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2 ユニークスキル。

寒くなってきました。

早く夏になってくれ。

飯の準備を始めるために鍋に水を入れようと、蛇口を捻るが水が出てこない。

「あぁ、地震で水道管がやられたか?」

しょうがないと思い、ポットのお湯でカップ麺でも食べようと思ったが、これも電気が停まってるので不可能だった。



「やべーぞ」

食える物が無い!!

朝食はいつも出勤時にコンビニでサンドイッチを買って食うので、家にパン類は置いていないのだ。

調理しなくても食える物は無いか調べるが、全部お湯か水が必要な物ばかり。



どうしようか考えようとした瞬間、そう言えば他にスキルがあったなと思い出し、よく読んでいたラノベの真似をしてみた。

「ステータス」ボソッ。

すると頭の中にハッキリと画面が浮かんだ。




名前:進藤洋介

年齢:36歳

種族:人間

状態:空腹

職業:なし

レベル:1

魔力:100

ユニークスキル:【想像生産】【最適化】

スキル:【暗視】




…………なるほど、レベルがあるって事は『何か』が居るって事じゃね?

ゲームのような魔物がさ。

今の所それらしい物の気配は無いが。

魔力ってMPの事かな?

他の表示は無いのか。




そしてユニークスキルの【想像生産】と【最適化】は既に使ったから何となく分かる。

【想像生産】の項目に知りたいと意識を集中させると、内容が頭に浮かんできた。



【想像生産】と書いてクラフトと読む。

そして内容が、イメージで物を作る事ができるという事。

素材を集めてイメージすれば簡単に作れるらしいが、素材が無い場合は魔力を消費して仕上げるようだ。

更に、作った物には能力を付与できるのだが、それもイメージが大事との事。



って、チート過ぎるでしょ!

ガラス玉割ったらチートスキルを貰えた件。



それでいつの間にか持っている【暗視】スキル。

これのおかげで部屋の中がちゃんと見えてたのか。

いつ取得したのか全く分からないんだが?

まあいいか。



では、【想像生産】で……って態々言うの面倒臭いのでクラフトでいいか。

クラフトで飯を作れるか試してみようと思う。

ガサゴソと鍋でやるラーメンと丼を用意して、後は冷蔵庫に残っている野菜何かも入れようかな……って、何故腐ってる!?

早過ぎるだろ!

「クソッ……待てよ?」

俺は部屋に戻りスマホを拾って電源を入れてみる……が、起動しない。

マジで? 停電してるから充電も出来ないじゃん。

今日の日付を確認しようと思ったのに……。



暫く考える…………。

…………。

……。

「スマホを改造してみるか?」

電気じゃなく魔力で動くようにイメージすれば行けるんじゃね?

そうと決まればさっそくその場にドカッと座り込み、両手の掌でスマホを挟みイメージする。

ラノベでよくある魔力で動く魔道具だ。

細かい作りは知らないので強くハッキリと『魔力で動くスマホ』をイメージする。



イメージが固まった所でスキルを発動。

「クラフト」

すると自分の中から魔力が抜けるのが分かった。

ステータスを表示すると魔力が100から80に減っていた。

今ので20使ったのか。



掌で挟んでいるスマホが僅かに光ると直ぐに収まる。

スキルが教えてくれている、成功した事を。



ドキドキしながらスマホの電源を入れてみると、スマホが起動した。

「よしっ!」

思わずガッツポーズをしてしまった。

初めてかもしれない。



「うわ……」

画面を見て思わず声が漏れてしまった。

何十件と派遣会社から着信とメールが来ていたのだ。

「おお……スゲー」

そう言ったのは、バッテリーが段々と増えていき100%になるのを見たからである。

「世界初の魔道具?」

その事にテンションを上げながらメールをチェックする。





「どうなってんだ?」

地震があって起きた時から既に1月以上経ってるぞ。

えっ、俺ってそんなに気絶してたの?



メールの内容は先方から無断欠勤したと連絡があったと派遣会社からのメールで、その日の夜が最後で暫く仕事は休みになるという内容で終わっていた。

数件、昔遊んでいた友達からのメールも来ていた。

魔物が出てきたがお前の所は大丈夫かと心配してくれたようだ。

結婚して家庭を持った友達が態々送ってくるとは良い奴だな。




地震があった日、俺は仕事が休みだった。

今日もまだその日の夜だと思ってたが、大分時間が過ぎてるようだ。

「あぁ、だから水が出ないのか」

マンション等は屋上等に水を貯めてあるタンクがあるはずで、直ぐに水が使えなくなるのはおかしいと思ってた。

1月も経ってりゃそりゃ無くなってるわな。

他の部屋の人達が使っただろうしね。

そこでまたお腹が鳴った。



俺はスマホを置いてとりあえず飯の用意をしようとキッチンへ行き、出してあった材料に手を翳しクラフトを発動させると、魔力が抜けていくのを感じた。

魔力を確認すると今ので50消費してる。



光が収まると目の前の丼に湯気が出ているラーメンが出来上がっていた。

よし、クラフトは料理も出来るって事がこれで分かった。

熱々の湯がたぶん魔力で補充したのだろう。



丼を持って部屋に戻り、ズルズルとラーメンを食べながらこれからどうするか考えていた。

とりあえず必要な事を纏めていく。



1・安定した食料と水。

2・外や世界がどうなっているのか確認する。

3・戦えるようになる。

4・ついでに他の人達の様子を確認。



3は、メールで魔物が居ると分かってるので、ちゃんと戦えるようにならないと、生きていけないと思う。

4はあまり人と関わるのは面倒くさいから、本当に何かのついでだ。



ラーメンを食い終わり、食後の一服でタバコを吸いながらふと違和感を覚えた。




『俺はこんなに前向きに生きようとする人間だったか?』

と……。

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