18 ドワーフ
初投稿です。未熟者ですので、誤字・脱字等ご指摘いただけると幸いです。
とりあえず、最後まで書き終えました。煮詰めつつ投稿する予定です。
【ドワーフ】転移5年~
ユグド街は、少し前から、おおっぴらではないが移民募集をしていた。
すぐに食いついたのがドワーフである。
以前、リョータが訪れたカザール街の武器屋。
そこでリョータが自分の練習刀を見せたことがあった。
その話が武器屋や鍛冶屋に広まっていた。
素晴らしい刀を製作する工房がユグド街というところにあると。
ユグド街に関しては、もうひとつ噂があった。素晴らしい酒があると。
これはリョータがサトウキビ農家に渡した酒から話が広まった。
素晴らしい武器工房と素晴らしい酒。
この2つの話題を聞いて、ドワーフが奮い立った。
移民を募集していると聞いて、30人ものドワーフが応募してきた。
ドワーフたちはすぐさま移民が認められた。
彼らのために中央に近い一角に鍛冶工房街を造成した。
ドワーフの趣向により、鍛冶工房は地下に設けることになった。
騒音的にも都合が良かった。
ドワーフたちは、高炉の性能に驚いた。
ユグド街の高炉は1500度以上に耐えられる、この時代最先端の高炉だ。
いや、あと数世紀たたないと出てこないような代物だ。
さらに、酒。この時代では酒用の蒸留技術が確立していない。
醸造酒にしても、ワインもビールもさほど質が高くない。
ユグド街で生産される酒は、ワインは製造していないが、ビールの質が高く、
さらに、各種蒸留酒ウィスキー、ラム酒、バーボンには驚喜した。
ドワーフの中には鍛冶屋ではなく、酒醸造・蒸留に携わるものがでてきた。
鍛冶街の隣には酒造街も出来上がった。
そのニュースは、謎のドワーフ通信であっという間にランスター王国中及び近隣のドワーフたちに広まった。
ユグド街ではいわゆるギルドは認められていない。
自由な競争力を重視したからだ。
それも古色蒼然とした徒弟制に縛られた都市部のドワーフたちを惹きつけた。
従って、ユグド街以外ではドワーフ、特に若いドワーフの流失が深刻となった。
都市部に残ったドワーフにしても、残ったのは本心からではない。
現状ではユグド街の酒を売るところはない。
移民するしかこの素晴らしい酒を手に入れることができない。
しかも、最先端の高炉が待っている。
それなのに、ユグド街に行くことができないのだ。
ドワーフの移住申込みが多かったので、ドワーフの移住を打ち切ったからだ。
ランスター中のドワーフに来てもらうと、各街が困ってしまうのだ。
リョータはその代わり、耐火レンガを譲ることにした。
さらに、将来はユグド酒をランスター中に提供することを約束した。
これで騒動が沈静化した。
1年後、酒の増産体制を整え、販売所も確保した。
ワインは教会から仕入れることにし、ブランデーも蒸留できるようになった。
さらに後年になるが、ウィスキーなど熟成させた酒も提供できるようになった。
3年、7年、12年、17年、25年ものが提供される予定である。
3年前、初めて蒸留酒をのんだとき、これ以上の酒があるはずがない。
全てのドワーフがそう考えた。
ところが、ないはずのものが、あった。
初めて3年ものを飲んだドワーフは、新たな歓喜にむせび泣いた。
では、さらに熟成された酒というものは何なのか。神の飲み物なのか。
ただし、量が限られる。密かに、ドワーフ達の間で牽制が始まるのであった。
最低でも世界樹に礼拝することはデフォになった。
礼拝が酒割当の最低条件である。
酒の割当にも騒動が起こった。
ドワーフは鍛冶と酒以外には興味を示さない。
酒と鍛冶職人としての名誉以外には関心がない。
強要すると、街を離れてしまう。
ドワーフがいないと、武器の生産量が落ちるのみではない。
生活必需品も不足するようになった。
権力者がドワーフをコントロールするのは困難であった。
ユグド街はまた一つ強くなった。
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