22 エレーナ視点
初投稿です。未熟者ですので、誤字・脱字等ご指摘いただけると幸いです。
【エレーナ視点】転移3年2月
気がついたら、お兄ちゃんと一緒に住んでいた。
私たちには、お父さんとお母さんがいたらしいけど、
お父さんはわからない。
お母さんは少し覚えている。でも、悲しい記憶だけ。
それも朧げで、すぐに消えそうな思い出。
そのあとも、そんなにはっきりとした記憶があるわけじゃない。
だって、6歳とか7歳のときだもの。
ただ、いつも咳をしていた。
毎日が苦しくて、ずっと寝ていた気がする。
ある日、お兄ちゃんが真っ青な顔をして小屋に入ってきた。
お兄ちゃんのそんな顔を見たことがないので、くっきり印象に残っている。
そのあとも、下を向いて黙りこくっていた。
すると、見たことのない男の人が入ってきた。
お兄ちゃんのやばい顔は、この人のせいね?
私はピンときた。
その人が私に飲め、と言って、何かの葉っぱをくれた。
とても怖かった。
でも、その人は葉っぱをかじりながら渡してくれたので、
私も思い切って葉っぱを食べてみた。
すると、体の中から暖かいものが溢れ出してきて、
私の体から苦しさがなくなった。咳も出なくなった。
いつもふらふらしてた頭がはっきりしてきた。
世界樹の葉っていうんだ。
そのあとくれたクッキーにも驚いた。
甘くて、サクサクしてて、こんなの食べたことがない!
その人は私たちの友達を呼べっていう。
呼んだら、またクッキーがもらえた。
驚いたと言えば、一緒にいた猫ちゃんにも驚いた。
あんなに可愛い動物がいるのね。
キレイ、可愛い、お陽様の匂い、フレンドリーで、
毛並みがつやつやしてるの。
私、ずっとなでなでしちゃった。
猫ちゃんもスリスリしてくるし。
『スラムを出たかったら、明日、この時間にここに来い』
男の人はそう言って小屋を出ていった。
私はもう行く気まんまんだった。
でもお兄ちゃんはみんなを集めて相談した。
なんだか、疑っているらしい。
だから、私は思いきって言ってみた。
『この病気を治す薬なんて聞いたことがない。そんなのをくれる人。例えなんか理由があるとしても、私は信じる。それにこのままでもどうせだし』
次の日、全部で20人が集まった。みんな不安そうだった。
すると男の人が来て、大きな箱をどこからか2つ出し、
私たちはその箱に乗って、30分ほど“空を飛んだ”。
外は見えなかったけど、空を飛んだのははっきりわかった。
怖くて、私は手をしっかり握って体を固くして耐えた。
ゴトっていう音とともに、地面についた。
外に出てみると、凄くきれいな建物が見える。
色がとかじゃなくて、新しいし壁がつるつるしている。
それから、窓が大きく空いている、と思ったら、
大きなガラスがたくさんはめ込まれている。
あんな大きくて透明なガラスは初めて見た。
それからは、建物に入り、温かいシャワーをあび、体をきれいにして、
とても美味しいお肉を腹いっぱい食べた。
可愛い子犬じゃなくて子狼も連れてきてくれて、面倒みろ、だなんて、
見るに決まってる!こんなにきれいな動物、スラムにはいないわ。
スラムのネコとか犬とか、汚れているし、下手しなくても食べられてしまう。
だから、警戒心が凄い。目なんか敵意しかないっていう。
でもこの子達は、シャワー浴びたばかりなのか、いい匂いがする。
とってもフレンドリーで、ご飯を上げたらもう喜んで食べるの。
私、こんなに幸せを感じたのは初めてかも。
すぐに顔をつっこんで思いっきり匂いをかいだ。貴方はこれからケントよ。
そして、男の人ーリョータさんは私たちに部屋を与えてくれた。
シャワー付き、トイレ付き、ふかふかベッド付き。
ご飯は三食で、信じられないほど美味しい。
それから、私たちに勉強やトレーニングをさせてくれる。
あと、驚いたのはロボさん。大きな狼さんなんだけど、なんとしゃべるのよ!
しゃべるだけじゃなくて、とっても頭がよくて私たちに勉強を教えてくれるし、
魔法はこれまた物凄い威力。
他にもリョータさんの友達がたくさんいた。
そのモフモフ軍団、半分神様なんだって。
私は、全然疑いなく信じた。
ていうか、リョータさんが神様よね。
だって、おとぎ話みたいな毎日だもの。
なんと言っても、いつもみんなと一緒にいられるのが一番幸せ。
昔はお兄ちゃんが外に出ていって、私は一人で寝ているってことが多くて、とても不安だった。このまま死んじゃうんじゃないかって。とっても心細かった。
今はぜんぜんそんなことない。たまに誰かと喧嘩して泣いちゃうこともあるけど、そんなときは、子狼のケントが顔をなめなめして慰めてくれる。
寝るときも大きなお部屋でみんなと一緒。
なんていってもケントを抱きしめて寝られるのがとっても幸せ。
それにね、神様じゃないかって思うのが、世界樹。
朝晩礼拝するんだけど、なんだか暖かい気持ちが流れ込んでくる。
礼拝すると、嫌な気持ちがすっと軽くなる。
もうこれ以上の幸せはないってぐらいの毎日。
で、今度お兄ちゃんが魔法学院の入学試験を受けることになった。
で、結果が驚いたことに、満点でトップだったんだって!
でもお兄ちゃん曰く、孤児院のみんななら全員受かるかも。
それに何人かは満点とれると思うよ。なんてとっても謙虚なお兄ちゃん。
自慢のお兄ちゃんよね。
かっこいいし頭もいいし、みんなのリーダーって感じがする。
だから、あこがれている女の子いっぱいいる。
お兄ちゃん、鈍感だから全然気づいていないけど。
でも学院行って、へんな女に捕まるかもと思うと不安だわ。
私も2年後には学院に行くつもり。
そしたら、お兄ちゃんに近づくへんな女をチェックしまくるから!
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