24 チョコレート製作2
【チョコレート製作2】
日帰りで孤児院に戻ってきてから、カカオの実の処理に没頭する。
結局、発酵⇒乾燥⇒粉砕⇒皮とばし⇒焙煎⇒ペースト(カカオリカー)
の順に処理することにした。
※カカオリカーを冷凍固形にしたものがカカオマス。
ペーストにしたものを圧搾して、カカオバターとカカオケーキに分ける。
圧搾すると残りが1ホールのケーキ状になる。
だからカカオケーキというんだと思う。
カカオパウダーはカカオケーキを粉砕したものでココアの粉末。
カカオバターはカカオリカーに混ぜてコクを出す。
それに砂糖を入れよく練ってみると、満足のいくチョコレートができた。
よく練るのはカカオリカーのときも同じ。
人間の手ではちょっと大変。物凄い根気がいる。
オレは早々に諦め、魔法化した。
ここは小麦の製粉と同じ感覚だ。
熱を出さないこと。
練るための容器の中を真空にして空気に触れさせないこと。
オレの好みを言えば、前世日本の市販のチョコより美味だ。
カカオの風味がプンプン匂ってくる。
ダイレクトにカカオを味わっている感じがする。
市販のチョコがいかに味を損ねているかがわかる。
ただ、苦い。
オレはコーヒーはブラックだし、ウィスキーストレートも苦手ではない。
ウィスキーはトワイスアップ派だが。
オレは舌が苦味に慣れているから、平気なんだろうが、
スター○ックスでラテしか飲まないようなタイプには合わないかもしれない。
単なる慣れだと思うけどな。
日本人なら緑茶に砂糖を入れる人はいない。
しかし、外国では緑茶ボトル、普通に砂糖を入れて売っている。
カカオの苦味を取るのにアルカリ溶液にひたしたりするらしい。
その代わり、カカオの健康的な効能が失われるという。
そのときに、カカオの風味も損なわれるのだろう。
それを嫌ったのがハイカカオブームだという。
オレもカカオ75とか86とかをよく食べていた。
オレには少し甘い。
カカオ95というのも食べたことがあるが、少し苦いかも、という程度だ。
アルカリ水溶液は石鹸を作るときのがある。炭酸カリウム、
炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムとかだ。
試しにアルカリ処理をしてみると、確かに苦味が薄くなる。
合わせて、風味も消える。
味云々よりも、化学薬品を使うというのがひっかかる。
勿論、極力使わない方向で。
ちなみにオレの作ったチョコレートはハイカカオよりも味が鮮烈。
ハイカカオが乾麺蕎麦なら、オレのは新蕎麦。
ちょっと大袈裟かもしれないが、そのくらいの差がある。
チョコレートケーキはオレの好きなショコラグラサージュ。
中身もチョコレートケーキで表面をチョコレートでコーティングしていく。
ケーキに使用するチョコレートにはかなりの砂糖を加えてある。
このチョコレートケーキはみんなに衝撃を与えたようで、
イチゴケーキより好き、っていう感想が多かった。
もちろん、前世の一流パティシエの作ったものとは比べるべくもない。
オレはこの世で才能のある人にお願いしたい。
『さて。ウニャくん。いつもいつも君は面白いね』
『うにゃ』
『で、どこに隠したの。チョコレートケーキ』
『うにゃ』
『ていうか、黒猫でわかりにくいけど口の周りが真っ黒』
『ごしごし』
『あれだな、一ヶ月ぐらいスィーツ抜き』
『うにゃうにゃうにゃ!』
『泣いたってダメ』
『にゃー……』
『だいたい、猫にチョコレートはダメなんだよ』
『うにゃっ』
『自分は大丈夫だって?みんなそう言うんだよ』
『うにゃっ』
『ホントのホント?塩も大丈夫だし、チョコも玉ねぎも大丈夫だって?』
『うにゃにゃ』
『そういや、サンマの塩焼き普通に食べてるもんな。回復魔法持ちだし』
信用することにして、
土下座しはじめたというか、ごめん寝の姿勢になったので、
3日ぐらいで許してやった。
これは後の話になるが、ウチはケーキを会員制販売することになった。
貴族のお茶会といえば、ウチの苺ケーキ・チーズケーキ・プリンを抑えて、
チョコレートケーキが一番人気になった。
チョコレート・ケーキを手に入れられるかどうかは貴族の沽券に関わるとかで、ウチへもいろいろプレッシャーがかかるが、ウチは忖度販売はしないからね。厳しく監視しているし。
だいたい、チョコレートケーキは予約販売。数をこなせない。
だから、裏では割り込みとか予約を譲れ・譲らないとか大変だったようだ。
オレは王様にだって順番守ってもらっているから。
無体な輩は会員から弾いていった。
ウチの会員から弾かれた人は人格的に問題ありとみなされ、随分と肩身の狭い思いをしているようだ。奥さん娘さんなんかだと、社交で表に出られないと嘆いているそうだ。
それで逆恨みで何かしてくるような輩は物理的に排除しちゃうけどね。




