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26 学院紛糾する

初投稿です。誤字・脱字等ご指摘いただけると幸いです。

とりあえず、最後まで書き終えました。煮詰めつつ投稿する予定です。

【学院紛糾する】転移5年10月


 ランスター魔法学院長は困っていた。

 平民のそれも孤児の子どもたちが当学院の入試でトップ10を独占する。

 うち3人は満点合格である。


 昨年度も5人の孤児が満点で合格した。

 エレンなど、当学院史上最高レベルの学生と言われている。


 困っているのはそれだけではない。

 孤児の出身地・居住地が、世界樹の森とランスター王国の境目であるいわゆる緩衝地帯であることだ。


 そこは厳密にいうと王国の土地ではない。

 王国のいずれのものの支配下にはない。

 それどころか、忌避していたといえる土地であった。


 そういう場所からの出身者が学院のトップを占める。


 差別をするわけではない。

 しかし、ほとんど孤児たちは王国籍ではない。

 しかもあまり歓迎されているとはいえない地域出身者だ。



 しかもだ。

 来年になったら、孤児院出身者は退学する予定であると通告してきた。

 新たに孤児院のある地域、ユグド街で魔法学院を設立するのだという。


 間違いない。我々は見切りをつけられた。

 当学院よりも数段レベルの高い教育機関ができる。

 当学院の権威が失墜するのは目に見えている。

 何しろ、遠回しにこう言われている。


 孤児院出身者が高得点を獲っているのは、学生が優秀なせいではない。

 教育内容の差だ。



 孤児院の子どもたちはもともと王国出身者の平民だ。

 しかも選別したわけではない。

 孤児だから、孤児院に入れた。


 そういう子供たちが、いわば王国のエリートといえる子供たちを圧倒する。

 何故か?

 答えはシンプルだ。教育内容がおかしい。



 認められない。絶対に認められない。

 それは、魔法教育に携わってきた自分たちの誇りを傷つけるだけではない。

 職を失うことまで容易に想像できるのである。


 恐怖が学院長を襲う。


 学院長は密かに孤児院に接触を図った。

 同時に本当に内密に王室の理解のある人物に相談を持ちかけた。

 それは実はランスター王であった。



 ランスター王は王としては凡庸であった。

 頭脳に問題があるのではなかった。

 性格に問題があった。単純に決断ができないのである。

 特に、冷酷な決定には心を惑わされた。


 一人の人間としては誠に善良な人物であった。

 しかし、指導者としては善良さというのは時として不要なものであった。



 ランスター王と魔法学院長エルビンは、ランスター高等学院で机を並べた。

 御学友以上の間柄であった。


『この件に関してはいろいろ騒いでいるものがいるぞ』


 憂鬱な顔をしてランスター王がつぶやく


『特に差別主義者どもでしょうか』

『ああそうだ。またしても教会の連中がなにやら策動しておる』


 以前よりは良好になったとはいえ、教会の力は王国を上回るものがある。

 信仰の力もあるが、単純に経済力も王室に匹敵する。

 有力貴族や商会に強いコネクションを持ち、平民に広い根を張る教会。

 王様といえども、不用意な発言はできない。


 先年はなんとか教会の横暴を防ぐことができた。

 サタンの会~実は教会の裏組織~がやらかした不始末のおかげで

 サタンの会を異端とすることができたのである。


 ある貴族が館の地下室で大規模なサタン召喚魔法を起動したのだ。

 それが原因で貴族の館を中心に半径1kmほどがふっとんだ。


 流石に教会もかばうことができなかった。

 トカゲのしっぽ切りをしたのである。



 しかし、サタンの会は名前を変え生き残っていた。

 当然である。教会の裏組織である。

 教会が必要とするのであれば、同質の組織は無くならない。


 サタンの会の標的は、教会の利益を失するものである。

 特に最近は孤児院に目が向けられていた。


 教会が魔法の力がないと判定した孤児たちが続々と魔法を発現させ、

 魔法学院に圧倒的な成績で入学してくる。


 非常に不味い。


 教会からは、魔法学院への当たりも強かった。

 それも当たり前であろう。

 平民の孤児が上位を独占する。普通に考えておかしい。


 孤児を馬鹿にしているわけではない。

 しかし、経済的にも社会的にも圧倒的に弱者である孤児が

 いかにして教育の機会を与えられたのか。

 そして、そういう存在に先をこされるエリートとは。


 王様と学院長は、決断を迫られていた。




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