13 山波涼太1
ここから2話か3話程、別視点になる予定です。
主人公が気絶していた1月とダンジョンに籠っていた2月程の間、外で起きた事をざっくりと見て行きます。
ちなみに、自衛隊の階級等はネットで調べた程度なので正しく無いかもしれません。
どの階級の人が隊を指揮するのかとか、はっきり分かりませんでしたので適当です。
階級違いの会話等、自衛隊員にしか分からない事なので何となくで書いてますのでご了承下さい。
Side:自衛隊1等陸尉・山波涼太。
あの日、世界が変わった。
地震があった時俺は、東都小坂駐屯地に居た。
幸いな事に地震は直ぐに収まったが、その後が地獄だった。
棚から落ちた備品等を整理していると、部下が訳の分からない報告をしてきたのだ。
「すみません!」
「どうした?」
「変な化け物を目撃したとの報告が来ました」
「化け物?」
何だそれはと思ったが、その報告は次々と上がってきた。
最初は何かの見間違いだろうと思ったのだが、外に出て自分の目で確かめると本当に化け物が居た。
子供サイズで四つん這いになり、目が無く頭部は頭蓋骨がむき出しだ。
全身皮膚を剥がれたような姿に痛々しく思ったのは記憶に新しい。
遠くから見ていたのだが、その化け物が近くに居る隊員に飛びつき、首元に噛みつく。
これはマズいと思った瞬間、他の隊員が木の棒で叩き落としていた。
噛まれた隊員は地面に倒れており地面に血溜まりが出来ていた。
「医務室へ運べ!」
部下に指示を出しながら化け物を見ると、化け物はピクリとも動かず黒い霧のようになって消えてる。
一瞬夢でも見ていたのか幻を見たのかと思ったが、部下は実際に血を流している。
上に報告を上げるために上官の下へ行き、ついさっきあった事を報告したが、その途中で外が騒がしくなってきた事に気が付き扉を開けて廊下を確認すると、隊員達が走り回っている。
前を通った者を止めて何があったのか聞くと、先ほど運ばれた隊員が起き上がり、他の隊員に噛みついたと言う。
嫌な予感がして直ぐに現場へ向かうと噛んだ方も噛まれた者も映画で見たような、首から血を流し口を開け涎を垂らしながら手を前に出し、他の隊員に迫っているのが視界に入った。
「ゾンビ?」
その後はとにかく滅茶苦茶だったよ。
ゾンビになった者を殺して良いのか、それともただの病気にかかったのか判断が出来ずに、ゾンビが増えていく一方だ。
しかしそんな中不思議な事が起きた。
噛まれた者がゾンビにならないという現象が起きたのだ。
全員訳が分からなくなり、とにかく拘束して部屋に閉じ込める事になった。
暫くして駐屯地は落ち着いたが、今度は街中でゾンビ騒ぎになり、俺達はそれぞれ各地へ派遣される事になったという訳だ。
派遣された後はもうこの世の終わりだと思ったね。
ゾンビと子供の化け物だらけで、収拾に悪戦苦闘していると本部から連絡が来た。
『変異した者の射殺許可が下りた』
「なっ、民間人を殺せと言うんですか!?」
『こちらも変異した者が元に戻るのか分からないのだ、これ以上被害を広めないための処置だ、分かってくれ』
「くっ……」
俺は通信を切って部下に命じた。
「変異した者は殺せ」
部下も困惑の表情を浮かべていたが、渋々従い変異した者を殺していった。
自分が今何をしているのか淡々と変異した者達を殺している中、ふと疑問に思った。
子供の化け物は人に噛みつくと、こちらが何もしなくても暫くすると霧のように消えるのだ。
また近くの化け物を観察していると、やっぱり噛んだ後には消える。
あれはもしや……宿主を得たから消えてるのか?
ゾンビになるのは間違いなくあの化け物の仕業。
やはりこれはウイルスによるもの?
なら抗ウイルス剤を作れば治るのでは?
目の前の現象について考えながら俺は……民間人を殺していった。
夜になりT大学で避難した人達が集まっていた。
色んな物で門にバリケードを張りゾンビが入ってこられないようにし、少しの間休憩する事ができるようになった。
大学に2階の会議室を借り、そこを司令部とした。
窓から暗くなった外を眺めながらコーヒーを飲んでいると部下が入ってきて、また訳の分からない報告をしてきた。
「はっ? ステータス? ってゲームとかにある?」
「はい、そうです」
こいつはそれが分かるという……大丈夫かこいつ? この状況で気でも触れたか?
「隊長もステータスと声に出してみて下さい」
「えっ……今?」
部下が頷く。
からかって馬鹿にする気じゃねぇだろうな?
いや、この状況でそれは無いか。
「ゴホンッ……ステータス」
そう言った瞬間、頭の中にハッキリとそれが浮かんだ。
名前:山波涼太
年齢:30歳
種族:人間
状態:普通
職業:なし
レベル:4
魔力:150
スキル:【射撃】
「はっ? ……何だこれ?」
俺がそう言うと部下は目をキラキラさせて凄い勢いで喋り出した。
「隊長にも見えますよね!? スキルは何か習得していますか!? レベルは幾つですか!?」
「ちょっ、ちょっと待て、落ち着け!!」
「あっ、すみません!!」
そう言って頭を下げた。
レベルが上がってる……これは化け物を殺したから?
……ゾンビを殺したからか?
「ゲームみたいだな」
「いえ、これはラノベにはよくある事です、知ってますかラノベ?」
知らないので部下に教えてもらった。
ちなみにこいつは普段からラノベが好きでよく読んでいるらしい。
そんな彼は堀という名前で、結構仕事は出来る奴だ。
「なるほどなぁ……スキルか」
何やらチートスキルやテンプレ等を説明してくれたが、大半は理解できなかった。
掘の言う事では他にもまだ魔物は居るとの事。
更にはダンジョンまであると言うのだ。
あっ、ダンジョンは知ってるぞ。
昔不思議系のゲームをやっていたからな。
「でも職業が選べないのがおかしいんですよねぇ」
掘の言う事ではこういう場合、職業を選択すればスキルを得られるというのだが、職業はうんともすんとも言わない。
「〇ーマ神殿とかあるんですかね? それとも教会やギルド?」
神殿は知ってるぞ。
子供の時にやってたからな。
しかし、あれはゲームで此処は現実だ。
本気で言ってるこいつが心配になって来る。
一体何が起きているのか。
落ち着いたら一旦駐屯地に帰還するか。
そう思っていたが次の日、事態が急変する。




