03 ユグド街製品販売所HARVISの開設3
初投稿です。誤字・脱字等ご指摘いただけると幸いです。
とりあえず、最後まで書き終えました。煮詰めつつ投稿する予定です。
【ユグド街製品販売所HARVISの開設3】転移7年~
③小麦粉とパン販売
製粉業にしても、パン焼きにしても、庶民の生活の根幹を担うものとして、
既得権益ばりばりの業態であった。
要するに、貴族や富裕層、ギルドがそれらの業務を独占する傾向が強く、
新規参入の壁が高かった。
リョータは、ユグド街製品の良さを十分アピールできたとし、
満を持して、小麦粉とパン販売に踏み切った。
カザールは5万人。既存のメイン店舗HARVIS以外に、
1店舗商圏3千人として、20弱の衛星店舗(HARVIS-B)を
さらに、既存パン屋対策として、HARVIS-C店舗を計画した。
既存パン屋対策というのは、既存のパン屋でもHARVISのパン販売を認める、ということだ。
つぶれるパン屋を減らすためである。
影響を被った人には、移民権を優先的に認めて不満を極力押さえるように配慮した。
移民先としては、モブレー、チャーリー、ウィリアム王子の領地を指定した。
国民的人気もあり、王子の領地への移民希望者が多かった。
お試し移民で王子の領地へ行くと、100%移民を決意した。
ユグド街に準ずる都市計画で造成された街だからである。
※王子の領地については後述。
■パン製造
ユグド街及び郊外製粉所で製粉された小麦粉、パン専用の酵母、魔牛乳、徹底した衛生観念のもとで製造されるパンも、この時代では圧倒的な競争力があった。
他のパン屋保護のためにもさほどパンを製造しなかったせいで、日夜行列ができた。
他のパン屋については、後日HARVISの系列に吸収し、HARVIS製品のパンを販売することで不満を抑えた。(HARVIS-C店舗)
HARVIS-C店舗は、競争力のあるパンのおかげで重労働から開放され、収益は倍増した。
何しろ、自分で作るのと、HARVISから仕入れる完成されたパンとが、
同程度の値段なのだ。
HARVISのパンは大量生産、低い運搬コストなどで低価格を実現していた。
独立独歩を、と頑張れば頑張るほどジリ貧であった。
パン屋はHARVISの下につかざるを得なかった。
というよりも率先してHARVIS傘下になりたがった。
首都の場合、人口が15万人。
商圏を3千人とするのなら、机上では50店舗のパン屋を営んでも問題がない。
パン屋はおそらくその10倍以上はいたと思われる。
つまり、300人に1軒以上。
各ストリートに一軒はあるような計算だ。
過当競争に見えるが、それでも住民に十分なパンを供給するにはそれほどのパン屋を必要としたのだ。
特に都市部ではパン窯がない。あってもスペースがない。時間も足りない。
などの理由により、パンはパン屋で。という風潮があった。
タイや台湾などの外食の習慣の発達しているところでは、自炊すると高く付くこともあるという。
それと似ているかもしれない。
パン屋製造ギルドや貴族とは当初は対立した。
ギルドを無視したため、対立するしかなかったのだが、
製粉所・パン製造所は城外に設置し、多少の矛先をかわした。
小麦粉とパンの運搬は魔狼が行う。
ダイレクトにHARVISに運搬することができた。
ギルドと対立したといっても、城内においてはパンを販売しているだけであり、
また、住民の圧倒的な支持を受けたため、ギルドは表立って妨害を行えなかった。
あえて妨害を行おうとすると、魔狼部隊シャドーの出番となる。
ギルド長の目がどんよりとした光のないものに変わった時点で、
妨害行為は治まった。
それに、HARVISとつながったほうが明らかに楽に儲かる。
HARVISのパンを売れば、重労働から開放され、客は店先に並ぶ。
収益は明らかに改善する。
それがゆっくりと確実にパン屋に理解されるにつれ、
次第にパン屋ギルドは単なる寄り合い所になっていくのであった。
後年であるが、ユグド街が満杯で移民を受け入れられなくなり、そのエリアをなんらかの形で増やすことになった。
パン屋は移民として優遇されたので、多くのパン屋が移民となった。
移民先は、先述した通り、王子、チャーリー、モブレーの領地である。
パン屋の販売員だっただけとか、パン屋の隣に住んでいただけとかで移民を希望する事例が多発し、一定以上の知識のないものをはじくことにした。
こうしてカザールで成功したリョータとエレンは、
カザールモデルを他都市、特に首都でも展開したのだった。
なお、世界樹への礼拝に関しては、礼拝は礼儀を教えるのであって、宗教ではない、という見解をとることにする。
世界樹は確かに神のような扱いをしているが、何か強い思想や観念、教義があるわけではない。
お布施を求めたり、強制労働を求めたり、といった宗教行為もない。
確かに、宗教としては弱い。まあ、他教との兼ね具合で言い訳を用意した。
また、この世界には農奴はいない。小作農40%と自作農60%である。
税は、農地の広さにより一定の金銭を領主に収めることになっている。
小麦は誰に売っても構わない。
製粉所は一部に独占されていたり製粉に関する特権があったりして、中世では繊細な案件である。
また小麦粉を挽くだけでなく、篩にかけたり小麦や粉を運搬したり、誰にとっても重労働であった。
HARVIS製粉所はこうしたあり方に一石を投じることになった。
一石では全く足りないかもしれない。
ひょっとしたら、そうしたあり方を破壊した。
既得権益者は、領主・貴族・教会といった資産家である。
この時代は中世から近世に移行する中途の段階であったとはいえ、粉挽き業の独占には意味があった。
HARVIS製粉所は、従来のと比べて、安価で時間がかからず、質が圧倒的に高い。
競争力というのが虚しいほどの差異があった。
当然、争乱の元となる。
ただし、教会については後日解決されることになる。
それは別の話し。
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