05 ユグド街製品販売所HARVISの開設 高級品
初投稿です。誤字・脱字等ご指摘いただけると幸いです。
とりあえず、最後まで書き終えました。煮詰めつつ投稿する予定です。
【ユグド街製品販売所の開設HARVIS 高級品】転移6年4月~
リョータはさらに布石を打った。
貴族などの資産家向けの販売所HARVIS-PROを計画したのである。
狙うは、女性。
この世界では男女差別があまりない。
あるとすれば、それは区別と呼ばれるようなものだ。
女性トイレに男性は入れない。
女性は戦いの場にはあまりいない。
しかし、銀行のような職場には女性がたくさんいる。
窓口ばかりじゃなくて、トップ、管理者も女性の方が多い。
特に閨房において、女性の地位は高い。
そこをリョータは狙った
HARVIS製品は一般向けであっても、特に女性からの圧倒的な支持をもらった。
そらそうだ。リンスだけでもサラサラヘアになる。
これで、どれだけ他に差をつけられるか。
歩くだけで男が振り返るのだ。
そして何よりも同性からの羨望と嫉妬の視線。
ハイソ向けはできる限りの高級感を盛り込んだ。
販売所HARVIS-PROは、元貴族の別邸。
金をかけて、リフォームする。
この世界で最高と言われる庭師や建築士などを招待し、
こちらからは、九尾の狐ラパンと白孔雀ブーレを担当とし、
金に糸目を付けずに最先端の『癒やしの空間』を作った。
何しろ、リョータはこの時点で国家レベル以上の資産家であった。
ピョン太といっしょに未発見の鉱山周りをしているからだ。
金塊だけで数百トンを所有するのだ。
この世界でリョータ以外で掘削された金はせいぜい千トンである。
金に糸目を付けずに、というのは文字通りの意味だった。
販売所というよりも、高級スパや高級エステの機能をメインに備え、
担当者と相談しながらエステシャンを育成した。
応対に関しては、王室のマナー講師であった女性を招聘。
半年ほど徹底した教育を施した後もアドバイザーとして雇用した。
もっとも、このあたりにリョータの出番はなく、
計画を聞いたラパンとブーレがノリノリで進めたのである。
癒やしの空間を彩るのが、HARVIS製品の数々だ。
ケーキキングであるチョコレートケーキとケーキクィーンの苺ケーキを始めとした、贅を尽くしたスィーツの数々。
ビューティ製品に関しては、対象者のお肌や健康チェックのもと、
厳選した個別生産により(という名目で)、高品質のものが渡された。
例えば、世界樹の雫入り保湿溶液。
塗れば塗るほど肌がキレイにかつ若返る。
特にこの時代の化粧品には、鉛や水銀が含まれていることが多かった。
鉛害、水銀中毒などで皮膚に被害が出るばかりでなく、健康被害、
果てには死亡者がでるなど、その悪影響ははかりしれなかった。
その鉛や水銀を使用しない、というだけで既にプラスの影響があるわけで、
かつ世界樹の雫が使われたことにより、肌の修復機能が強化されたのだ。
それを健康指導のもと、エステやスパにて天に昇るような気分で施術される。
スィーツは選び放題(ただし、美容の名の下、個数は制限された)。
頭の天辺から足の先まで、心身ともに健康かつ美しくなる。
施術が終わり鏡を見ると10歳は若返った自分を見る。
これに驚喜しない女性はいない。
実は、男性もスパやエステに密かに日参するものも現れた。
肩こり・慢性疲労などの様々な体調不良にも効果があり、
美容に興味のあるタイプの人たちもいたのだ。
また、ごく一部であるが、毛質相談にのることになった。
彼等に特別にあつらえた世界樹の葉入り毛髪剤を塗ると、
かなりの確率で毛髪が復活したのである。
これが悩み多き世の男性のハートを鷲掴みにした。
生産量が限定されるため、表向きには謳っていない商品である。
それでも、指導者層・富裕層で知らぬものはいなくなった。
彼らは密かにHARVISに接触してくるが、それはバレバレなのであった。
いきなり毛が生えてきたら、バレないほうがおかしい。
ここで活躍したのが、エレンの同級生のキャサリンであった。
キャサリンはHARVIS-PROのマネージャーを任せられることになった。
公爵の令嬢でありながら、彼女は働くことを率先した。
在学中に、様々なユグド街製品のノウハウを身につけ、
何よりもその類いまれなコミュニケーション・スキルにより、
あっという間にハイソ女性の間にキャサリンの名を轟かせるのであった。
問題は、世界樹への礼拝である。
教会との兼ね合い故である。
しかし、それも後ほど述べるが、問題がなくなり、
むしろ教会は世界樹への礼拝を推進する立場となった。
一部には、世界樹を敵視する保守勢力がいた。
しかし、彼等も奥さんや娘からの攻撃には降参せざるを得なかった。
何しろHARVIS製品がもらえないとなると、いじめに会うとかではなく、
美において周りから圧倒的な差をつけられるのだ。
HARVIS愛用者の容姿はすぐにわかる。
肌はすべすべしっとり、髪はさらさらしっとり。
どんなに高級で華やかな衣装を着て豪華な宝石を飾ろうとも、
HARVISのナチュラルな美しさにはかなわないのであった。
だから、HARVIS製品を使わないと恥ずかしくて外出できないのである。
奥さんや娘から涙ながらに訴えられては、抵抗できる男性は僅かである。
抵抗した誇りある男性は全員、家庭崩壊の憂き目にあい、埃に塗れたのである。
結局HARVIS製品は、王族から貴族の末端まで、そしてもちろん平民も、その魅力の配下に納まった。
例えば、お茶会といえば、HARVIS製品で全身を磨き、HARVIS製品のお菓子を買う。
他に選択肢がないのだ。
HARVIS-PROは、富裕層に圧倒的な影響力を持つに至った。
中には、こういうのが出てくる。
『私にまかせれば、もっと売ってやるよ』
『金ならなんぼでも払うから、早く持ってきなさい』
『私どもは由緒ある○○家。優先して持ってきなさい』
すべて、出入り禁止にしている。
リョータはこの事業を金儲けのためにやっていない。
一番の動機は、“世界樹を慈しむこと”。
この言葉はリョータの活動の原点にある。
勘違いした下品な輩は不要だ。
出入り禁止は社会的な没落を意味した。
そういう対応をされても、周りは不自然に感じないほどに躾けられる。
それは、世界樹の圧倒的な力に対する畏怖がもたらすものであって、何か強制されたようなものでない。
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