13 “ギルマス”グレアム視点
初投稿です。未熟者ですので、誤字・脱字等ご指摘いただけると幸いです。
とりあえず、最後まで書き終えました。煮詰めつつ投稿する予定です。
【“ギルマス”グレアム視点】転移3年9月
オレはグレアム。
元Sクラスパーティの前衛で、Aクラスの冒険者だった。
引退してからは、カザール冒険者ギルドのギルマスをしている。
カザールは、ランスター王国で2番めの都市だ。
近くには2つ有名なダンジョンがある。
このダンジョンのお陰で発展したと言ってもいい。
ただ、“the 森”の近くにあるせいか、この辺り獰猛な獣が多い。
また、山賊もちらほらいる、ちょっと治安の悪い場所だ。
この国で“the 森”と言えば、あそこだ。
世界樹があると噂の魔獣のいっぱいいる森のことだ。
王国西部を占める大樹海だ。
だから、カザール冒険者ギルドのマスターは他よりも腕力を必要とされる。
オレのひと睨みで大抵の冒険者どもは大人しくなる。
だが、この前来た男は違った。
奴は近辺を荒らし回っていた山賊を退治してくれたのだが、
雰囲気が他の冒険者と違いすぎる。
俺は瞬時に悟った。
『こいつ、偽装してやがるな』
偽装は上級冒険者がよくやる手段だ。
手の内をさらけ出すのは馬鹿のすることだからな。
俺が軽く威圧をかけても、全く動じた様子がない。
肝も相当太いようだ。
奴~リョータ~の実力は未知数だ。
というよりも、計り知れない。
おそらく、俺よりもかなり上にあるようだ。
例の貴族の息子に絡まれた件だが、
トムとアーノルドを瞬時に退けた。
彼等は奴隷に落ちたとはいえ、元Bクラス冒険者、
あと数年でAクラス間違いなし、と言われた逸材である。
現時点の実力で言えば、おそらくオレは負ける。
以前ならともかく、引退してからは碌な修行をしていないからな。
普通のBクラスなら負けんよ。
だが、彼等はBクラスの最上位レベルだ。
それをあっという間だ。
しかも、貴族のバカ息子にかけてた精神魔法。
アレにはゾッとした。
魔法の精度の高さにだ。
中身はわからないが、魔法の緻密さはすぐわかる。
悔しいことに、俺の娘ブランシェが奴に惚れたみたいだ。
俺は娘に結婚相手の条件として、
冒険者はダメ
俺より強いやつ
の2つを提示している。
俺の嫁には
『あなた、娘を嫁に出さないつもり?』
といつも文句を言われている。
ああ、そうだよ。俺は娘を嫁に出したくない。
惚気けるわけじゃないが、俺の嫁は美人だ。
アラフォーだが、まだ20代で通る美貌の持ち主だ。
元A級冒険者で魔法の達人でもある。
しかも、この辺りでは一番と言われるぐらいの美人だから、
アイドル的な人気があった。
彼女が冒険者ギルドにくると、ぞろぞろと男どもがくっついてきたし、外には“出待ち”の一般人もたくさんいた。
そんな彼女に俺は猛烈なアタックをかけて、結婚してもらった。
今でも頭があがらない。
そんな俺の心配は、
『子供が俺に似たらどうしよう』
ということだった。
自分でいうのも何だが、俺は決してブ男ではない。
顔は整ってさえいる。
しかし、顔が怖いのだ。
俺でさえ、毎朝洗顔して鏡を見るとビビる。
毎日だ。
俺でさえそんな風だから、周りは言わずもがな。
だが、良かった。
俺の子供たちは3人共、嫁に似た。
特に娘が二人、嫁に似て非常に美人に育った。
俺は嫁同様、子供たちも溺愛している。
自分でも親馬鹿だとは気づいている。
『あなた、娘を嫁に出さないつもり?』
俺は娘の幸せを誰よりも願っている。
娘が奴に惚れたとき、冷静な俺は
『さすが、俺の娘。見る目があるな』
とは思った。だが、冷静じゃない俺もいるわけで。
『もう子離れしないと、老害とか言われますよ。そろそろ将来の人生を考えたら』
全くだ。嫁に言われるまでもない。
俺はまだそんなに老けた年じゃないが、いや確かに老けた風貌ではあるが,それでも10年後はギルマスを引退してもいい年になる。
『あなた、リョータさんの街、とても魅力的みたいよ』
実は、俺の嫁はユグド街のスィーツにやられてしまっている。
トムからのお土産でもらったのだ。
チョコレートケーキを食べてからは、
『もういいじゃない、お金はあるんだから、引退してユグド街に引っ越しましょ。あなた、リョータさんと面識あるでしょ?何のためにギルマスしてるの?』
何のためにギルマスしてるの?と言われても。
それは移民のためじゃないんだが。
うーむ。ちょっと奴に相談してみるか。
などと考えていたら、娘から。
『私、ユグド街に移民する』
速攻で、家族会議にて移民が決まった。
俺の嫁だけじゃなくて、長男と次女もユグド街のスィーツにやられていた。
よし、決めた。俺も移民する。
というか、移民しなかったら家族に置いていかれる。
明日、リョータに頼んでくるから。
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