あの石を使ったけどできなかったぞ?」
と、旦那がベランダから外を見ていた位置から振り返り、そう聞いてきた。
俺は山波さん達と同じ説明をした。
「なるほど、これは難しい……凄いな君は、もう転職したのか」
「ダンジョンに2月程籠って訓練してましたからねぇ」
「2月も!? よく死ななかったな」
「で、旦那さん……あの職業の証を返してもう一度足を切断しますか?」
「なっ!? 何言ってんだお前は!?」
「さっき奥さんに言ってたじゃないですか、証を勝手に渡すなって……俺は返しても良いですよ? その代わり100万払ってもらえるなら、でも無理ですよね? なら証を返すなら治す前の状態に戻ってもらわないといけませんが? どうします?」
旦那さんは自分達の事だけを考えている。
金になると思ったんだろうけど極端な話、それだと人類は終わるぞ?
貴重な情報はそれだけで価値があるのは事実だ。
それを交渉材料にする事も分かるし、独占したくなる気持ちも分かる。
しかし、それは時と場合を考えないといけない。
今の状況でそれは悪手だ。
と、ズバッと旦那さんに言うと項垂れた。
「ダンジョンは他にも沢山ありますからね、此処だけではないのでそんなに人は集まらないかもしれませんよ? それに……」
「な、何だよ?」
「独占していると、魔物が溢れた時に1人で対処しないといけませんよ?」
「は? 魔物が溢れる? って……」
そこで旦那の顔がサーっと青くなっていく。
「スタンピード!」
お母さんはラノベを読んでいるのか。
「正解! はい拍手~」
パチパチパチと子供達も一緒に拍手する。
お母さんがスタンピードが何かという事を旦那に説明している間、俺はベランダの扉から外に視線を向けた。
「はっ?」
何だあれは……。
俺の声に全員が外を見てポカーンとしていた。
北側の遥か向こうから大量に蠢く『何か』が、こちらへと向かっていた。
「スタンピード……」
誰かのそんな呟きが、部屋の中に空しく響いた。
寒いので温かくしてくださいね。
自分は手が冷たすぎて中々動きません。




