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05 この世界のこと

初投稿です。未熟者ですので、誤字・脱字等ご指摘いただけると幸いです。

【この世界のこと】転移元年


『なあ、ロボ。なんでおまえだけしゃべれるの?』

『私は以前翻訳の巻物を誤って食べてしまった。それ以来だ』

『誤って? おまえ、ヤギさんだったんか。じゃああいつらは会話無理?』 

『ヤギではない。できるはずだが。ケット・シーはわからない。あいつは基本ナマカワだ』


 どうやら、面倒くさいから会話はしないのかもしれないとのこと。

 ああ、意思の疎通ができすぎると、それはそれで面倒臭いことが多いからなー。


 ロボに聞いてもらうと、翻訳ソフトの性能が悪くて壊れた会話になるとのこと。


『しかし、奴らとの会話はそんなに困らないはずだ。一種の念話ができるからな。テレパシーみたいなものだ。ある程度の知性を持つものならば、誰とでも会話できるはずだ』


 そういや、ウニャと会話できてる気がしてたのは気の所為ではなかったのか。

 他のモフモフたちも、オレの言ってることは理解しているような感じだったな。

 異世界あるあるか。まあ、この辺は考えたら負け、ということにしよう。


『まず確認だが、オレは転移したということでいいんだな?』

『ああ、元々そこのケットシーーウニャ丸が主の世界へ転移してたのが始まりだ。そしてこの世界に戻るときに主も連れてきたというわけだ』


『なんで連れてきたんだろう』

『個人的なことはわからんが、こっちに連れてきた方がいいというような状況だったのかもしれんな』


 深くうなづくオレ。ウニャは後ろ脚で耳の後ろを掻いている。


『ただ、一つだけ私たちが受け取っているメッセージがある』

『メッセージ?』

『世界樹を(いつく)しむこと』

『にゃー』


 なんだか、世界樹を大切にしなくちゃいけないようだ。

 ウニャたち、神の使徒とか言ってるし、敬うならこれだろう。


 オレは唯一知っている礼拝の作法『2礼2拍手1礼』をやってみた。

 オレは建設業出身だからな。


 ウニャたちもオレを真似てパンパンやっている。

 ヒヨコさん、羽が届かなくて可愛い。


『オッ、世界樹が光っているぞ?』

『にゃー』


 なんだか、心が気持ちよくなってきた。

 形はなんだっていいみたいだ。

 世界樹への敬意みたいなものを示すのが重要のようだ。

 世界樹も喜んでいるような気がするぞ。


『世界樹さんにはお世話になってるっぽいからな。今後も礼拝を重ねるとして、じゃあ、オレはハイヒューマンらしいんだが、これなに?』

『人間の上位存在?』

『なんで疑問形』

『私も初めて見た。正直、わからん』


『わからんのなら仕方がない。じゃあ、次に世界樹のことを教えてほしい』


 この巨木は世界に何本か生えている。これはその一つ。高さは不明とのこと。

 魔法の元となる魔素の産出元である。


 世界樹の周囲半径100mほどはところどころ草原である。

 これは周囲の森林に生えている木が縮んだもの。

 あの木は魔木で、半植物。実は歩くことができる。草は魔草。


 光合成もできるが、近づく獲物を食らうこともできる肉食植物でもある。

 世界樹の眷属(けんぞく)であり、魔素を吐き出しているそうだ。


 世界樹の周りの草原には、ごく限られた存在しか入ることができない。


 世界樹に近づくには、限りなく攻撃性を落とす必要がある。

 だから、その姿は非常に可愛らしいものになりがち。


 魔木も縮んでしまう。その姿が可愛いとは思わないが。

 もっとも、彼らは可愛くなろうとしているわけではない。

 あくまで攻撃力をはぎ落とそうとした結果が魔草だという。


 ただ、奴らの間では可愛いものほど徳が高いということになっているという。


 などとロボから教えてもらっていると出ました、真打ち!

 白いモフモフが、世界樹の幹の隙間からこちらをじっと見つめている。

 あのあざと可愛い姿はエゾモモンガ(もどき)。


 オレ、初めて見たぞ。いやエゾモモンガと確定したわけじゃないが。


『チュ○ル欲しいのか?』


 メニューを開いてチュ○ルを差し出すと、こちらまでまっすぐに飛んできた。

 チュ○ルを食べたら、名付けだな


『エーガでどうだ?』


 安直だが気に入ってもらえたようだ。早速鑑定する。


 名前 エーガ

 年齢 ∞

 性別 M

 種族 古龍・アンシェント・ドラゴン

 特記 主人:リョウタ・ミコハラ

 特技 竜息他


 えっ、へんな文字が見えるぞ。『古龍』?


『ああ、やつは古龍(こりゅう)だ。ここらへんの古株の魔獣はたいていやつの友達だな』

 なんだよ、どっかのラッパーみたいなやつ。

『古龍って、アンシェント・ドラゴンだよな』

『ああ、本来の姿は長さが50mぐらいあるからな。ただ、性格は温厚で博識、ここ数千年で争ったところをみたことがない。まあ、争ったところで瞬殺だろうがな』


 うーむ。そんなのにチュ○ルあげちゃったけど良かったのかな。

 名前も適当につけちゃったし。いいのかな。いいとしよう!


 オレは深く考えないことにした。

 まあ、深く考えたことってあんまりないんだけど。頭痛くなるし。


 でも、流石にエゾモモンガ(もどき)。

 あれだけ可愛いと世界樹をホームにできるみたいだなー。

 あれ、世界樹に穴あけて住んでるよなー。ちょっと無茶振りコワイ。


 あ、オレは穴あけてないからな。気づいたら世界樹の穴ん中にいたんだからな。




しばらくは6時と18時頃に投稿します

面白いと思った方、ブックマーク、ポイントを宜しくお願いします。

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